無敵の合体スライム追放のち、いずれ最強の弟子になる~勇者も魔王も神も平伏せよ~
スライム道
第1話 プロローグ2022/04/07/00:00
スライムは合体し強くなる。
3体合体
8体合体
100体合体
幾千にも合体を繰り返し、数々の名だたるモンスターや冒険者を死へと追いやった最弱にして最強の数の暴力者。
だがスライムたちにも仲間とそうでない者たちが居た。
「「「surasuracupicupi」」」
彼らの中からハブられ、一匹のスライムが冒険者に見向きもされず逃された。
仲間さえいれば、こんな冒険者など叩き潰しているはずなのに、これほどの屈辱があるだろうか?
しかしながら、自分は群れを追放された身。年老いたスライムなのだ。
敵にすら見向きもされずハブられっぱなしのスライムが精根尽き果てたその時。
小さな少年がスライムの方を見ていた。自分はここで命尽きるのだろうと思った。
仲間にハブられ、一人ぼっちで。
寂しく死んでいくものだと思った。
どうせならドラゴンのような、大きくて強くて、凶暴で果敢に歯向かっても絶対にかなわない存在に負けて名誉の死を遂げてみたかった。
なんせ最弱の自分を超える存在なんて、自分以外の全てだ。
スライムが幾万と集まってようやくたどり着ける最強を倒してみたかった。
仲間と苦労を共にしてみたかった。
友達が欲しかった。
所詮スライムは害獣。
モンスターの中でも汚水を待ち切らす嫌われ者。
この少年などの子どもでも見たら倒せと教わる始末。
踏み潰されて終わる。
最強は?誰?それはお前の師匠になる俺だよ。
「スラ?」
彼の肉体には自信と同じ模様を象った痣があった。
人間はそれぞれにモンスターの形をかたどった痣を持っている。
それは彼らが自分達を従えられる契約書。
選ばれた存在である人間に、対して、神が与えた。人間の対抗手段とも言われている。
強制的かつ無条件にモンスター達を従わせる一方的な力。
従えたモンスターは通常の野生種よりも成長し、大きくなり、力を増す。
人はそれを紋章と呼び。祝福と呼び。呪いと呼び。人生そのものと言った。
彼もまた自分を呪うだろう。なんせ最弱であるスライムを一匹しか従える事の出来ない紋章を授かったのだから。
紋章にも従えられる数というものは生来決まっている。彼は一体分のスライムしか従えることができない紋章。
「たった1度の人生です最後に。従えられるのがてめぇでいいのかって?」
幾ら幼い少年とはいえ、年不相応な流暢な物言いと口の悪さが際立っていた。
流石に周囲が看過できないレベルで口が悪すぎる。
人間からすれば、あまり長いこと、生きていないスライムだが、この人間が口が悪いことは理解した。
そして、今しがた死を覚悟したのに希望を感じていた。
この人間に従えば、もしかしたら生きられるのではないだろうか?
たった一回だけの使用を自分に施そうとしているくらいの変わり者だ。
自分を生きながらえさせるだけの何かしらの価値を見出している。
「大方、スライムの合体からハブられた孤立種。
それも、ひどく弱い。
囮に使われたか。
んで、今の心情は名誉の死でも遂げて見たかったとかそんなとこ。
俺を目の前にして自分と同じザコだと同情した....」
ふざけるなよ、俺はお前の師匠だぞ。
はっきりと聞こえた。
消え入りそうなのに、重みのある言葉。
「彼ら。俺よりも強い。俺よりも強いってことはお前ら全員。超えられるってことだぜ?」
「すらすら?」
「雑魚はそこでも最強になれる雑魚。それが最高なんだよ。」
いいか、今から魔法の言葉を教えてやる。
「........................................................................................」
彼が言ったその言葉はスライムに深く刻み込まれた。
これは、群れで過ごすスライムから見放された物語であり。師匠である人間がそのスライムをずっと超え頂点であり続ける壁である物語でもある。
少年はその容姿、黒く染まった髪と生傷が傷跡(ケロイド)の赤褐色に染まったことからライオンという渾名があり、名をレオンということを知った。
スライムは彼のように赤く染まっていくことを知った。
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