26日目 Gという恐怖

 本日5月3日、こまりの体調は多少ましにはなったものの、抜群という訳ではなかった。


 昨日の真だいは、よく見たら塩でもう味付けしてあるものだったから、無難に焼いた。魚がくっつかないアルミのシートは本当に便利だ。


 それに加えて、ひじきとにんじん、蓮根などを和風煮物、きゅうりの甘辛く漬けたもの、スープのラインナップ。

 何となくひじき食べておけば健康になれる気がするのはこまりだけだろうか?


 早めに切って冷やしておいたパイナップルは、だるい身体に甘酸っぱくしみていった。


 298円で大きなタッパーがいっぱいになる位のパイナップル、切る手間と大量に出るゴミさえ気にならなければ、カットパインよりホールで買う方がお得だ。


 しかし、今は5月、こまりにはそろそろやらなければいけないことがあった。


 それは…虫対策だ!


 虫には申し訳ないが、こまりは虫が苦手である。

 あの黒くて、動きが機敏で、生命力にあふれたGで始まる虫は特に苦手だ。


 出会えば、びっくりする程に近所迷惑な声が出るし、しばらく家の中で恐怖を感じてしまう。


 予防。

 こちらはあなた様のお住まいではありません。ご遠慮くださいませ。


 こういった線引きをすることが、お互いの為には大切だ。


 私だって、食べる以外の無意味な殺生はしたくないし、あちらも苦手だからといって殺されたくはないだろう。



 32平方のこまりの陣地に、新しく買ってきた予防の駒達を配置していく。


 地味に高いのと、大体一年持つのでいつから置いてあるのかわからなくなったものもある。

 今回は御老体さん達には、引退して頂き、これでもかというくらい駒を配置する。


 撃退スプレーに、

 予防スプレーに、

 予防と撃退の駒。


 まだこの家で出会ったことはない。

 今後もそうなるように期待したい。


 パイナップルは美味しい。甘い匂いがする。でも、その皮はゴミになり、彼らを惹き付けかねない。


 暖かいのは好きだ。でもそれに付随してやってくる虫達はご遠慮したい。


 彼らがより大きいらしいから、南国には住めません。


 駒の配置が終えたこまりは、予防スプレーを振り撒き始めた。

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