5.妹VS兄

「しゃああー! 作戦成功! フォートフォート、褒めて褒めて! 頭ナデナデしてくれていいんだよ!」

「何考えてんですか殿下ぁぁぁ!!」

「……怒られると思わなかったぁ……」


 会議が終わり、選定の儀について執政官との打ち合わせを終えた後。

 夜半を過ぎて。

 研究院内にあるエフォートの個室に、サフィーネが書類の束を手に訪ねてきた。

 心身ともに疲れきったサフィーネは割と本気でエフォートに癒しを求めてきたのだが、待っていたのはもちろん叱責だ。


「聞きましたよ! 王位継承権までダシにして、選定の儀の仕切りをもぎ取ったそうじゃないですか!!」

「げ。王前会議の内容だだ漏れ。誰から聞いた?」

「エリオット王子ですよ。バカな妹が天然を発揮して、とんでもない事になったって触れ回ってるそうです」

「……バカにバカ呼ばわりされるとは……」

「自業自得です。何やってるんですか本当に!」


 本気の叱責をしているのに、サフィーネは何故嬉しそうなのか、エフォートには分からない。


「お願いですから、危ない橋を渡らないで下さい」

「それは約束できないなあ」

「サフィ!!」

「やーん怖い〜」

「なんで喜ぶんですか! 本当に、もう……」


 エフォートはへたり込むように、簡易ベッドに腰をかけた。


「んふふ……。ん? フォートもしかして、あんまり寝てない?」


 目の下にクマが浮かんでいることを、サフィーネに気付かれた。


「相手は異世界転生勇者ですからね。準備する事は山程あります」

「それって、私が場を用意できるって信じてたからだよね?」

「は? なに当たり前のこと言ってるんですか。それより寝てないのはサフィーネ様も同じじゃ……顔に出ないんですね」

「女には化粧という便利なものがあってね」


 くるりと背を向けて答える王女。

 信じてるのは当たり前だと。

 その言葉だけでサフィーネの寝不足など吹き飛ぶことを、エフォートは知らなかった。

 背を向けながら王女は続ける。


「とりあえず、選定の儀を行う場所も研究院の実験場にできたからね」

「……ちゃんと言ってませんでした」

「ん?」


 微妙に会話になっておらず、サフィーネは振り返った。

 立ち上がっていたエフォートは、背筋を伸ばしてから深く頭を下げる。


「ご尽力頂き、ありがとうございます。王女殿下」

「……違うでしょ?」


 頬を膨らませて、サフィーネは頭をずいと差し出した。

 エフォートは自分の後頭部をガシガシと掻いた後、目を逸らしながら王女の頭を優しく撫でる。


「ありがとう、サフィ」

「えへへ……」

「よし、これでリリンを取り返す目処が見えてきた」


 くるりと踵を返し、デスクに向かうエフォート。


「……嗜虐趣味でもあるのかなこの朴念仁魔術師」

「なんですか?」

「なんでもありません〜! それより、例の『先回り』の件なんだけど」

「! シッ、ちょっと待って下さい」


 エフォートが廊下側に視線を向ける。


「何? ……ああそうか、フォートは人の魔力が感じれるんだっけ」

「誰かが近づいてきています」


 遅れて、廊下から足音が聞こえてくる。

 慌しいノックの音。


「誰だ?」

「夜分に申し訳ありません、カリン・マリオンでございます!」


 エフォートの誰何に、少女の声が帰ってくる。かなり焦った声だ。

 サフィーネは慌てて佇まいを正すと、エフォートに頷く。

 ドアを開けると、新人研究員のカリンが飛び込んできた。


「エフォート様、失礼しま゛ッ……!」


 また噛んだカリンは舌を向くが、それどころではないとすぐ顔を上げる。


「カリンさん、どうなさいましたの?」

「さ、サフィーネ様……本当にこちらに……」

「はい?」


 王女が魔術研究院に来ることは、特に隠していない。

 だがエフォートの個室に来るとまでは、誰にも伝えていないかったはずだ。

 本当に、とは?


