第598話 見つけられないなら知ってる人に[自主規制]
―――×●日目
元杉神官を探し回っても見つけられない
遥はダンジョンと迷路を調べているが・・なんというかこういうのは元杉神官らしくない気がする
ダンジョンは聖騎士候補たちや神官のための場所とわかる
だけど迷路は物凄い簡単な罠があるだけで、たまに宝箱とかある程度
意図が全くわからない
信徒たち皆で挑んだ迷路だったが成果はなかった
「レアナー様、セーさん、元杉神官の居場所を教えてくれませんか?」
「・・・・・」
「・・・・・」
・・まただんまりである
セーさんは幸せそうに、レアナー様はなにか面白いものを見るかのようにニマニマと
「またですか、この話題になるとは話さないのは元杉神官になにか言われてたりしますか?」
「<アーアー、聞こえないですぅ!ちょっとおトイレいってきますぅ!>」
「女神だしトイレしないでしょ!!?」
「・・・・・私もトイレ行ってきます」
「ま、まちなさいっ!!?」
皆でどれだけ問い詰めても、栄介お義父さんでも詩乃お義母さんでも「<絶対戻ってくるですぅ>」とは言うが居場所は吐かない
セーさんの障壁は遥が馬鹿力で破壊することに成功したが、それからセーさんも逃げるようになった、爆速で
「話してる途中でバリアの中入らないでよっ!このっ!!」
「・・・・・頑張って壊そうとしてるの、僕たち可愛いと思う」
「<どんな感性してるんじゃ オ ラ ァ !!>」
見えない四角い箱のような中にいたセーさん
怒る遥だが、いつもと違って変な音がした
障壁が割れた
「「あっ・・」」
すぐに張り直されたがそれからセーさんは燕のようなスピードで逃げるようになった
私は追いかけられないし、遥とヨーコが追いかけるも全然無理だった
いくつかのセーだけの隠し通路は見つかったが逃げに入ったセーを捕まえることは出来ないでいる
そこでセーさんを調べ直すことにした
なぜか元杉神官が居なくなって、むしろ幸せそうにしているセーさん
私は我を忘れるほどあの男を殺したくてたまらなくてセーさんの反応に気が付かなかった
反応もありえないが、なにかセーさんとレアナー様は隠し事をしている
それと積極的ではなさそうだけどミルミミスさんと・・今はいない元杉神官もそうだ
「なんで元杉神官について教えてくれないんですか?」
「<ふふっ、愛にはそういうこともあるものですぅ>」
「ゆーしゃとのやくそく、だから」
どう聞いても大事な元杉神官が死んだ反応じゃない
レアナー様も加護を授けた元杉神官を大切そうに髪を撫でているのを見たことがある
・・・言えないのか、言いたくないのか、言わないほうが面白いのか
サシル様もなにか渋い反応のままで確実に元杉神官が生きていると実感は持てた
あの神殿でのサシル様の道標、それは私達が行く前に既に元杉神官は死んでいたから敵の本拠地らしき城よりも比較的安全な目的地だった、加護を授けた私を守るためだったのだと思う
神様も真剣じゃないときは嘘をつくし、隠しごともする・・真剣だからこそ言えないこともあるのかもしれないな
以前私が眠った周りでレーマ・ワリやポポンやセーさんがはしゃいでいた時、セーさんは何もない壁から扉で現れていた
その場所を調べたが何もなかった
だから城内の監視カメラの記録を調べ直すことにした
城の中にはカメラが設置されていて、警備員がカメラを見ているし録画もしている
オークションのときもそうだったけどレアナー教をよく思ってない人はいる、もしかしたら爆弾が設置される危険性があるからだ
城の至る所に隠している監視カメラを設置しているのは一定以上の立場の神官と聖騎士候補と暗部であれば皆知ってることだし聞かれればあると素直に言っている
カメラ設置時から全て調べ直して元杉神官とセーさんの行動パターンをマッピングして予測を立てるのだ
・・・・・成果は芳しくない
2人とも急に変な場所に現れることもあるしこの広大な城の監視カメラは死角も多い
微妙に加担してるようにみえるうちの一人、ミルミミスさんはとてもわかりやすかった
謎の落下し続ける部屋と人間らしい部屋の2つを巣にしているが基本どこでも寝る
そして食堂でご飯の過剰分を食べ尽くし、神様用の貢物の、主に酒を奪う
信徒さんや神官達に可愛がられて犬みたいにお土産食べてたりして・・・どれだけ食べてるんだろうか?
大体寝てるか食べてる
ミルミミスさんとセーさん、そして元杉神官のうちミルミミスさんは行動に問題なさそうだったので残った2人を調べているとおかしな点があった
2人は深夜に廊下から私達の寝室に入ってくることもある
元杉神官は寝ているだけだが、セーさんが入ってきているところは見たことがない
私達はそれを知らないし、出てくるのが昼過ぎになっていることがある
セーさんの行動に、私達の寝室に入って、私達を見つめている以外になにかしている時間がある・・・それも私達がいない間にも
・・・・・ん?
「ここ戻してください」
「はい」
「それと、元杉神官の出入りの時間と私達の出入りの時間も数字で出してくれますか?」
「そのデータなら既に・・・こちらになります」
カメラを巻き戻して見る
城全体での行動を見ていて、いくつも不自然な部分はあったけど特に寝室前が引っかかった
寝室前の廊下に絞ってセーさんの出入りを見ていたのだけど、元杉神官がおかしい・・?
元杉神官が寝室に入った後に私が入った記録があるのだが、その日そこに元杉神官はいなかった・・ような気がする
カメラでは記録が残っているが元杉神官には転移魔法があるし偶然かと思ったが記録上6度も似たような状況が見られた
2人が寝室に入ってきた記録はある、その間私達と同じ部屋にいるはずなのに、私達はそれを知らない
寝室の先には何もない
寝室も、巨大なベッドと衣装箪笥とサイドテーブルのみだ
なにか隠してるならここが正解なんじゃないか?
セーさんには一緒に寝てもいいとは言っているが寝るよりも私達をカメラで撮ったりすることのほうが多い、私達がいない間にベッドや私達、元杉神官の衣類の匂いを嗅いでいる可能性はあるが・・・確かめてみることにした
以前から今に至るまでのセーさんの行動パターンがおかしい・・ほんのちょっとだけ悪い気もするが・・・
「セーさんセーさん、この服着てみてください」
「わかった」
「周りの人たちにどう映るか、信徒さん達の意見が聞きたいから渡したドレスのどれかはずっと着ててね」
「うん」
電子機器で監視することにした
ごてごてした宝飾品つきのドレス・・・高精度に位置を特定できるGPSとカメラやマイクも取り付けた
私達の贈り物は身につけてくれるセーさん、ドレスを見て微笑んで喜んでくれているのを見ると少し、いや、かなり罪悪感が湧き出る・・元杉神官のことを聞くとだんまりになるし・・・お、お互い様だよね
・・・・・・・・何もなかったらほんっとーにゴメンナサイっ!!
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