第561話 お風呂コミュニケーション
ダリアと焼肉を食べて盛り上がっていると洋介の死の宣告について知れた
「そういえばあの・・ヨーコに踏まれてた三つ目の人は呼ばなくていいの?」
「あん?デカブツの妹か?あれはヨウスケの予言をどうにかしようと忙しいんだよ」
「予言?」
「ヨウスケに避けられない死が訪れるーっていつものやつだよ、この肉も上手いな」
全然動じてないしいつものことと言われて洋介を見るとたしかにいつも通りだ
魔王討伐の旅ではよくあったことだそうでそれを回避するために、回避するための未来を見れるように頑張ってもらってると・・・
―――――私知らなかったんだけど?
後で洋介に問い詰めねば、相変わらず大事なことを隠す
「そういえばダリア、食べれるものや食べれないものってなんか制限ないの?」
「あん?どういうことだ?」
「こっちにはエルフやドワーフや巨人に獣人はいないけど伝承とか話はあるのよ」
「どんな話だ?」
辺境の領地に行ってからこちらに帰ってきてよく調べたのだ
だって人種が違えばそれだけで使えない薬や飲み物に差があるそうだ
日本人だけが昆布を吸収できるとかってあるけど意味わかんない
差別とかではなく、白人や黒人は酒に強い
それは肝臓の酵素が揃っているからで、黄色人種はすべて揃ってない人の割合が多いし、何ならアルコールの分解酵素をもってない人もいるそうだ
地球だけでもそうなのだから、亜人が多い異世界なんてもっと色々と危ないかもしれない・・・うちはレアナー教だから大丈夫ってのはあるけどね
「例えばエルフは肉は食べられないとか」
「ははは!なんの冗談だよっ!おもしれぇ!!」
「色々あるのよ?月の神様が関係してるとか世界樹の守護者だとか、弓の名人でドワーフと仲が悪いとか・・貧乳で細身で、魔法を使うのが上手とか」
いろんな文献を調べたがどれが正しいとかは分からなかった
「はははははっ!ひー!なんだそりゃ!!腹がいてぇ」
「ちなみに巨人は人を喰うっていう言い伝えもある」
関羽が巨人だか巨神の加護でドワーフにしては大きいと聞いてほんと色々調べた
残念ながら大柄なドワーフの話も見つからなかったが巨人伝説は世界中に残っている
「はははは!おい!デカブツ!お前こっちの世界じゃ人を喰うって言い伝えがあるらしいぞ!!」
うーむ、笑い事ではないが・・まぁそういう言い伝えがあるのは事実だ
巨人の骨が見つかったとか、人を喰うという描写や絵画もあったりする
ダリアは世辞抜きで笑ってたみたいだしまぁ良いかな?
焼肉にしたのは以前に向こうの世界に行ったときも肉の串が定番で食べ慣れてるかと思ったからだったが結局焼き鳥が人気だった
美味しいよね焼き鳥、私も肉用の倉庫から漬け込んでる肉を出して焼く、冷め気味の焼き鳥もあったがバーベキューコンロで再加熱して食べて大いに盛り上がった
そして皆で風呂にはいることになった
皆ベタついてたしね
「なんと広い・・これは湯の泉か?」
「お風呂ね、巨大なお風呂」
ダリアは私と同じく胸が大きい、健康的で、日焼けしたような肌
腹筋すごい割れてる
私もあの体には憧れるな・・聖騎士部で鍛えまくってるのに腹筋はガッチリとは割れずにいる・・・最近また胸が重くなった気がする
エルフであるエゼルリーヤ?さんの服を脱がせて体を見るとダリアとは対象的に全体が細い
芸術品のような儚さがある、胸は小さめ
「どうかしましたか?」
「いや、彫像みたいに綺麗だなーって」
「ありがとうございます・・もっとダリアみたいに肉がつけばいいと思うんですが」
「姉貴はもっと食った方がいいな、足元気をつけろ」
・・まずは身体を洗おう
「えっとフィルフェリア?でいいのかな?」
「うむ、我はフィルフェリアという、カスガイ殿であってるかな?」
「殿呼びはいりませんが、春日井遥、洋介にははるねーちゃんと言われてます」
「では我もフィルフェリアでもフィルでも好きに呼ぶと良い」
「私もエゼルリーリャでも、エゼル、でも大丈夫です」
エゼルリーリャはなにか気品を感じる気がする
リーリャの発音の部分が微妙に聞き取れなかった、多分異世界の独特な発音に日本語の翻訳が間に合ってないのだ
フィルはフィルだけだと噛みそうだからそのまま呼ばせてもらおう
「わかった、フィルフェリアとエゼルでいいかな?」
「うむ、よろしくなカスガイ」
「では私はハルカ殿と呼ばせてもらいます、人を敬称無しで呼ぶのはなれてないもので」
「わかった、よろしくね」
湯船に浸かる前に身体を洗わねばならない・・・
「あの、こちらには獣人の方がいないので本当に無礼かもしれないんですが聞かないといけない質問があります」
「な、なんだ?」
体を洗うのに、聞かねばならないことがある・・・!
