告知

俺はヒナタのやつに自分の好きな食べ物を告知したことなどなかった。

だから、なんであいつが全て、そう、

お弁当の中身が俺好みの色になってるのか

甚だ疑問だった。

「俺さ、あいつに教えた覚えなんてないんだ。だから一体なんであいつが俺の好みを知ってんだか、謎なんだけど…」


震える声でシンヤに言いながら俺は

携帯を制服のズボンポケットから取り出した。メールはヒナタからだった。


「えー、そいつは気味が悪いな。

てか、橘ヒナタはエスパーとか?」


シンヤは呑気にそんなこと言ったが、ヒナタから送られてきたメールに依れば真相はこうだった。


『あのね、シンジ。

お弁当の中身に驚いていると思うけど、

実はそれ、シンジのお母さんに色々と聞き込みをして、シンジの好きなものを聞き出したんだからね!?私なりに、リサーチしたのよ。ほら、やっぱり1番最初のお弁当は健康に気を使うっていうよりも

シンジにとって好きなものばかり入れて喜んでもらいたいなと思ってさ』


『味付けも自信あるんだからね!!

味は一応、私のお母さんに味見てもらったしね』


LINEでのやり取り。


俺は既読スルーを決め込むことにした。


「こえええええ」


ヒナタの行動がはっきし言って怖かった。



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