書きたくて書いただけの詩・読まれることを期待しない詩

@yuoiwa

読まれることを期待しない詩

推敲などもってのほか、

推敲などもってのほか、と私は言いました

みなさまの同意が得られるなどとは思ってはいませんが、

私には私なりの真実や決意のようなものがあって

いまはそれを表明すべき時なのだと、さっきまで

(何故かはわかりませんが)ぶるぶると震えていたところです


推敲などもってのほか、ただ右往左往する感情と感覚の反射によって

書きとばされ、書きとばされ、書きとばされる詩

そんなものが当たり前に人々に読まれるだなんて事は

想像する方がとんでもないばか者です

それはまさしく、読まれることを期待しない詩に他なりませんが、

推敲などする必要もなく

文法を生真面目に守る必要もなく

文を美しく書く必要もなく

読む人の胸を打つ必要も、魂を震えさせる必要もなく

読む人の涙を絞るようなお話を語る必要もなく

時にはひとつのモチーフすら設定する必要もない

ただ文章が連なっているだけのそんな詩を、私はこれから何百篇も

書きとばし、書きとばし、書きとばさなければならない

何故ならただそこに文章とよばれるものが存在するだけで、

意味など持ち合わせていないかもしれないがただそこにある種の表現が、

かたちになってなどいない、輪郭のない表現があるだけで

何かが整ったという気がする、何かがどうにか一歩前進したという気がする

ただそれだけが自分の本当にやるべき事なのだという気がする

そんな気持ちで、私もあなたも、推敲せず、

気持ちの整理をつけず、書きとばし、読みとばし、

誤字脱字にすらも手をつけず、言葉をじっくり時間をかけて味わおうともせず

ただそこに放り投げ、読み捨て、

すべてを不定なままに、すべてを不決のままに、すべてをあいまいなままに

しておく

私はしておく

自然なままの自分をその瞬間に、自分でも意味がわからないままで

とにかく天運に任せて

存在させておく


私はそんな詩を書きたいと思っているし、

   そんなもの詩なんかじゃないと言われたって、

読まなければ損もしないし、あってもなくてもどっちでもいいような代物だが

そしておそらくは(いや確実に)あらゆる意味で間違いだらけの代物だが

私はその一行ごとを即興で演奏しよう

そんなわけで私は第1日を迎えた

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