31. 小説家さんとJK

31. 小説家さんとJK




 昨日、あれからオレは悠理のメッセージで真白さんが『気にしていないと思うよ』と連絡をもらった。


 そもそも、真白さんがオレなんかに期待しているわけがない。そう自分で思うと少し情けない話なのだが。


「ん?真白さんの部屋の前に誰かいるな?」


 そこには制服を着た女子高生の姿があった。なんだ?真白さんの知り合いか?真白さんの部屋の前でスマホをいじり立ち止まったまま動かないその少女。その時その子と目が合う。


「あ。」


 不意に声を出した彼女は、スタスタと歩いてきて目の前まで来たのだ。えっ!?ちょ、ちょっと待ってくれ!この子のこと知らないけど!?


「ねぇ。おじさん、ここの管理人さんどこ行ったか知らない?」


「いや、知らないけど……出掛けてるんじゃないのか?」


「困ったなぁ。おじさんここのアパートの住人さん?お手洗い貸してくれない?結構我慢してるんだよね?」


 なんて失礼な奴だ。でも真白さんがいないのは事実だし、ここで断るわけにもいかない。オレは仕方なく、その子を部屋にあげることにした。


「ごめんね〜助かったよ。あっ喉も乾いたから飲み物ちょうだい。オレンジジュースとかないの?」


「そんなのねぇよ。お茶でいいか?今用意するから」


 ったく。このJKは何なんだ?初対面なのに図々しいし……。まぁ、女の子だから怒れないんだけどさ。お茶を出してあげると、それをゴクゴクと飲み干した。


「あのさ、あたし管理人さんに会わないと帰れないから、帰ってくるまでここで待っていい?」


「うっ……真白さんが帰ってくるまでだからな。というかお前名前は?」


「あたし?あたしは雪菜。この春に近くの高校に入学したばっかりで、102号室に引っ越してくる予定」


 一人暮らしなのか。大変そうだな。そんなことを考えていると彼女は、テーブルに肘をついてニヤリと笑みを浮かべた。


「ああなんだ?何笑ってんだよ?」


「ねぇおじさん。3万でヤらせてあげようか?どう?現役女子高生とヤれるんだよ?」


「あのな?そう簡単に身体を売るなよ。」


 こいつ、なんつーことを言い出すんだ。ふざけてんのか?


「ふーん。したくないんだ。そっか、おじさんさ管理人さんのこと好きなんでしょ?」


「はぁ!?ななな、何を言って……」


「もし管理人さんが誘ってきたらどうするの?」


 いきなり変なことを言い出したと思ったらこいつはとんでもない爆弾発言をしてきた。真白さんが……いやいやそんなことするはずがない。それに真白さんはオレみたいなおっさんに興味はないはずだ。


「おじさん。顔赤すぎ!分かりやすい!」


「うるさい!大人をからかうな!」


 その時、インターホンが鳴り外から真白さんの声が聞こえる。まずい!誤解されたら……。そんなオレをよそに雪菜が扉を開ける。


「お前何やって……あの真白さんこれは違うんです!そのこの子が……」


「遅いじゃん。お姉ちゃん」


「あなたが早いんでしょ雪菜。あっごめんなさい北山さん、妹が迷惑かけてしまって」


「へ?妹?」


 真白さんの妹だったのか。じゃあさっきのは……こいつ、オレを試したな?オレが雪菜を睨み付けると、彼女は舌を出して挑発するようにウィンクをした。


全く、小悪魔だなお前は。


でも真白さんに会えたし、顔も見れたからよしとしよう。さぁ小説を書くぞ!

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