「あ、あの、お、王女殿下がこちらにいらっしゃっるはずだからと、ら、来客が」

「こんな時間に……エフォート殿の部屋にですか?」

「はい」


 研究室や会議室ならともかく、夜遅くに一国の王女が研究員の個室にいることは少々よろしくない。

 それを部外者に知られていたとなれば問題だ。


「分かりました。すぐに応接室にお通しして」

「!! 待って下さい、王女殿下」


 焦った声を出すエフォートに、サフィーネは戸惑う。

 その理由はすぐに分かった。


「その必要はないよ、サフィーネ」


 穏やかに声をかけ、するりと部屋に入ってきた長身の美青年は。


「……ハーミット殿下ッ!」


 エフォートは弾けるように敬礼する。

 まさかの不意打ちに、サフィーネも心臓を鷲掴みされたように立ち竦んだ。


「お兄様……!」


(しまった……ここまで踏み込まれた)


 内心で歯嚙みしているが、もう遅い。


「は、ハーミット殿下……客間でお待ちしてらっしゃると……」


 カリンも泡を喰っているが、その肩を王子にポンと叩かれる。


「いやいや。これから忙しくなる魔術研究院の皆さんにお手を煩わせるのは申し訳ないからね。それにしても」


 ハーミットは妹に問いかける。


「ここは奴隷を使ってないんだね。それで回るのかい?」


 笑顔のまま、他愛のない質問をする第一王子。


「魔術研究院は国家機密だらけですわ。極力、関係者以外は入れないようにしています」

「そんなの口外禁止と命令すれば済む話だろう。奴隷が嫌いなら嫌いと言えばいい。そうですよね? 幼馴染を奴隷にされたエフォート殿」

「……どういう意味でしょうか」


 急にリリンの事を揶揄され、とっさに不機嫌な反応をしてしまうエフォート。

 ハーミットはニヤリと笑う。


(くっ……!)


 サフィーネは焦っていた。

 遠いところから話を始め、急に核心に迫る事を言う。

 彼のよく使う手口だ。

 このままではまずい、ハーミットのペースに巻き込まれる。

 何よりロケーションが最悪だと、サフィーネは形勢の立て直しを図る。


「お兄様、このような場所で立ち話もなんですから、とにかく応接室に」

「このような場所。つまりエフォート殿の私室だね。そんな部屋にこんな時間に、一国の王女が男女二人きりで、何をしていたのかな?」


 答えに詰まり固まってしまったサフィーネに代わり、エフォートは王子の前に歩み出た。


「ハーミット殿下、違います」

「何が違うのかなエフォート殿。場合によってはいくら救国の英雄といえど、不敬罪にあたってしまうよ」

「お兄様!」


 反射的に声を荒げるサフィーネ。その反応に、王子はクスリと笑った。


「冗談だよ。貞淑な我が妹に、いかがわしい事などある筈がない」


 ハーミットは妹の頭の上にポンと手をおく。反射的にサフィーネが手にした書類の束を強く握ったことに、エフォートは気付いた。


「勇者選定の儀という大任を預かることになって、張り切っているんだろう? だからこんな時間にも関わず、研究院トップの魔術師に相談に来た。そんなところだろ」

「……その通りですわお兄様! もう、本当にお人が悪いんですから」


 サフィーネは自制心を最大限発揮し、朗らかな笑顔で答える事ができた。


「あはは、ごめんごめん。昔からサフィーネの事は、ついからかっちゃうんだよね」


 エフォートはホッと息をつく。

 だがサフィーネの方は安心などできる筈がなかった。


(よく言う……わざわざフォートの古傷を抉ってまで、この性悪男!)


