第24話 学園祭
「さて、本日のホームルームは、このクラスが学園祭で何をやるかを決めて時間にしたいと思う。飲食店なら色々細かい事を決めないといけないし、催し物なら練習が必要だ。それを踏まえてしっかり考えて学園祭を楽しんで欲しい。」
あとは学級委員に任せる。立花先生はそれだけ伝えて、教室を去った。
・・・
「では司会は学級委員の僕が進行する。」
「皆何がやりたい?」
・・・
「お化け屋敷とか?」
「そんなの中学生までじゃないか?」
「飲食店って言ってもな…誰か料理できるのか?」
「あっ!そう言えば…沙優ちゃん、めちゃくちゃ料理上手いじゃん!」
「なるほど…じゃあ喫茶店が良いかもしれないな!」
喫茶店?ウエイトレス姿?
「よし!俺たちはエース荻原を主軸に喫茶店をやるぞ!」
『『 おう!! 』』
男子生徒は沙優のウエイトレス姿を見たくてノリノリである。
「え~~~~!」
『『 ダメダメ!沙優ちゃんはウエイトレスじゃなくて、シェフをやるべき! 』』
「え~~~~!」
ウエイトレス!シェフ!…意見は揉めに揉めていた。
わ、私の選択権は?沙優は頭を抱えた。
立花先生が不意に戻ってきた。
「そうそう、ちなみに優勝というか一番評判の高いクラスには、修学旅行で特別に自由行動が1時間増える特典があるらしいぞ?自分たちの為にも頑張ってくれ!」
自由時間の増加ね…嬉しいような…そうでもないような…
そう思うクラスメートが大半であったが、ただ一人目の色が変わったものがいた。
バタン!
「私、何でもやる!!ウエイトレスもシェフも!!だから皆協力して!!」
沙優は、目の色を変えて積極的になった。
「おお~!荻原がなぜか積極的に!!」
「これなら優勝確実よ!」
「…恋する乙女は強いってね…」美穂は苦笑した。
・・・
学園祭当日…朝から手際よくオムライスの仕込みをして
沙優は、自分で裁縫を加えた専用ウエイトレス着を用意して、
死ぬほど恥ずかしくても絶対に優勝する!と気合十分で対応した。
いらっしゃいませ、こちら喫茶店になります~。
お二人様ご案内。
「お帰りなさいませ。ご主人様♡
ご注文は何になさいますか?」
男子生徒 え?喫茶店だよね?この店…ドキドキドキドキ…
「ス、スペシャルオムライスを…」
「ありがとうございます。ご注文承りました。
それではお客様、魔法の言葉と共にケチャップをかけさせて頂きます♪
ご一緒にど~ぞ♪
美味しくな~れ♪美味しくな~れ♪」
ケチャップで♡マークを書いて、
最上級の笑顔と共におもてなしをする沙優の姿があった。
もはや某〇葉原のメイド喫茶並みのサービスである。
…俺…また並ぼう…
お、俺も…俺も!!
え?こんな美人がうちの学校に!?
「か、可愛すぎる…」真面目な後藤も赤面であった。
なりふり構わない沙優のおもてなしに男子生徒は長蛇の列…
味そのものも美味しかったので女子生徒もそれなりに並んで大盛況
終わってみればぶっちぎりの1位の売り上げを挙げ、
見事に沙優のクラスは、修学旅行における+1時間の自由時間の権利を得た。
学園祭終了後…
『『 やった~~~! 』』
ゴツン!
「や・り・す・ぎ・だ!
ここは高校の学園祭だぞ!」
立花先生に怒られる学級委員の後藤と鈴木、主犯である沙優の姿があった。
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