4章 エピローグ

第52話 日常 その1

結婚して1ヵ月…

梅雨も終わりを告げ、初夏になっていた。

俺は無事課長となり、新しいチームを率いて仕事に励んでいる。

ただ新婚なので定時に頑張って帰るようにしていた。


沙優はというと…


「ただいま、沙優」

「お帰りなさい♪ あ・な・た♡」


荻原フーズを退職し、今は近くのスーパーでアルバイトをしつつ、

ほぼ専業主婦となった。


もう急な短期出張になったとしても離れるのは嫌、

一緒に行くという事で、便宜を図ってくれたのだ。


なので、最初の同居生活同様に、

朝は朝食、昼はお弁当、そして夜は、帰ると沙優が家で待ってくれていて

温かくて美味しい夕飯やお風呂を用意してくれているという

俺にとっては大変有難い生活を送っていた。


・・・


「沙優、週末どこかに遊びに行こうか?」

「うん。けど、あなたは慣れない仕事で疲れているでしょう?

 だから静かな所でのんびりとが良いな♪」


「定時に帰ってきているからそんな事ないぞ?」


「ふふっ、そんな事ないと思うよ?顔見たら分かるよ♪

 きっと新しい仕事内容で体力的にというより精神的に疲れているんだと思うよ?

 まあ暫くすれば慣れるんだろうけど…

 それに私も静かでのんびりできる所好きだよ?♡」


・・・


週末俺たちは見晴らしの良い丘でランチを取りながら

ゆっくりする事にした。

少し熱くなってきたが、天気も良く、風が気持ちよかった。


「はい、あーーーん♡」

「はむっ」

少し顔が熱くなりながら俺は食べる。


自分でも大分素直に甘えられるようになったと思うけど、

それでも少し恥ずかしさは残る。


「うん。やっぱ沙優の料理は美味しいな。」

「ありがと♡最近は素直に甘えてくれて嬉しいわ♡」


「ん?あなた…他に私にやって欲しい事あるんじゃない?

 今日は私に甘えて良い日なんだゾ♡」

沙優はちょっと首を傾けて、意地悪な顔をして笑った。


実はあるにはあるんだが…何だが言うのは恥ずかしい…


「ふ~ん…なるほど…よいしょ!」


不意に沙優は俺の頭を抱きかかえ、膝枕をしてくれた。

実は膝枕をして欲しかったので顔を赤くして尋ねた。


「え?何で分かったんだ?」


「そりゃ分かるよ♪ずっとあなたの事だけ考えて、あなただけを見てるんだから♡」


沙優の柔らかく少し冷たい膝が心地よい。


「少し寝たら?(ニコニコ)」


俺は甘えて少し寝かせてもらうことにした。



・・・


目が覚めると、沙優はぼーと何かを眺めていた。

目を向けると、ちょっと離れた所で仲の良い親子がキャッチボールをして

遊んでいたのが見えた。


沙優は俺に気づき不意に聞いてきた。

「ねえ、あなた?

 もしも子供が出来たら…男の子と女の子どっちが良い?」


「う~~~ん…特にどっちってないかな。

 元気な子なら嬉しいよ。」


「そっか~~~

 でもそうだね。

 元気で優しい子だったらどっちでも良いね♪」


「でも…早く欲しいね♪」


俺は顔が赤くなった。


「頑張ってね♪ あ・な・た♡」



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