「ここに来たのはちょっと確認したい事があっただけなんだ。時間は取らせない。エフォート殿もこのままいいかな?」

「……はい」


 エフォートは王子に椅子を奨め、自分は直立する。


 ハーミットは軽く礼を言ってから、椅子に座った。


「あ、あの、ではわたしはこれで、失礼します」

「ああ、マリオン嬢。君もここにいてくれたまえ」

「はっ?」


 空気を読んで退出しようとしたカリンが、何故かハーミットに引きとめられ目を丸くする。

 それはサフィーネとエフォートも同じだった。王子の意図が分からない。


「さて。昼間はお手柄だったねサフィーネ。意外だったよ、あんな事を言い出すとは」


 構わずに話を始めるハーミット。

 終始兄のペースで進められるこの状況は、サフィーネにとって不安しかない。多少は被った猫を脱いででも、主導権を取り戻したいところだ。

 サフィーネが機を伺う中で、ハーミットはニコニコと話し続ける。


「『王位継承権を放棄する』は良かったね。あの手の権力欲が強い老人は、権利を手放す人間のことなんて想像もできない。サフィーネを信じたのは、ありえない選択をする君がさぞかしバカに見えたからだろう」

「バカに見えたから、ではありませんわ。バカなのです。私はお兄様に乗せられたんだと思ってますわ」

「ほう?」

「あの会議で、最初にエフォート殿の話題を出されましたのはお兄様です。中立の立場にある魔術研究院の存在をアピールなさる為だったのでしょう?」


 エフォートが突然出た自分の名前に反応しかけるが、口を挟みはしない。

 サフィーネは続ける。


「父上やお兄様から同じ案が出たとしても、グラン様が受け入れたとは思えません。私は後から気づきましたわ。お兄様に言わされたのだと」

「はは、買い被りだよ。あの横暴な高司祭にどう対抗するか必死だっただけさ。……まさか、君の名前を出しただけでこんな事態になるとは思いもしなかった」


 エフォートの方を見て、ハーミットは笑う。


「あのシロウ・モチヅキを管理できるのは<反射のエフォート>殿しかいないとは、思っていたけどね」


 さすがにこれは罠だと、エフォートは気付いた。


「あの、会議で何があったんでしょうか? 先程から俺の名前が出てますが……。勇者選定の儀を魔術研究院が預かるというのは発表されましたが、会議でのいきさつは何も聞いていないので」

「おや、そうなのか。妹から何も聞いてないかい?」

「はい。エリオット王子が、王女殿下がやらかしたと触れ回っているとお聞きましたが、それ以外は何も。シロウ・モチヅキ? それは人の名前ですか?」


(ナイス、フォート! そうよ、私たちの繋がりは悟らせちゃいけない)


 内心でガッツポーズを取るサフィーネ。

 研究院内ではエフォートが王女と親しいのは周知の事実だが、機密事項まで教えられる関係だと、特に影写をエフォートが先に見ていた事実は、知られてはいけない。


「それはいけないね。サフィーネ、すぐにエフォート殿にもあの影写を見せた方がいい。そしてよく意見を聞いて、選定の儀を運営しなさい」

「分かりましたわ、お兄様」


 どうにか凌いだ、とサフィーネは安堵する。

 だが。


「例の影写魔晶は王前会議前に持ち出され、騒ぎになったからね。今度はちゃんと許可を取ってから預かるように」

「はい。……今度は?」


 さりげなく放たれた刃にギクリとする。まだまだ油断はできない。


「今度は、とはどういう意味ですかお兄様」

「ん? 言葉通りの意味さ。会議前に魔晶を持ち出したのはサフィーネ、君だろう? あの騒ぎが無ければ、王前会議で高司祭にシロウ・モチヅキの影写を見せる必要はなかったんだ」


 サフィーネの背筋に冷たいものが走る。


「一時的に魔晶が行方不明になり、その間に教会が彼の存在を知ってしまった可能性があった。だから公表したんだ。教会がシロウの事を知っていた場合、あの会議で公表していなかったら、王家は意図的に隠したと、選定の儀を前に窮地に陥ったからね」

