第17話ヒロインは誰だ?


「私リクの彼女なんですけど」


「はい?」


バイバイ記念日の翌日の夜23時半頃、

見知らぬ番号から電話がかかってきた。


「私リクの彼女なんですけど」


「はい????」


それは聞こえているが、理解が追いつかない。


「あ、すみません。僕です。リクです」


「ああ…」


マジか…やっと状況を理解した。


「この前リクと嵐山行かれましたよね?」


「え??」


「だからこの前嵐山いかれましたよね??」


「嵐山⁇」


嵐山に行ったのなんて1年ぐらい前の話だ。

ここ最近彼とは電話でしか話していない。

この彼女とやらは何を言っているのだろう。


「嵐山なんて我々行ってないですよね??」


リクが会話に入ってきた。


「あー。ハイ…」


「こっちには色々証拠があるので、

私訴えますから」


彼女は怒りのあまり声が震えている。

私は何の罪で訴えられるのだろうか。


「もう切ってくれて構わないです!」


再びリクの声。


「私訴えますから」


相当怒っている彼女。


「えっと。かなり迷惑なんですけど…」


他人の痴話喧嘩に巻き込まれている

間抜けな私。


「とにかく訴えますから‼︎」


プチッ。ツーツーツー


一年半突っ走った恋の最終章がこれ?

彼の彼女は私ではなかったの?


これはキツイ。

あまりにもお粗末だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る