-Summer- 結成、目線、疑念-3

 翼さんとの戦いが終わった後は、いつも通り4人でjubeatをやりながら、楽しい時間を過ごしていった。


 俺たちの拠点は、筐体が2つしかない為に誰もいないとしても交代しながらプレイしなければいけなくて…いや、でもそれが良かったのかも…!だって、待ってる間に色んな話も出来るしっ…!


 俺と翼さんが待つ番になり、俺はある提案を翼さんに持ちかけたんだ。


「翼さん、そろそろを作ってみませんか?」


 聖地を巡礼した時から、実はずっと考えていたことで、チームを結成しそこに参加している人は、コードネームの前や後ろに何かしらのをつけていて、その記号こそ、チーム員の証になるんだ。


 1人で出来るゲームだとしても、仲良し同士で1つのチームを作って、【チームの証】=【仲良しの証】みたいな感じなのかな?


 現に俺たちの周りも、沢山の友達が出来て、特に翼さんは、優しさや頼もしさの他にも、周りのプレイヤーから見ても、崇拝レベルの腕前の持ち主だったから、周りからの信頼も厚かったんだ。


 翼さんが《今日は。聖地に行くよ!》

 なんてSNSに一言、呟けば数人は必ず集まる…それ程、翼さんという存在が大きかったんだ。


 その中でも俺たちと寄り添って、切磋琢磨してくれていること自体、なんだか…勿体ない気持ちになる程だったのに、おこがましくチームを作りたいとせがむ俺に…


「チームかぁ…!いいね、面白いかも?!」


「翼さんがリーダーなら、絶対いいチームになりますよっ!」


「俺にリーダーなんて務まるかな…?」


「俺は、翼さんがリーダーだと嬉しいですっ!」


「…す、傑くん…///」


 お互い少し頬を紅潮させながら、話をしていると丁度、雄介も愛もプレイを終わらせて

「なになにっ?なんの話ししてたの?」

 なんてニッコニコで雄介が声をかけてくれて…


「翼さんがリーダーのチームを作りたいって!」


「こらっ…!そうじゃなくてっ!チームを作りたいって傑くんは、言うんだけど…///」


 その提案に2人はもちろん賛成してくれて

「うんうん、翼さんがリーダーなら安心だなっ!絶対に大丈夫だっ!」


「あたしも賛成!!…参加したらあたしもコードネームにチームの記号を付けていいんだよねっ!?」

 とチーム結成の為に後押ししてくれたんだ。


「…翼さん?」


「うん?」


「俺、副リーダーやってもいいですか?」


「ええ?!」


「ああっ!だ、ダメならいいんです!!…でも…翼さんの支えになれるなら…副リーダーをやりたいなって思いまして…」


 少しでもいいから…俺から提案したのであれば、1人で全てを背負わせるのではなくて、少しでも翼さんの力になりたいな…そう思って、俺の口から気持ちが零れ落ちていたんだ。


「傑くん…」


「傑なら大丈夫だろ~!」


「明るい傑に、冷静な翼さん!これは盛り上がりそうだよね!♪」


 俺は真面目な目で、翼さんに訴えかけていた。その力強い訴えに翼さんも


「傑くん、じゃあ…よろしくお願いします♪」といつも通り優しく微笑みながら返答してくれて、俺は心の中で、シャーーっ!!と天高く力拳を突き上げていた。


「いいチームにして行きましょうね!!」


「もちろんだよ♪そうだ、チーム名は…」


 翼の頭文字、Tを取ってもいいのかな?でも、既にチームTは他の派閥で活動してるし…翼さん、どうするの…??


「S軍…!!」


 S…?!!な、なんで?!どっから取ったんだよ?それ?!みたいな顔を俺は、してしまったんだけど…


「つばさのさ(S)とすぐるのす(S)」

「リーダーと副リーダーから取りましたっ!うん、これでいこうかなっ?♪」


 翼さんの提案に、雄介も愛も「いいねいいね!♪」なんて盛り上げてくれたけど…


 俺の心はもう、どうしていいのやら…

 だって、だってだって!!憧れの翼さんが…俺の名前から取ったんだだとぉぉ??!


 おいおいおいおーいぃっ!!!!

 やったぜぇええええぇええー!!!!


 そう…これが翼さんが親玉の【S軍】結成の始まりだったんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る