38日目 言いたいことは笑いと共に伝えたい(タコヤキ・マン製作)

 こまりは久々にフィットネスバイクを濃いでいた。


 長く放置プレイをされて、俺は寂しかったぜ、お嬢ちゃん。


 フィットネスバイクはそう言っている気がした。少しペタルのネジがゆるんでいて、音がしたのでしめなおした。


 適度に負荷をかけた状態のペダルを回しながら、こまりはスマホを手に持っていた。


 何か、思い浮かんだわ。


 こまりはスマホに文字を打ち始めた。


『タコヤキ・マン』

 それはこまりが数年前に戯れに描いた絵だ。何となく設定をつけて、3枚位ハガキに描いた。


『3ミニッツ活動ヒーロー』その言葉が何となく気に入っていた。

 物事をなし得るために頑張るのに、それが逆にやる気を奪うという矛盾が何か良かった。


 彼は、やるぞー!って武器の爪楊枝を抜くと、やる気が抜けるのだ。


 まぁ、アホらしい。でもこまりはそういうアホなことが好きだ。


 日常の中で伝えたいことを彼に代弁してもらおうと描いてみたが、思いの外、彼はへっぽこなヒーローだった。というか、ヒーローと呼べるのかさえわからない感じだった。


 1話目を書き終わったところで、フイットネスバイクが


 手ばっかり動かして、あんよは止まってるぜ、お嬢ちゃん。


 と言ってきた。


 1度に2つの事は不器用だからできないわ。と思いながら、声なら出せるかもと思って、音声入力て書くことを試みた。


 アホらしい言葉を口に出して笑わないでいられる程、こまりの笑いのツボは深くなかった。


 いや、無理だわ。


 諦めて手入力で打ち続ける。


 わしは使わんのカーイ?と部屋の隅に眠るノートパソコンが声をかけてきた。


 彼は家電量販店の店員が「動画もみるのイライラするくらい、スペック低いですけど、本当にいいんですか?」と何度も聞くほど、のんびりちゃんだ。


「勉強用なので問題ないです」といって迎え入れて、仕事を辞めてからはのんびりさせている。


 君を立ち上げている内に、スマホで打ち終わっちゃうのよ。ごめんね。とこまりは思った。


 何とか、3話まで打ち終わって、タコヤキ・マンを世に解き放った。


 自己満足のなんちゃって小説の出来上がりよ。


 伝えたいことは真面目な顔じゃなくて、笑いながらすっと心に染み透るような形で伝えたい。


 でもまだ、タコヤキ・マンでどう伝えるかわかんないわー。とこまりは思った。


 彼は限界値が低すぎる。助手のジョニーや店主の手をかりることも今後出てくるだろう。


 そろそろ、漕がないかい?お嬢ちゃん。


 フィットネスバイクが声をかける。


 こまりは音楽をかけて、バイクを漕ぎ始めた。


【今日できたこと】

 ・笑う

 ・バイクを漕ぐ

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