NTRドロドロ面倒くさいから、全員抱いた(嘘)。~男だからって逃げられると思ったか?~
春菊 甘藍
しゃらくせェ……全員抱くか(抱けるとは言っていない)
とある飲み会にて、
「よくもまぁ、顔が出せたな」
「あんたこそ、恥ずかしくてないわけ?」
トゲトゲしい会話をする女子。
「♪~」
素知らぬ顔の男が一人。
「……」
暗い顔の男が一人。
「さぁて、みんな集まった事だし乾杯と行きましょうかぁ!」
場に合わぬ明るい声を出す男。
それが僕だった。
「「「「……」」」」
肌がヒリつきそうな、殺気。
杯を掲げる者など一人も無く、
「……はぁ、一体何でこうなったかね」
事の発端は一年前に
説明に必要な人物を説明する為に、女子二人をA子、B子。男子二人はC太郎、D太郎とさせて頂こう。特定名詞を使うことはあらぬ誤解を生むのだ!!
一年前、僕はあるサークルに所属しこの四人と出会った。しかしご時世という事もあって、満足にサークル活動は出来ない。
しかしせっかくだからと、この五人で何かと一緒に行動した。車を持っている奴にドライブに連れて行ってもらったりとそれなりに楽しく過ごしていた。
だが、金銭的に厳しかった僕はサークルをやめた。
やめる際に僕のお別れ会を催してくれる程度には仲が良かった。
この時くらいだっただろうか、A子とC太郎が付き合い始めていた。そんでもって僕はD太郎がB子のことを好きだった事を知っていた為、内心応援してた。
そして一年後。
思わぬ臨時収入が入った僕は、サークルメンバーが催してくれたお別れ会のお礼がしたくなりメンバーを誘い飲み会を開いたのだが……
「ふざけんなよ!」
ダメな酒の回り方をしてきたA子が騒ぎ出す。
「は? A子が振られただけの話でしょ、何熱くなってんの?」
スマホをいじり続けるC太郎に寄り掛かるB子。目を疑う光景、確かA子とB子は親友だったはず……
「……」
押し黙るD太郎。
飲み会が始まるというその時、彼は教えてくれた。
B子が、C太郎をA子から寝取ったという事実を。
「は?」
それ以上の言葉が出なかった。
こうして始まった飲み会は
女性陣の殺意にまみれた眼差し、渦中のくせして気にもとめない様子のC太郎。今にも自殺しそうなD太郎。
「みんな一年で変わりすぎやろ…………」
僕はちょっとリッチになっただけなのに!!
デリヘルの運転手のバイトした時の採用理由聞かせてやろうか?
『だって君、女の子とそういうの無理そうだしW』
畜生、大正解だぜ!
お給料ありがとうございました!!!
あとお姉様方、危険運転してすんませんでした(個人的吐露)!!!!
「はぁ……」
久しぶりに会える友人と楽しく飲むつもりだった。なのに何故こうなった?
「……あ」
飲み会がデスゲームへと変貌しそうな時、ふと思いつく。
「コイツら全員抱けば良いんじゃないか?」
「「「「は?」」」」
メンバーの視線が僕に集まる。
いがみ合っていたA子とB子。|俯《うつむ)いてたD太郎、スマホしか見てなかったC太郎さえ僕を見る。
「あっ、男も含めるからな」
これは言っておくべきだろう。
例外は
「「?!!!」」
男子連中の顔が青くなる。
「よ~し、てめェら覚悟しろ。なぁに、命は奪わねえ。その性癖を粉砕する」
席から立ち上がり、じりじりと近づく僕からメンバー達は後ずさる。
「楽しい夜になりそうだなぁ?!!」
多分僕は、汚らしい笑みを浮かべていることだろう。そうして夜はふけていく……
*
翌朝。
ラブホテルの一室にて、C太郎目覚める。
一糸まとわぬ姿、さっと引く血の気は昨夜に見た最後に光景を思い出したからか。
横の布団に不自然な膨らみ。恐る恐るめくるとそこには……
「……♥」
一糸まとわぬD太郎がいた。
「?!!!」
*
また、他の一室にて、
「「はぁ?」」
一糸まとわぬA子とB子が顔を見合わせる。
*
白む空に嬌声がこだまする。
男同士、もしくはその逆も
朝焼けが照らし出したのは、
「フッ」
満足そうに微笑む一人の男。
「溢れんばかりの幸福を祈るぜ」
この日、一人の男が『同性カップリング職人』として覚醒した。
「NTRドロドロしゃらくせェ!」
男はのたまう。
「全員、
NTRドロドロ面倒くさいから、全員抱いた(嘘)。~男だからって逃げられると思ったか?~ 春菊 甘藍 @Yasaino21sann
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