第584話 超強行軍
生身で外を飛んでいるアダバンタスには悪いが敗走しかかっている連合軍とアンデッドの大軍を相手にお義父さんとお義母さんはとんでもなかった
そういえばこの人たち、洋介の千切れた体を素材に神様たちが作っていて、馬鹿みたいに身体能力が高い
帰ってきたときは嬉しかった
だって私がインフルエンザで行けなかった遊園地のチケットを渡して、三人は事故にあって死んだ
私のせいじゃないってわかっていても、ぽっかり胸に穴が空いたみたいだった・・だって私にとって大事な二番目の父と母だったから
隣の家で両親が親友同士、幼い頃から可愛がってもらっていた
洋介が産まれるときもお姉ちゃんになるって言われて凄く嬉しくて、最高の日々だった
洋介は産まれて本当に小さくて・・
「抱いてみる?」
「・・良いの?でも・・落としたら怖いし止めとく」
小さな洋介は触れてしまうと壊れてしまいそうで、良く物を壊していた自分が触るのは怖かった
「じゃあ座って抱けばいいのよ」
「ど、どう座れば良い!?」
「ふふっ」
たしか凄く緊張して、椅子に座る座り方だってわからなくなったほどだ
父さんに座ってもらって、その上に座って、赤ちゃんを抱いた
前には母さん、横には栄介おじさん、ベッドに詩乃おばさん
「ぁあ・・くぁー・・・・」
私の腕の中で、本当に小さな子供が声を上げて・・わたしの頬に手で触れた
「これからはおねーちゃんね」
「わ、わたしがおねーちゃん・・・」
なんて小さくて、なんて愛おしいのだと
震えるほどに嬉しくて、栄介おじさんと詩乃おばさんは本当の家族になった
二人はいなくなったあの日と同じ若さで、いや若干だが若返って帰ってきた
そして生活に支障が出ていた
金属のドアノブを握りつぶすし、3つ遠くの山の葉っぱの動きが気になるとか・・
すぐにおさまって、死ぬ前の友人や会社に連絡したみたいだけどなんか引きこもりになった
ボディガードに回してた人に聞くとひどい裏切りにあったそうだ
そりゃ・・死んで墓にもいれられてたのに、生き返ってくるとか大ニュースだよね・・・
引き籠もった二人だけど城の奥にあった誰にも動かせなかった人の乗れるゴーレムを動かしていた
洋介の発案で神様が作った対魔王用の兵器でaiシリーズ、なんでaiかって言うと洋介がロボットとか人工知能のことをうろ覚えでそう名前がついたらしい
しかし試作だけあって神様たちはかなりめちゃくちゃに作っていて魔力をバカ食いする
動かせるだけでもすごいが元は一般兵士でも使えるぐらいの性能を考えていたらしいが私でも動かせて数分だ、魔石とか使っても1時間も経たずに動けなくなる
それに二人は乗り続けられるだけの魔力を持っている
王都の到着と同時にまず栄介お義父さんの人型ゴーレムの胸からビームがでた
洋介の破壊力のない清浄化と違ってそこにあったものは城門ごと消し飛んだ
門の外で苦戦していた連合軍も主力の集まっていた城門付近が吹き飛んで一気に士気が上がったのを空の上で感じる
そのまま真っすぐ洋介のもとに行きたかったが首都を守る結界のせいか、洋介が何処にいるかわからず首都の上からアンデッド狩りをしている
王城にも街にも、アンデッドしかいない
一番王城が怪しいが神殿や他の大きな建物も怪しく見える
何処に洋介がいるかわからないから大きくゾンビ共を減らして何処からゾンビが発生しているのか、一番相手が守りたい場所を探している
ミルミミスが王都の全体に雷を落としまくり、雷を弾くような鎧を着ているものにはお義父さんとお義母さんが対処している
詩乃お義母さんはいつの間にか収納の魔法を使ってドラゴンの身体からガトリング砲とミサイルをだして打ちまくって蹴散らしている
それとお義父さんのゴーレム、ai0083は両手に大きな銃のような武器を持ってドラゴン型ゴーレムの足に掴まれたまま地表の敵を撃ちまくっている
暗部の人達もいつの間にそんなものを作ったのか戦車の大砲のようなもので破壊の限りを尽くしている
着弾した場所からは轟音が鳴り響いて爆発を起こし、白い炎を上げて大きく破壊されて・・・ちょっと洋介が心配になるが、アンデッドの多くいる場所や障壁の魔法のある場所を打ってるし大丈夫だろう
なにか地表から杖を持った明らかに魔法使いの集団がいたんだけど詩乃お義母さんのドラゴン型ゴーレムのマシンガンで一体一体狙い撃ちにしている
勿論敵からも投げ槍や弓矢、騎獣に乗っている敵も飛んで来ているがその中を高速で飛び回って風の影響もなんのそのの中反動の大きなガトリング砲で狙撃している
ドラゴン型ゴーレムにのっている私達だけどジェットコースターの3倍速のような、いや、洗濯機の中のようで内蔵が口から出ないようにするだけで必死だ
神様が体を作ったらしいけど、反射神経や空間把握能力がとんでもない・・・もしかして二人って私よりも強いんじゃない?
ガトリングで一発一発狙い撃つとか・・・どうやってるんだろう
「やってみたらできたのよ~、銃身を冷やすのに連射はよくないんですって~」
「心読まないでくださ・・前!前見て運転して!!!??」
空を飛んでくるアンデッドにも対応してドラゴンの尻尾で叩き壊しているし、もしかして地球のレアナー教で一番強いのって詩乃さんなんじゃ・・・
洋介のことが心配になるが抵抗の激しい城か、それとも何処か別の建物にいるかがわからない
ヨーコが下で影の中を探しているが都市は広いし、目星をつけた建物に洋介がいるとは限らない
―――こうしてる間にも洋介が死んでしまうかもしれないと胸の奥からじわじわと嫌な焦りが膨らんできてしまう
今の私ができることは待機と周りを見ることだ
奈美と他の仲間もドラゴンの体の横の小窓からジェットコースターの五倍は酷いこの乗り物で、身体をくくりつけられて見ている
タヌカの糸便利だな・・今度教えてもらおう
何処からアンデッドが出てくるか、何処の守りが最も硬いのか、そして洋介が助けを求める合図を出すかもしれない
城門前で散り散りになっていた味方も城門を突破して戦ってくれているようだ
辺りが暗くなるほどの雨雲から目がくらむような落雷が雨のように落ちてアンデッドは削り取られているが、城と大きな建物の障壁はなかなか壊れないでいる
敵も黙っているわけではなくこちらに魔法が飛んできたり、飛んでくる敵はいるがミルミミスの雷で木っ端のように散らされている
「ボクの高位魔法ぐらいの破壊力をポンポン撃ってる・・・ボク本当に必要・・・・・?」
「舌噛みますからだまッヘ」
あ、奈美思い切り噛んだな
制空権を握ったほうが戦争は強い・・だったかな?まさにそのとおりだと思う、栄介お義父さん達の収納で弾切れもないみたいだし
敵もワラワラと湧いてくるけど・・ミルミミスの雷の破壊力は激しい
建物を落雷で破壊し、そのまま燃え上がってきている
何処を見てもアンデッドだらけで空気も良くないがこれでは敵もひとたまりもないだろう、さっさと降伏して洋介返してくれないかな?
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