第10話 花の写真

町の道を歩いていると、花の写真を一生懸命撮っている人がいました。

「きれいですね」

声をかけると彼女ははにかみ言いました。

「お土産なのです」

「お土産?」

「ええ。久しぶりに、両親の家へ帰るのですけれど。花なんてどこでも見れるけれど、ひとつひとつどれも違っていて。いいかなって、思うのです」

彼女は花を見つめてそっとほほ笑みました。

花は照れるようにそっと揺れました。


私は彼女と彼女の想いを届けてくれる花に、そっとあいさつをして、また歩いてゆくのでした。

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