最高神の息子は魔王の次男に『しゅきぴ❤️』中

柳鶴

恋記を読む青年

【 恋記を読む青年 】

 雨が突然降り始めたのでたまたま近くにあった図書館に逃げ込んだ。仕方なく、多少止むまでここで休ませてもらうことにし、暇つぶしに大きな店内を歩いていると、妙に目を引く本が棚奥にひっそりと収納されてた。


 棚の前までゆっくりと歩いて行き、そこに立つ。丁寧に仕舞われているそれをゆっくりと引き抜く。だいぶ誰にも触れられていないようで本の上には埃が積もっていた。僕はそれを軽くはらい、本の表紙を見ると「神 ウィッド恋記れんき」と、記載されていた。


 僕は神話にはあまり興味がないのだが、この時ばかりは何故か気になった。ちょうど暇だったし、元より店内をぶらぶらと歩き回っていたのは暇つぶしのため。特に何の問題もない。


 それを持って図書館に予め用意されている机に本を置き、音を立てないように木の椅子を浮かせて引く。


 冒険心なのだろうか。心拍数が何故か上がっていた。興奮気味にながら恋記のページをめくり始める。

 雨の日、特有のあの匂いと木造きずくりの机の冷たさを感じながら。




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