海!
小学校の前でスマホを触りながら、電信柱にもたれかかる。もちろん変態なわけでない。
俺と凛ちゃんは待ち合わせをした。俺たちが、通っていた小学校を待ち合わせにした。それが一番分かりやすかったというのもあるのが、凛ちゃんが提案したからである。
「お待たせしました」
そう言ってヘラりと笑う凛ちゃん。
服装は少しダボッとしたTシャツに、ダメージジーンズ。真珠がついたビーチサンダル。白のキャップを被っている。少しボーイッシュな格好である。いつもは女物の制服を着てる分、ギャップがすごい。
「……かわいい、と思う」
「取って付けたようなセリフですね。でも嬉しいから良しとします」
そう言ってその場でくるりと回って見せた。多分、俺の自転車の後ろに乗ることを知っていたから、スカートを来てこなかったんだろうなと思う。
「じゃあ海までよろしくお願いしますね」
「あぁ。安全運転で行くぞ」
俺の自転車の後ろにまたがる凛ちゃんが俺の腰をキュッと掴む。小さい頃を思い出す道と、体温。変わったのは今も背中に感じる二つの果実くらいだろうか。
「なにニヤけてるんですか。気持ち悪い」
「毒舌!?」
「懐かしいですね。何も考えずに遊んでましたよね。あの時、私のことを好きって言ってくれましたよね。私も好きだったんです」
「知ってた。だから俺は舞い上がって、色んなところに凛ちゃんを連れ回したんだ」
知ってたというか、気づいたの方が正しいだろうか。あれだけのことをして、一緒に海までいてくれるのは、小さい頃の俺を許してくれてる以外ないから。
坂を超えると海が見えて、ビーチが一体に広がっていた。まだ本格的な夏じゃないので、人は多いというわけではない。
「でも、凛ちゃんはビーチの砂みたいに掴んだと思ったら、指の隙間からどこか行ってしまったんだよ」
「じゃあ今度は手に水かきをちゃんとつけていてくださいね。私が逃げられないくらいに」
「どうだろうな」
俺がそう言うと、俺の自転車から降りた凛ちゃんは一直線にビーチに走っていった。楽しそうに、ピョンピョンと跳ねながら、こちらに向かって叫ぶ。
「早く来てぇー!大成くん」
俺も自転車を止めると、凛ちゃんの元に向かう。俺が目を離した隙に凛ちゃんは水着に着替えていた。白のビキニである。
胸は大きいって方じゃないのだが、スタイルがよすぎる為に、強調させる胸元には嫌でも目がいってしまう。
「あんま、ジロジロ見ないで欲しいです。恥ずかしい」
「なんか、エロいな」
「そ、それはどうなんですか!?褒め言葉ですか!」
恥ずかしそうに、胸を隠すが、満更でもないような顔をうかべる。
「思ってたことがつい口から。可愛いよ。綺麗な白色で」
「ありがとうございます。今日のために買ってよかったです。ほら、行きましょう」
そう言って凛ちゃんは海へと走っていってしまった。このあと、めちゃくちゃ遊んだ。
♣♣
もうそろそろ完結です。
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