第553話 肥料とクラーケンとソーラーパネル


動けない黒葉を病人用の部屋に寝かせてせーちゃんに任せる


ばりあふりーって作りで車いすも置いているしトイレも行きやすい



「もと  しん  きょ  ありが  ご   す」


「うん、黒葉もゆっくり休んでね?治さなくて良い?」


「は だいじょ ぶ す」



・・ならしかたないか


食べやすそうな食べ物や飲み物、スマホに呼び出しベルも置いておく


結構きつそうだ


はるねーちゃんからは「どこの嫁取りよ」ってメッセージが入った、カーペットにくるんできたらそうとられる?



・・・・・??



城に集めてもらっていたものを倉庫から収納してミルミミスとヨーコを呼んで鎧甲冑を身に着けてから異世界に【転移】した



ヨーコに予言の内容がどうなったのかは任せて、領地にコンテナを出していく


今日はコンテナ以外にも持ってきたものが有る



ソーラーパネルと肥料だ



ソーラーパネルは山1つ覆えるだけの大きさを集めてもらった、あれば有るだけ良いらしいし日本中から買い集めた


使い道は分からないが頭のいい信徒によると便利らしい


他にもコンテナに銅線や電柱ごといれてくれているから多分うまく使うだろう


どうせ土地は余ってるしね



それと肥料・・・この世界でも肥料は有る


だけどこの場所には畑を耕しても混ぜる肥料がない


荒野は浄化しても元々汚染された土地だから使えるようになるまでには時間もかかるし、畑と言うのも肥料を使えばすぐに畑になるわけじゃなくてお酒のように時間を置かないとだめらしい


それに野菜によって適した肥料も有るし土と混ぜる比率も色々有るらしい


美味しい野菜は一日で出来ないとじーちゃんが言っていた


量さえ用意さえしておけば仕事にもなるからあったほうが良いという意見があったし・・大量に用意した


砂や土、コンクリートも大量に集めた分だけ出しておく


陸斗によるとホームセンターでは10リットルなどの小さい単位でだと数百円で買えるが農場や工場であればトン単位で千円から買えるとか


なんでそんなに値段が違うのかは不思議だけど業務用は何でも安いっぽい


砂も土もバラバラだと収納できないからビニールでラッピングしてもらった、信徒もいっぱいいるし助かる


色んな会社や国を回って回収してきただけあって量はあるが多くの会社で似たようなやり取りがあった



「どれぐらい必要ですか?」


「どれぐらい有る?」


「何なら全部もっていってもらってもいいぐらいです、不況ですしね」


「じゃあ全部頂戴」



というと「神よ・・」って拝まれたのは驚いた


電気で動くらしい重機もいくつか買って出しておいた


ドワーフが作った金属製の巨大なクレーンが出来ていて、コンテナを出してワイヤーを引っ掛けるだけでよくなったから荷降ろしはすぐに済んだ、土とかは空いてるところにドサドサ出したけど肥料ってやっぱり臭うね・・・


逃げるようにミルミミスに乗って上から浄化をしておく



「<慈悲深きレアナー様に願い奉る、この世が光で溢れ、人々が愛を育める地であらんことを>」



いつもとは違う白い炎の出せる豪華な杖で空から魔法を放つ


ただこれは詠唱も必要だしこめられる魔力に限界がある


今回は簡単に杖を効果を使いたいだけなので簡単に祈祷しただけ


杖を壊さない限界で領地の上から荒野前夜全体とザウスキアの近い場所だけ炎で覆い尽くす


浄化の力のこもった熱くない白い炎


アンデッドにはとても有効らしいし目に映らないアンデッドがザウスキアから飛んで入ってくるかもしれないし【清浄化】よりも炎は長期間残る


ただこの杖はレアナー教の道具の一つで赤と金と白色でど派手で装飾もいっぱい、取り扱いし元々国宝だったから壊すのが怖い


耐久力もそこまで無いし、普通の【清浄化】と違って射程距離が短い


結構な高さから使ってもザウスキアの奥にまでは届かせられないので遠くはいつもの杖でぶっ放しておく


これで少しはアンデッド対策になるだろうか?後畑の土も良くなるかな?



終わって降りるとアダバンタスたちが待っていた


一人だけ凄く大きいから上から見るとよく目立つ、絵本の大きさを間違って描かれた人みたいだ



「お久しぶりです」


「予言はどんな具合?」


「思わしくありませんね」



マスクも駄目かー


あの手を使うしか無いかなー・・うーん・・・



「じゃあもう帰るけど・・・あ、そうだ、皆手伝ってもらっても良い?」


「もちろん、何をでしょうか?」


「クラーケンの解体」


「解体?」


「うん」



【転移】でセーセルリーも呼んで、アダバンタス、ニロン、エゼル、フィル、ダリア、それに暇そうな人と戻ってきたヨーコを集めて城に帰る


他の仲間は皆ザウスキアで戦っているようだけどアダバンタスたちは領地で予言の回避に必要かもしれないと待機しているようだ



「「「「「キャー!!!!???」」」」」


「「「でっけぇえええええ!!!!!????」」」



領地から人を連れてくると信徒から悲鳴が上がった


しまった、この仲間たちはまだまともな方だけど、日本にはこういう人はいない


旅の仲間も・・かろうじてニロンが純人族に見えるかな?



「おっぱダークエルフじゃ!ダーク・・・新エルフもいるぞぉぉぉぉぉっっ!!!!」


「まともなエルフか?まずはそこからだろう、アブサンはやべーぞ」


「だがエルフだ!」


「サインしてください!!」


「もふもふもいるぞ!!!肉じゃ!肉を用意するんじゃ!!!」



叫ぶ信徒たちだがそれに驚いている仲間たち


アダバンタスは大きくて目立つし、ダリアとエゼルはエルフで目立つし、フィルは大きな狼、ニロンは外見がかっこいい


手の空いてた子供たちはコンテナの音を聞きつけてきた耳の良い獣人族が中心だし日本だと目立つよね



「ここが・・異世界!!」


「ダリア!もっと周りを見てください!」


「わかってるよ姉貴」


「出てくるんじゃありませんわ」


「この扱いには断固反対しま・・ウップ、ごめんなさい」



ヨーコが、ケテスティア・・アダバンタスの妹さんを影に入れていた


巨人を見るのが初めての信徒たちはアダバンタスを見て驚いて握手を求めている


アダバンタスは5、6メートルはあるし、そもそも巨人族はとても珍しい



すぐに集まってきた聖騎士候補達とはるねーちゃん



「いっぱい連れてきたわね・・・どうする気よ?」


「クラーケンの解体手伝ってもらおうと思って」


「なるほ「お嬢さん、このニロン・ドマイヤーズ・イセイケと一夜を共にしてはいただけないでしょ


ガッ!!


ダリアが後頭部を殴った



「やめろ恥知らずが」


「ふふっ美人とあらば口説かねば男がすたるというものでしょう?」



フィルが倒れたニロンを踏みつけ、罵ったがニロンは全く聞く気はないようだ



「だまりなさい、去勢しますよ?」


「キャンキャン!!」



しかし、エゼルが剣の柄を手に取り警告すると泣きを入れたニロン



何度か落とされたもんなぁ・・・



「えっと、僕の旅の仲間なんだ!皆仲良くしてくれると嬉しいな!」



全員ではないけど仲間とこっちの世界に来るなんて、僕でも驚きだなぁ

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