244のダイアリー

ナタリー爆川244歳

その先、大人になった君から

2022年4月6日。

world ethicが再結成した。

world ethicというのは私が所属していた、そして今また所属しているバンドだ。

それが新曲「BLUE」を引っ提げて、帰ってきた。

7年の沈黙を破っての帰還だ。バンドを再結成するには

十分な時間が流れたと思う。


なぜ所属していた、と書いたかといえば、

バンドがかつて一度解散したからである。

2015年3月、本町club MERCURYというライブハウスで行われた

「君がその先、大人になっても」という自主企画ライブが最後のライブだった。


ライブ名をつけたのは私だった。

Bloodthirsty butchersというものすごくカッコいいバンドの

「Jack Nicolson」という曲の歌詞の一節からつけた名前だった。


「君がその先大人になっても 悪い大人の手本でいたいんだ」


この一節が私の心の琴線に触れまくった。

当時はそればかりを狂ったように聞き続けて、大人になるってなんだろうな、とか思春期のガキのようなことばかり考えては、頭を悩ませていたような気がする。


あの頃、すでに私は成人していたので、世間的には「大人」だったのだろうけど

自分としてはまだ大人という自覚はなかった。

そして困ったことに、今も「大人になる」ということがよくわからないでいるアホな暇人なのだ。


バンドの解散後はラブホテルの掃除と飲食店のホールのバイトをして、

稼いだ金で通信制の大学に通いつつ、

小説やらエッセイを作ってはネットやらに発表して過ごしていた。

何度か賞への投稿もしたが、とくに音信は無かった。

あと、映画やらアニメやら小説やらを、合わせて500作品くらい鑑賞した。

ベースなんてロクすっぽ触っていなかった。


ちなみに執筆は今も続けている。

今も短い作品ではあるけれど、細々と書きつづけている。

最近はネットでの発表をしていないけれど、今後も時間を作ってやっていくつもりである。

賞とかにもまた応募してみたいと思っている。


閑話休題。


大学を卒業した後、就職した。

違う街に住めば、新しい人生が見つかるかも、とかフワフワしたことを考えて

金が溜まった頃に転職し、地元から遠く離れた街に住んだ。

やっぱりベースは触っていなかった。


解散から、6年くらいたったある日のことだ。

世間でコロナが猛威を振るっていた。

私はworld ethicのメンバーとオンライン飲み会をしていた。

メンバーとは、バンドの解散後も親交が続いていた。


バンドを再結成しよう、という話が出た。

私は一回断った。昔のことを思うとあまり乗り気になれなかったのだ。


でもしばらくして、きまぐれにベースを触ったとき、

再結成もいいかもな、と思った。

ラーメンが食べたくてラーメン屋に行くのと同じだ。

バンドがやりたかったら、またバンドをやればいいのだ。


また時間が流れて、2021年の10月。

個人的な事情で、私は地元方面に帰った。

タイミングよく、バンドの再結成に向けての活動が始まったのもこの頃だった。


スタジオに入ったり、レコーディングをしたり、アーティスト写真を撮ったりして、

気がつけば半年が経っていた。

そして、2022年の4月6日、やっとこさ新生world ethicの発表ができた。

そのことをすごくうれしく思っている。


今の状況を7年前の自分に説明しても、

とうていじゃないが信じてもらえない気がする。


何はともあれ、

7年経ってもバンドやら執筆やらの

ことばかり考えて生活しているあたり

「悪い大人の手本」にはなれたようだ。


ーーー


皆さんへ


ついつい話が長くなってしまったけれど、

これからもworld ethicをよろしくお願いします。

(了)

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244のダイアリー ナタリー爆川244歳 @amano_mitsuru

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