GUZE(グゼ)
三崎和哉
第1話
※まだ題名のない小説より続く
「人間は愚かだった。」
西暦2022年、中華連邦の台弯侵攻に端を発するソビエト連邦と中華連邦の対立は世界大戦の引き金を引き台弯侵攻を黙認できない
アメリカはこの大戦に参戦、次々に欧諸国も後に続く第三次世界大戦。
誰もが遭遇したくない世界戦争が始まってしまった。
先進国の圧倒的武力の前に次第に劣勢にまわり始めた中華連邦は最後の手段を行使した。
戦略核ミサイルの使用。
そのミサイルは世界の主要都市へ
向け発射されたが先進国の要撃システムが
その大半を撃ち落とした。
だがここ日本の地と世界の数少ない主要都市へ向けて死への案内人(核ミサイル)はその猛威を情け容赦なく振るおうとしていた。
ところ変わりここは日本の防衛の要、
日本防衛省。
数十人はいるであろうオペレーターたちは
コンソールパネルを見ながら事態の深刻さにざわめき立ち、
次々に絶望の報告を上げていく。
「あと数分で横浜アメリカ基地および周辺に
着弾予定。
アメリカ海軍、海上自衛隊のイージス艦が
出航しましたが、数が多く横浜アメリカ基地周辺の防御以外間に合わないそうです。」と
若く短髪な清涼感ある若者がそれに似合わない苦渋に満ちた表情で報告する。
日本の大都市の殆どは要撃システムでの迎撃に成功、
また日米のイージス艦は横浜アメリカ基地周辺の死への案内人(核ミサイル)の要撃には成功したが関東に向けた死への案内人は数発着弾しようとしていた。
その時だった。
「核ミサイルが消滅しました。」
破壊されたわけでもないただ存在が消失したのだ。
オぺレーターたちは口々に同じ報告をしていく。
そんな混乱の中、1人のオペレーターが言った。
「なんだこいつは」
それは数分前にはカメラには存在しなかった男だった。
映像モニターのひとつがこの男を捉えていた。
それもそのはずである。
横浜アメリカ基地の監視カメラが捉えた映像で突如この男は現れたのだ。
場面は変わり数分前の出来事、
横浜アメリカ基地の周囲の空間が突如歪み
その中から人が現れた。
現れた青年は端正な顔立ちの神秘的な美青年だった。
髪は黒々として艶があり短髪とも長髪ともいえず少し逆立っていた。
瞳は黒だったが天性的なのか後天的なのか
ライトブルーがかった黒だった。
服装は民族衣装なのだろうか。
白の布地に赤青黄と色とりどりのラインが引かれ首元の黄金のラインが首の周囲を覆い
正面真ん中から垂直に下へ引かれている。
上半身衣装がやや大きめで下半身のズボンに
少しかかっていた。
肩には小さめなマントのようなものが金色の金具によって止められている。
履物は靴とも草履とも取れる足首に固定する金具のようなものがあった。
一見すると何かの祭事か舞踏会でも出席するのかといういでたちだ。
そのいきなり出現した神秘的だが表情に乏しい美青年が空に向けて手をかざし
その手を左から右にゆっくり薙ぎ払う動きをした途端、死への案内人が消失したのだ。
その数分前の映像をメインモニターに映し
一連の映像を見ていたオペレーター達および
奥の司令官席にいたであろう防衛省長官は言った。
「こいつは何者だ」と。
そう言った途端、青年は自分を映しているで
あろう監視カメラを無表情で見つめた。
彼の名は「GUZE(グゼ)」
この物語の主人公である。
第1話 完
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます