20歳、趣味との出会い-1

 なんやかんや複雑な気持ちで、式典は終わりを迎え、他の友達と楽しそうにしていた幼なじみと再会し、俺らは会場を後にした。


 幼なじみの名前はゆず


 柚とは、幼稚園からの長い付き合いの女の子だ。これだけ長く仲がいいと、まぁ親同士も仲がいい訳であって


「2人は、このままいつか結婚するのかしら?」


 そんな事まで言われたことがあるけど、俺たちは「あははっ!どうだろうねぇ〜っ?」とお互いに流す程度だったんだ。


 だって、お互い好きな人もいたし、柚には自分がゲイだということは伝えていたし…何より、俺の気持ちを心の底から理解してくれていたんだ。


 ◇ ◇


 -帰りの車内


「ねぇ、傑っ!この後、予定何も無いの〜?」


「ん?何も無いけど???」


 タバコを咥えながら運転する俺に柚は、何も予定が無いならゲームセンターに行きたい!とルンルンで提案してきたんだ。


「なんでゲーセンなの??」


「えっ!なんかねぇ〜?傑も仲がいい友達たちが集まってるらしくて、みんなでプリクラ撮りたいねぇ〜って連絡来てたんだっ!♪」


 その時の思い出や友達同士で盛りながら撮り合うプリクラが、俺らの時代でも流行っていたんだ。

 俺も、高校時代や大人になってからも皆でよく撮ってたよなぁ…詐欺プリってやつ??


「おお、いいね!このまま行っちゃうか!!」


「いぇ〜いっ!行こ行こーっ!♪」


 そのまま、振袖とスーツを身に纏った俺たちは、ノリノリでゲーセンへと向かっていったんだ。


 ◇ ◇


 ゲーセン着くとそこには、懐かしい面々が集まっていて

「おー!久々だな!」

「元気にしてたのー??」

 なんて俺や柚にみんなが話しかけてくれた。


「…え?!傑、タバコ吸うの?!」


 ははっ…やっぱり俺の印象ってそんな感じなのか…と、そんな事を思いながらも友達との久々の再会を果たし、みんなで成人式の思い出として、プリクラに変な顔やキメ顔を決めて込んでいったんだ。


 -お絵描き中だよっ!-


 プリクラのお絵描きは、とりあえず女子たちに任せて…ゲーセン内をウロウロとする俺。


「…んっ!?」

「…え!兄ちゃん?!」


 ウロウロしていた俺の目に飛び込んできたのは、4つ離れた俺の弟で、なにやら俺の知らないゲームをしていたようだ。


「遊びに来てたのか?」


「うん、友達とねぇ~!」


「…なんだ?このゲーム???」


「えっ!兄ちゃん知らないの?!」


 知らないの?!と言われたそのゲームは【jubeat】というゲームらしい…


「じゅ、じゅべ〜と???」


「違うって!ユビート!」


 光るパネルを音楽のリズムに合わせて、タイミングよく押すゲーム。そう、俗に言う【音楽ゲーム】と言うやつだった。


「はぁ〜っ!理解した!ポップンとは違うのかっ!」


「バカっ!一緒にすんなしっ!!」


 音楽ゲーム、通称【音ゲー】

 音ゲー自体は、違う機種のものをよくやっていたから、分からんでもないのだが…jubeatとは一体どんな音ゲーなのやら…??


 そんな時、俺の性格を知ってるくせに…弟は俺の負けん気精神に火をつけてきやがって…


「やってみればぁ?まぁ、クリアすら出来ないと思うけどねっ?」


 カッチーン!!!

 とにかく負けず嫌いな俺…言ってくれるじゃんかよ、おいコラ、兄の威厳とやらをお前に見せつけてやるわ!!怒


 100円玉をjubeatの中へ入れた俺は、その後

弟の言われるがまま操作方法を教えて貰って…


 兄ちゃん、これ出来たら凄いかもねぇぇっと訳の分からない、聞いたことも無い最高難度の楽曲を選択され……俺は、と、とりあえず…音楽に合わせてパネルを叩いてみたんだ……


(…な、なんだこれぇ~!!!???!!?!)

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