16. 管理人さんとお誘い
16. 管理人さんとお誘い
私はいつものようにアパートの前の掃き掃除をしている。今日は約束の週末。さっき霧島さんが来ていたから、今頃は北山さんの原稿を読んでいるころだよね。
「なんか……私も緊張するよぉ」
そして、しばらくしてから霧島さんが北山さんの部屋から出てくる。
「あっ霧島さん!こんにちは」
「こんにちは管理人さん。擬似カップルの件、なんか押し付けたみたいで申し訳ありませんでした」
「いえ。気にしないでください。私が好きでやったことなので」
「……そう言っていただけるなら助かります。」
すごい大人だ……。私もこんな女性になりたいよ。
「管理人さん。晴斗の小説は今のままなら通すことはできません」
「そう……なんですね」
「晴斗の事お願いしますね。あいつは27の癖に恋愛に関しては中学生レベルだから」
「私もあまり変わらないかと……」
今まで男性とお付き合いしたことないし、少し恥ずかしい気持ちになる。そのまま霧島さんに別れを告げて自分の部屋に戻る。
「はぁ……ダメだったんだ。私にもっとできることないのかな……」
このまま北山さんが小説家をやめることになったら悲しい……。そんな時、部屋のチャイムが鳴る。あっ北山さんだ!私は急いで扉を開ける。
「あっ北山さんだ。こんにちは。どうしましたか?」
「その……えっと……」
「?」
え……もしかして私何かやっちゃったのかな?それともお前みたいな子供をヒロインにするのは無理!とかだったら……
「あっあの!この前のカレー美味しかったです。」
カレー?それをわざわざ言いに来てくれたの?やっぱり北山さんは優しくて良い人!
「本当ですか?それならまた作ろうかな……なんて。きゃっ言っちゃった。」
ダメダメ!感情が押さえられなかったよぉ!言っちゃった!
「真白さん。カレーのお礼じゃないんですけど、来週お暇な時間ありますか?水族館のペアチケットをもらって、その良かったら一緒に行きませんか?」
「えぇ!?その……それってデートですか?」
「そう……なりますかね。」
「……はい。ぜひ一緒に水族館デートしましょう」
私……今、顔大丈夫???もう感情がすごいことになっていて、今すぐにでも倒れそうなほど嬉しい!こうして明後日に水族館デートをする約束をして北山さんは部屋に戻って行った。
「デート……デートってあれだよね?あっ!私可愛い下着持ってたかな?って何期待してんのよ真白!違う違う!洋服だよね洋服!……明日買いに行かなくちゃ!」
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