「お、兄様……?」


(まだよ、証拠は残していないはず……)


 魔晶を持ち出す時に使った魔法、〈アイテム・ボックス〉。

 難解な構築式であるこの魔法をサフィーネが使えることは、サフィーネに魔術を教えた師匠とエフォートの二人以外、誰にも知られていない。

 サフィーネは、何を言われているのか分からないという表情で兄の出方を伺う。


「やってくれたねサフィーネ。もし影写魔晶が持ち出されたりしなければ、我々は黙って王前会議をやり過ごし、勇者選定の儀で問題なくシロウ・モチヅキを王国軍側の候補者とすることができたのに。あの強大な力を横から奪い取るとは、我が妹ながら恐ろしいよ」


 心臓は早鐘のように打っている。

 そんなサフィーネをエフォートは青い顔で見てしまう。

 サフィーネは生唾を飲み込んだ。


(……認めたら終わり。大丈夫、自分を信じるのよ。フォートが信じてくれている私を。証拠を残すようなバカな真似してない。これはブラフなのよ、間違いなく)


 サフィーネは自分に言い聞かせ、覚悟を決めた。


「……あははッ。あはははは……! 面白いですわ、お兄様!」

「サフィーネ?」

「王女殿下?」


 ハーミットとともにエフォートまでが、突然笑い出したサフィーネの反応に驚き、目を丸くする。


「そうね、前にお兄様が教えて下さったとおりですものね」

「どういうことだい?」

「不可解な事件が起こった時は、それでもっとも得をした人間が犯人だって。そうですわね。影写魔晶がなくなっていたのは存じませんでしたが、それで一番得をしたのは、選定の儀を任され勇者候補を左右する権利を得た、私ですものね」


 ああ可笑しい、とサフィーネはひとしきり笑う。


「ええ、そうですわ、私が犯人ですお兄様。じゃじゃーん! ……で、私はどうやって影写魔晶を持ち出したのかしら? お兄様が厳重に管理されていたんですよね?」


 ふうっと息を吐くハーミット。

 サフィーネに、これまでとは少し雰囲気の異なる笑顔を見せた。


「……魔晶を管理していたのは、軍団長のヴォルフラムだよ。すまないねサフィーネ。立場上、私はすべてを疑わなくてはいけないんだ。カマをかけるような真似をして済まなかった」

「へっ? カマをかけて、いらっしゃったんですか? てっきり冗談をおっしゃられてるのかと……えええ!? もしかして、本当に疑ってらっしゃったんですか!? ひどい!!」

「あはは。ごめんごめん」


 サフィーネはふくれっ面を見せる。


「私は本当に、教会とお兄様たちが仲良くできるように、精一杯できることをしているつもりなんですのよ!」

「わかっているよ、サフィーネ」


 演技力に乏しいエフォートはまたホッとした表情になってしまったが、よく分からないが緊迫した会話に終止符が打たれれば、誰でも同じ反応になるだろう。違和感はないはずだった。