「犬用シャンプーと、人用シャンプーと、人用ボディソープ、どれを使えばいいですか?」
「・・・・・石鹸などどれも同じでは?臭うしつけたくはないのだが・・・」
「えっとですね、こちらでは体を洗うのが普通の文化でして・・粘液でカピカピなのは流石によろしくないかなと・・・」
「なるほど、で?犬用と人用はわかるが狼用はないのか?」
「こちらでは狼に近い種族用を纏めて犬用としています、人用とは薬用成分が違うからあったものを使わないと皮膚が荒れます」
「・・・・使わないというのは・・・・・・・」
「駄目だな、フィル姉貴、クラーケンの汁がついたままは流石に良くねぇぜ」
「・・・・・わかった」
「つやつやになるタイプやサラサラになるタイプ、良い匂いがするやつに匂いがしないやつ、どれが良い?」
「好きにしろ・・・・・・」
エゼルが犬用のシャンプーの匂いをかいで、一番良い匂いのものを使うことになった
狼なのに、仏頂面とわかるフィルフェリア
遠慮なく股ぐらから肉球、耳の外側も洗い尽くす
終わったらフィルフェリアは湯船につかって・・すぐ出ていった
信徒がついていったし大丈夫だろう・・一瞬湯船に浸かったのは礼儀的に気を使ってくれたのかな?
私たちも体を洗おう
「これは?」
「シャンプーよ、髪の毛用の石鹸」
「ヨウスケ殿が言っていたものですね」
シャンプー、リンス、トリートメント、洗顔、ボディソープ、一緒にやっていったが気がついたことがある
「あの、エゼル」
「なんでしょうか」
「もしかして目が見えてなかったりする?」
「ええ、私の加護の影響ですね」
「だけどエゼル姉貴は俺達の目でものが見えるんだ」
「はい、感覚を共有する神からも恩寵をいただきまして・・いまフィルフェリアはここの方に良くしてもらってなにやらご満悦のようですよ」
「そうなんだ?」
洋介も加護の負荷で体が砂になったことがあると言っていたし、人によっては腕がなくなったりもあるようだ
本人が気にしてないなら良いけど、できるだけ配慮はしよう
それにしても少し怒らせてしまったかもと思ったがフィルフェリアは大丈夫だろうか?信徒たちは異世界人に絡みたがる
関羽には三国志の本を異世界語で翻訳したものに修整して一冊ずつ渡しているようだし、鍛冶師の信徒はカルカスのようなドワーフに宝石や金属を見せて話し合っている
流石にアブサンやミードのような「さわるな危険」って洋介が言うほどの異世界人には関わろうとはしないが、今も私達の周りでいつでもお世話できるように聞き耳を立ててている
ひと声かけたらエステでもフルコースでしてくれるだろう
きっとフィルフェリアは外でドライヤーやブラッシングしてもらっているはずだ
「それに私は目で見えなくとも魔力を肌で感知できるので・・しかしこの世界のものは魔力が薄いですね」
「じゃああの服は趣味とかじゃなかったんだ」
「違います、必要だからあのような姿になっているのです」
「そうなんだ・・こっちだと脱ぐと罪になるかもしれないから気をつけてね」
「えぇ・・・わかりました・・・・・」
白の透けそうなレオタード?姿は流石によろしくないだろう
「背中洗うね?」
「自分でできますが?」
「皆でお風呂に入った時の様式美みたいなものかな?自分で背中は洗いにくいし・・・あ、勿論嫌なら断ってくれてもいいからね」
「いえ、はい、分かりました、大丈夫です」
洗い流して風呂に浸かり、異世界のことやこちらのことを話した
ダリアのように酒で一瞬で仲良くなったわけじゃないし、お互い恐る恐るな部分もあるが、まぁ良いだろう
こちらに合わせて長湯するかもしれないし少し早めに上がる
「風呂上がりにはこれよね」
「それは?」
「飲み物・・えっと牛乳とフルーツの果汁の入った牛乳とコーヒーの入った牛乳とあるけどどれにする?」
「おぉこれが・・ヨウスケ殿も欲しがっていましたね・・・再現はできなかったようですが」
「私が好きなのはコーヒー牛乳で、洋介が好きなのはフルーツ牛乳、牛乳も洋介は好きで普段によく飲むよ」
「ではフルーツ牛乳を」
「俺は牛乳が良い、以前乳の味が違うってヨウスケと話したことあるしな」
「じゃあ私はいつも通りコーヒー牛乳を・・・蓋を開けたらあんな感じで飲むのがおすすめ」
先に上がった人が飲んでいたので良い例になった
腰に手を当てて一気に飲む
「わかりました」
コク・・コク・・コク・・・!
「<さいっこうだな!!ウメェ!!!>」
「とても、とても美味しゅうございます・・・」
膝から崩れ落ちて瓶を掲げているエゼル・・・泣いた、エゼル泣いちゃった・・・・・!!?
色が少し明るくなったフィルフィリアが超ツヤッツヤして待っていた
洗ってる時は借りてきた猫みたいだったのになんかつやつやして優雅だ
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