25. 小説家さんとお酒

25. 小説家さんとお酒




 オレと真白さんは晩酌を始める。ただ一緒にお酒を飲むだけで、そんな大袈裟なことでもない。ただ真白さんが初めてお酒を飲むだけだ。


「真白さんは缶チューハイでいいですか?」


「えっ? あ……お任せします」


「じゃあ持ってきます」


 真白さんの返事を聞いてからキッチンへと向かい、冷蔵庫から缶チューハイを2本取り出す。そして、コップと一緒に戻る。真白さんはオレの目の前にちょこんと座っていてめちゃめちゃ可愛い。


「それじゃ乾杯しましょうか」


「はい。かんぱい……です!」


 カチッという音と共にお互いの飲み物を口にする。真白さんは初めて飲むと言うだけあって、ちびちびと飲んでいる。その姿もとても可愛らしい。


「どうですか?」


「んー、なんか美味しいですね」


「それは良かったです」


 それからしばらく飲み続けて数十分後……真白さんが頬を赤く染めて酔ってきた。その証拠として目がトロンとしている。


 お酒を飲んだことの無い人は最初のうちはアルコール度数の低いものを飲むのだが、それでも少し酔いやすい体質の人なら1口目でも酔い始めるだろう。真白さんもそのタイプなのかもしれない。


「あの真白さん大丈夫ですか?」


「らいじょぶれすよぉ〜」


 ……これはダメだな。呂律が完全に回っていない。この様子だとまだ酔い始めて間もないはずなのに。これではまともに会話ができないだろう。


「ほら真白さん、もう寝た方が良さそうですよ」


「いやーん。何するすもりれすか?えっちぃ」


 ……うん。完全に酔ってるわこれ。めっちゃ絡んでくるんですけど。こんな姿の真白さんを見たことがないため新鮮だが、今は早く寝かせることが先決だ。


「真白さんカギはどこですか?部屋まで歩けますか?」


「ふぇ……ぁぅ」


 ……こりゃダメそうだ。仕方ない、今日は泊まらせるしかなさそうだな。真白さんには悪いが、今の状態で帰らすのは心配すぎる。


 しかし……この状況はかなりマズイ。真白さんが酔ったことで理性が崩壊しかけているのだ。今までずっと我慢していた感情が爆発しそうなくらいに溢れている。抑えろ……。頑張れオレ。


「とりあえず、ここで寝てください」


「……分かりましたぁ」


 真白さんをベッドの上に誘導して布団を掛けてあげる。すると真白さんは嬉しそうにしてそのまま眠りについた。


「耐えた……のか……?」


 正直言って危なかった。真白さんの匂いや無防備な姿を見てしまえば、簡単に理性なんて崩れてしまうだろう。それほどまでに今の状況は危険だった。オレはそのまま寝室を出てリビングに戻る。


「真白さん……あなた可愛すぎます。本当に大好きです。オレと付き合ってください……って言えたらいいんだけどな……」

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