「あ、あの、何が、いったい……」


 可哀想なのはカリンだった。

 よくわからないまま呼び止められ、王族同士の腹の探り合いを目の当たりにさせられる。

 それと理解できなかったにしても、心地よい時間ではなかっただろう。


「ああ、すまないねマリオン嬢。申し訳ないが、先に門の前に止めてある馬車に声をかけてきてくれるかな? まもなく城に帰るとね」

「は、はい、わかりました。……あの」

「ん? なんだい」


 カリンは安堵の表情を浮かべてから、ふと言いにくそうに問いかける。


「どうしてアタシの名前、ご存知なんですか? 失礼ながらアタシ、まだ名乗ってもおりませんでしたが……」


 サフィーネはギョッとした。チラリとハーミットに視線を向けられ、慌てて平静を装っている。

 いったいどこまで内情を探られているのか。

 カリンに視線を戻して、ハーミットは優しく答える。


「妹から聞いていたんだよ。可愛いお嬢ちゃん魔術師をスカウトしたってね。研究院は男ばかりだろう? だから分かったんだ」

「そうだったんですか。失礼しました。すぐに、馬車に伝えてきます!」


駆け出して部屋を出て行くカリン。


「……お兄様。そんな話、私はしておりませんわ」

「詰めが甘いよサフィーネ。カリン・マリオン嬢はグラン高司祭の妾の子だ」

「は? ……え?」


 本気で予測していなかった言葉に、サフィーネは凍りつく。

 カリンを見送り、振り返ったハーミットは笑っていなかった。


「サフィーネ。君は教会出身者を含めて、魔術研究院の人心をかなり掌握しているね。おそらく、研究員から君が出したくない情報が漏れることはないだろう。けれど油断は禁物だよ。あの子にスパイの自覚はないだろうが、マリオン嬢の前で起こった出来事は教会に筒抜けだと思った方がいい」


 ポタリ、とサフィーネの頬から冷や汗が落ちた。


 (カリン・マリオン、身上調査はしていたのに……!)


 女神教高司祭の妾の子ということであれば、個人情報の偽装は完璧を期されていたのだろう。

 それを見抜く事ができず、そしてそんな情報すら手に入れていた第一王子。

 それはサフィーネにとっては恐怖以外の何物でもない。


「……お兄様、それをご存知であれば、どうして今、あの子の前でこんな話を……」

「これで教会に対しては、君の潔白が証明されただろう?」

「それは……」


 教会に対しては、という物言いに含む処を残すハーミットの意地悪さ。


「教会を舐めないほうがいい。研究院からまったく情報が漏れない方が、かえって怪しまれる。これからも、適度に情報は流してやることだ」


 ポン、と肩を叩いて部屋を出て行くハーミット。


「お兄様……!」

「見送りはいらないよ。エフォート殿と打ち合わせを続けるといい。……ああ、サフィーネ」


 廊下に出てから、振り返るハーミット。


「君と話すのはとても楽しい。けれどまだまだ優秀に見えてしまうよ? もうちょっとエリオットを見習うといい。本物にはなかなか勝てないだろうけどね」

「……そうですか。ではお兄様、これを」


 サフィーネは笑って、手にしていた書類の一部を兄に渡した。


「これはなんだい?」

「見て頂ければ、分かりますわ」


 ハーミットは羊皮紙を数枚めくると、僅かに目を見開く。


「……自棄になってないかいサフィーネ?」

「なんのことでしょう? お兄様に『他にも思い出すことがあれば』とお願いされていた件ですわ」

「それをこのタイミングで渡すあたり、私は本当に君が怖いよ」


 そう笑いながら、ハーミットは去っていった。

 しばらくの間はサフィーネもエフォートも動けなかった。

 やがて、緊張の糸が切れたようにサフィーネは床にへたり込む。


「サフィーネ様」

「……大丈夫フォート。あれでまだ攪乱できる。私たちの本当の目的までは悟られてない、はず」


 お互いカラカラの喉から声を絞り出す。


「いずれ潰すシロウ・モチヅキの身柄なんて、最終的にはお兄様にでも教会にでも渡して構わないのよ。その向こうにある物に届くのなら」

「……そうですね。でもその前に」

「ん?」


 エフォートはぎこちない笑顔を作ってサフィーネを見る。


「俺が選定の儀で転生勇者を倒してしまったら、殿下の努力を無駄にしてしまいますね」


 その言葉に、王女は思わず笑ってしまった。

 慣れない冗談に隠しながら、反射の魔術師は決意をしていたから。


「期待してるよ、フォート。でも無理はしないでね」

「こっちの台詞です。これ以上、殿下が自分を危険に晒す必要をなくします」

「ん? 私の出番を無くす気?」

「そろそろ俺にも活躍させて下さいよ」


 二人は見つめ合い、笑い合った。



 そして一ヶ月後。

 選定の儀の当日、ついに王国にシロウ・モチヅキとその一行は姿を現した。

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