第四章
次の日もその次の日も、毎日ガブは、月が南に浮かぶ頃に突然現れ、月が南南西まで傾くと突然姿を消した。毎度毎度そうなのに、私は全然慣れなくて毎回ドキドキしていた。
だから半月の日、私はガブに言った。
『何で南に月が浮かぶと突然現れて、突然消えるの?びっくりするからやめてほしいな』
やっと言えた。と少し喜んだのも束の間、ガブから思いもよらない答えが返ってきた。
『無理だよ』
あまりにも端的な答えに思わずガブの顔を覗き込む。ガブの顔はどこか寂し気で、きれいな青い瞳には月が写っていた。
『無理?どうして?時間、変えるだけだよ?』
ガブが何でそんな顔をしたのか分からず、続けて質問をすると、少し困った顔をした。
『その条件が揃わないと僕たちは会えないから』と言って、俯いた。
ガブが泣いているように見え、『それってどういう意味?』と聞きながらガブの肩を叩こうとすると急に顔を上げて『神様のいたずらってことだから』と力なく笑った。
私は力強く一度だけ頷いて、『神様のいたずらってことで!』と顔をほころばせた。
私の言葉にガブは、エヘヘと笑って頷いた。
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