3. 小説家さんと秘密

3. 小説家さんと秘密



 オレは早起きをして昨日の事を振り返っていた。


「それにしても真白さん。可愛い人だったな。あんな人が管理人なんてオレも運が向いてきたかな。彼氏とかいるのかな?」


 などと、のんきに考えていると……。


 ピンポーン♪ チャイムが鳴った。


 オレはモニターを確認すると、そこには…………管理人さんの水瀬真白さんがいた。オレはすぐにドアを開けて出迎える。


「こんにちは!真白さん!」


「わっ。こんにちは北山さん。いきなりでビックリしました。」


「ああ……すいません」


「いえいえ、わたしの方こそ突然押しかけてしまって申し訳ないです……」


 真白さんは少し恥ずかしそうに言った。


「えっと、それでどうしたんですか? わざわざ部屋まで来てもらって……」


「あ、はい。実はですね……その、あの、北山さんって何の仕事されてるんですか?教えてください。」


 そう言ってペコリとお辞儀をする真白さん。めちゃくちゃ可愛すぎる。


「オレは物書きです。一応小説家してますよ。そんな有名じゃないですけど」


「あっ!そうなんですね!! すごいです!!」


 目をキラキラさせながら言う真白さん。本当にいい子だなぁ。こんな子がオレの小説を読んでくれるなら嬉しいけどな。


「あ、でもこのことは内緒にしてくださいね? あまり知られたくない仕事なんで」


「はい!もちろんですよ!」


 そう言い、満面の笑みを見せる真白さん。この笑顔を見れるだけでこの場所で頑張れそうだ。


「2人だけの……秘密ですね?きゃっ言っちゃった。」


「え?……まぁ用はそれだけですか?」


「はい。お仕事のお邪魔をしてすいませんでした。私は管理人なんで、いつでも困ったら相談してくださいね」


「はい。ありがとうございます。」


 そう言ってドアを閉める。しばらく思考が停止する。そして……ふと言葉が出る。


「やべぇ……超可愛いんだけど……。『2人だけの……秘密ですね?』って、あの顔ヤバすぎ!!引っ越して良かったー!!」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る