勲章の記憶
1945年3月、ジョージ・フラットは、ライン川に掛かる最後の橋であるレマーゲン橋を占領するための進軍に加わっていた。
西部戦線に残ったドイツ軍との戦いの中、ジョージは、戦火を潜るたびに得体の知れない感覚に囚われるようになっていた。
銃を構えるたびに視界がぼやけ、耳鳴りがするようになった。
そんな状態で生きていたのだから、余程運が良かったのかもしれない。
何人もの捕虜を捕らえたが、彼らの顔もぼやけて、どれ一つとして思い浮かべることが出来なくなっていた。
もっとも、どんな表情をしているかと気にすることもなくなっていた。
橋に近づくと、上空には橋を破壊しようとするドイツ軍の爆撃機が見えた。
ライン川に走る爆撃機の影を追っていると、ジョージは土嚢に頭を預けるようにして倒れこんだ。
全ての感覚がなくなったように感じた。
そこからは、仲間に叩き起こされ、立ち上がり銃を構えたことまでしか覚えていない。
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