第5話 それぞれの反応(神田蒼)
翌朝、高嶺の花の後藤がまさかの2連休、
アイドル的な存在で病気とは無縁の元気いっぱいの三島も休みとなり
会社ではちょっとした騒動になっていた。
そんな中
「あら~?、これはうちの後輩君がやらかしたのかな~?」
昼休みに吉田の所に行き
「吉田~、今晩付き合ってよ♪」
人気の高い女子社員に3日連続で誘われる吉田に対して男性社員の冷たい視線が吉田に突き刺さる。
「い、いや…(もはや手遅れか…)わ、わかりました。」
定時で仕事を終わらせ、神田との待ち合わせで待った。
「いや~、ごめん。ごめん。待たせちゃった~?」
神田が息を切らせて走ってきた。
「仕事が思ったよりも押しちゃってさ。何食べに行く?」
「いや特に…」
「んじゃお好み焼きでも食べるか!」
神田はスタスタと自分のペースで歩きはじめる。
相変らず自分のペース崩さないな・・・吉田は懐かしく思った。
「吉田~~、早く早く~」
お好み焼き屋に着いた。
「あー、お腹すいた」
ジューーー、お好み焼きが焼け、良い匂いがする。
「吉田のも焼いてあげるよ。遅れたお詫びに」
「はは。じゃあお願いします。」
「ほいよ。」
お好み焼きを頬ばる神田
「んーーー、美味しい~」
そしてジョッキを一気に飲む。
「やっぱり、お好み焼きには生中だね~」
「相変らず豪快ですね」
吉田は懐かしむようににっこり笑う。
「女子がこういう姿見せるとひく男子がいるんだけど、
吉田はそういうそぶり一切見せないから楽ね。
そこは非常にポイント高いよ?」
「後藤さんも同じような事言ってましたよ。」
神田は少しムッとして
「ほらほら今度は悪い所、女子と対面で飲んでるのに他の女の話しない。
愛情を疑われるよ?ま、私は吉田の事吹っ切れているけどさ…」
「す、すいません…」
「ところでさ、我が社の高嶺の花とマスコットアイドルが休んでるのは…
ズバリ!吉田が原因?」
「いや~…そうかもです…」
「罪な男だね~、相変わらず。」
「原因はこの間話していた沙優ちゃん?」
「…はい…」
「ま、でも吉田も成長したんじゃない?
一応はっきり選んだんでしょ?沙優ちゃんに。
だから後藤さんも三島さんもショックで寝込んでるって事だろうし。」
「この間…三島に指摘された時に…
自分でもはっきりしてなかった自覚が芽生えてきました…」
「そっか。それ自体は良い事だと思うよ?
でも一つ忠告。女はね…矛盾した生き物なの。
皆に対して優しさ持ってほしいという感情と私だけ特別に見てほしいという感情
その相反する感情のバランスが偏りするぎると…
私達のようにお互いに想いあっているにもかかわらずすれ違いが起きて…
なんてことになりかねない。
特に吉田は皆に無意識、無自覚に優しくするから
それは人によっては大きな嫉妬を生むよ?私…みたいにね…」
「…はい。無意識なので中々すぐには改善しないでしょうけど…
意識するようにします。」
「しかし別れたとはいえ…吉田がそんなにぞっこんになる女性か~!
興味あるな~どんな子なの?」
「えっと…クールで芯を強く持っている一方…甘ったれで泣き虫な面もあり…
家庭的で…一緒にいると安心するというか…」
「それだけ聞いているともうべた惚れじゃん。
何でさっさと付き合わなかったの?
今度沙優ちゃん、いつ来るの?」
「来週末…ですかね…」
「んじゃさ、その時に合わせてよ。私も合ってみたいよ。
何なら後藤さんや三島さんも誘うかな。
彼女らも直接言いたい事あるんじゃないかな!」
「え?いや…まあ…沙優が良ければ…沙優に聞いてみます。」
神田との食事で変な方向性になってしまったが・・・
来週末に沙優がくるのを心待ちにしている吉田がいた。
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