第5話 オカルト断ち

友人の女性の話だ。

彼女は一時期不運が続いて、原因不明の体調不良にも陥ったために

小学校からの趣味であった占いや

オカルト関連のものを遠ざけていたことがあったという

愛用していた水晶などの占いグッズやタロットカード

オカルト関連の書籍、そして各種雑誌

さらにはオカルトや都市伝説系の動画や

オカルト系の趣向のバンドの音源なども封印して

二か月ほど、完全にその手のものから離れた生活を送っていたそうだ。


ここからはその女性の話である。

「……体調不良を直すために時間も欲しかったから

 一年くらいは断つつもりだったけど、無理だった」

「なんで?」と尋ね返す自分に向け彼女は憂鬱そうな顔で

「私と入れ替わるように、妹の長女の中学生の姪が

 いきなりオカルトや占いに目覚めたの」

「……気になるほど、そんなに?」

彼女は頷いて

「明るい子だったし、学校でのいじめとかもなかったはずなのに

 なんでか急に陰険な感じになって、自分の世界に閉じこもってしまって。

 占いやオカルトに傾倒しはじめたの。

 本当に私の代わりのようだった」

自分が黙っていると彼女は

「それで諦めて、占いやオカルトを再び手元に戻したら

 何事もなかったかのように姪が元に戻ったの」

「……確かに何か、関連があるかも」

「結局、私は一生、この趣味と付き合うしかないかもって

 覚悟を決めたわ……」

彼女は大きくため息を吐いて、ビールを飲みほした。

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