運命の告白

シヨゥ

第1話

「君の声が聞こえた気がして」

 道端で偶然であった彼女はそう言った。

「運命的だね」

 そんなロマンチックな言葉もなんだか怖い。

「用事は終わったの?」

「ああうんまぁね」

 歯切れの悪い返事になったなとちょっと後悔。

「何を買ったのかな?」

 手提げ袋に気づいた彼女は興味津々といった感じで覗き込もうとする。とは言え封をしっかりされているので中身が分かるわけもないだろうけども。

「気になる?」

「もちろん」

 これも運命だろうと腹をくくることにした。

「はいこれ」

 封を開けて中から物を取り出す。

「結婚指輪」

 手の平にそれを置かれて彼女の表情が固まる。

「然るべき時に、然るべき場所で渡そうと思っていたんだけれども。こんな街中で偶然出会ったんだし今がその時なのかな」

 そう理由をつけて、

「結婚してください」

 と告白した。周りの視線が気になるが致し方ない。

「おーい」

 しかし彼女から返答がない。仕方がなく目の前で手を振ってみると弾かれたように仰け反り、

「やり直し!」

 と返事が返ってきた。運命とはなんて残酷なんだろうか。

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運命の告白 シヨゥ @Shiyoxu

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