アナログの頃

 今は世の中すべての画像がデジタル

 X線画像もデジタル化しているが、少し前はアナログだった。

 画像はフィルムを使って撮影していた。

 カセッテと呼ばれるフィルムを入れた箱を撮影したい部位の下に置き、上からX線を照射して撮影、暗室でフィルムを取り出し現像をする手順。

 カセットではなくカセッテ、これは医療界はドイツ語をよく使うのでカセッテなのである。

 現像は手現像でやっていた時代もあったが、さすがにこれは経験していない。

 自動現像機、略して自現機を使っていた。

 これはローラーでフィルムを送りながら現像液、定着液、水のタンクを巡り、最後に乾燥させて暗室の外に出るもの。

 以前はどこの施設にも暗室があって、暗室の中と外をつなぐボックスが設置されていた。

 撮影済みのカセッテをそこに入れると、暗室内の人がボックスを開けてフィルムを自現機に送り込む、そして未撮影のフィルムをカセッテに入れてボックスに入れると、外の人がボックスを開けてカセッテを受け取り撮影する。

 たまにタイミングが悪いと外の人がボックスを開けた時同時に中の人もボックスを開けて目が合うことがある。

「あっ!」「ごめん!」

 などと言って慌ててボックスを閉める。

 光が暗室内に入るとフィルムが感光して使い物にならなくなるから。

 これ、暗室あるある。

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