27日目 プラス感情は還元したい 味噌生姜ラーメン

 こまりはうきうきしていた。今日は夜ご飯にラーメンを食べに連れていってもらう予定だからだ。あまり体調が良くなければ、延期予定だったが、お昼ご飯も食べることができ、何とか大丈夫そうだった。


 心配していた車酔いも、酔い止めを事前に飲んだお陰で回避することができた。ラーメンを食べる前に吐き気がしていたら、ラーメンに申し訳なさすぎる。


 目的のお店には、車で10分程で着いた。店の中に入ると、ラーメンの良い匂いが食欲をそそった。注文したのはお店の看板商品である味噌ラーメン。こまりの好物だ。


 ラーメンを食べるのは久しぶりだった。食べたいなと思うことは多々あるが、1人で外食する気にはなれなくて、なかなか行けなかった。他の人と一緒にご飯を食べられるのは幸せなことだとこまりは実感していた。


 向かい合って座ったテーブル席には、落書き帳と書かれたノートが置いてあった。開いてみると、お客さんがラーメンの感想や絵等を書いていた。お客さんの感想に対して、店主も返事を書いており、温かな交流の様子が読み取れた。こまりが楽しく読んでいると、ラーメンが運ばれてきた。


 薄いが大きいチャーシューの上にはすりおろし生姜がのっていた。野菜はネギにもやし、玉ねぎにめんまのラインナップ。れんげでスープをすくって飲むと、濃厚な味噌の味がした。油は少なめで飲みやすいスープだった。黄色い中太の縮れ麺にはスープが絡んで、噛む度に旨味のある味噌味が口の中に広がった。箸で切れるチャーシューは香ばしい匂いがして、肉肉しい。野菜は少し歯ごたえを残し、麺とチャーシューの間の良いアクセントになる。スープが飲みやすく美味しくて、頻繁にれんげでスープを口に運んだ。


 美味しい。


 ただ、美味しかった。


 途中でチャーシューにのっていた生姜をスープに溶かすと、一気に味にしまりが出て、スープがよりぐいぐい飲めるものになった。味噌と生姜がこんなに合うなんてこまりには新発見だった。


 一番美味しい状態で食べたくて、ほぼ言葉を発せずに一気に食べた。


「ごちそうさまでした」


 心を込めて、手を合わせる。こまりはテーブルの上がきれいなのを確認して、先程の落書き帳を目の前に置いた。言葉を選んで文字を綴る。美味しかったの思いをこめて、舌をぺろんと出したにこちゃんマークを最後に描いた。


【初めて来ました。味噌ラーメンはスープも麺もお野菜もチャーシューも全部が美味しくて、夢中になって食べてしまいました。口福な時間をありがとうございました。お身体には気をつけて、これからも素敵なラーメンを作ってください。また来ます。ごちそうさまでした。 こまり】


 お店の方に「ごちそうさまでした。美味しかったです」と声をかけてお店を出る。まだ口の中が美味しい感じがした。


 こまりはプラスの感情は相手に伝えて還元したいと常日頃から思っていた。今回のようなノートを置いているお店は最近あまり見かけないが、こまりは好きだった。


 生姜に味噌って合うんだなー


 膨れたお腹を擦りつつ、帰り道で車に酔わないことを祈るこまりであった。



【今日できたこと】

 ・面倒くさがらずに自己満足ではあるが、プラスの感情は相手に伝える努力をすること

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