第538話 『毒』を作ってもらう
科学者の人たちは苦しみはしたものの皆起きて魔力に覚醒した
僅かに『全く使えない』人はいるものの『魔力を感じ取れる』『ほんの少しだけ使える』の3グループとなり、新たな実験をするのだとまた以前のように研究に戻った
いや、以前のようにではないな、以前以上にだ
更に活発に動くようになった彼らに陸斗も康介伯父さんも手を焼いているようだ
治療を支援する神官も、聖騎士候補たちも洗練された魔力覚醒実験を受けることとなった
今度は錠剤にしたり、ポーションにしたり、粉薬にしたりと・・・自分たちが苦しんだからか、少しは改善しようとしている
だけど、そもそもの薬の原料ははるねーちゃんが持ってるダンジョン産の財宝で、有限なのである
なので今できる方法で賢者の石や魔力を込めただけの水による魔力覚醒実験も行う必要がある
幸いにして、きゅうり・・じゃなかった賢者の石はもりもり育っているし協力を申し出てくるレアナー教の信徒も多い
向こうでムッスロン達に商売してもらってるし、使えそうな道具があれば買ってもらおう
「そうだ、阿部」
「予算の話かい?」
「んー、それもあるけど科学者に作ってもらいたいものがあるんだ」
「作ってもらいたいものですか?」
「うん、毒を幾つか、研究もいいけど優先して」
「さらっと毒って言ったかい?」
「うん、即効性の高くて、簡単に使えるのが良い」
「・・・・・」
「たのんだよ?」
「・・・はい」
なにか言いたげだったけど、うん、準備しないとね
ケテスティアさんの未来予知は様々な未来が見えるそうだ
だいたい死亡する僕だけどその過程は様々だ
基本的に僕はほぼ死ぬらしいが予言を知って心構えができてからはわずかに別のパターンがうまれてきている
右に一歩動く僕、攻撃をためらう僕、斬撃を繰り出す僕、飛んで弓をひこうとして弓ごと切られる僕
結果としてはいまのところどれも死ぬらしい
これを変えるためには無効な行動をセずに有効な行動を取った僕をや使う武器や道具、魔法を厳選して最良の未来を見てもらう必要があるそうだ
未来を知らなかった僕の行動は大きく変わらなかったらしいが知った後はいろんな行動をしていた
それだけでも勝利する未来はあるかもしれないが手段を準備してこそ見られる別の未来もあるそうなので普段使わない武器や道具を見直して、更にいつもなら絶対に使わないものも準備しておこうと思った
僕は毒だろうとなんだろうと手段を選ばない
けど、向こうの魔族には向こうの毒は効かないかもしれない
テレビでフグやキノコといった毒で死んだという話もよく聞いたし、こちらの世界にも強い毒はきっといっぱいあるはずだ
しばらくして康介伯父さんに呼び出された
「洋介、毒ってどういうことだ?」
「・・・阿部?」
「危なそうなことには許可をもらうことになってるんだ・・だから予算は!予算だけは!!?」
なら、仕方ないか
「向こうの世界で僕を狙ってる魔族がいてそれを倒すのに使おうとしてるんだ」
「なるほど・・・阿部さん、強いものをおねがいします」
「わかりました、早速チームを編成します」
「じゃあ、次の用があるから・・」
伯父さんはわかってくれたようだ
「待ちなさい」
「・・・はい」
そのまま立ち去ろうとするとやっぱり怒られた
大事なことは詳しく説明しなさいとコンコンと諭された
そもそも戦わなくてもいいじゃないかと言われたけど最低限備える必要はある
僕が今後向こうに行かないという選択肢もあるがそう考えても未来では必ず戦闘になるシーンから始まる・・・出会わないということはないらしい
食糧問題がある以上、僕はそれを止めないし何らかの方法で向こうにいるときに戦闘になったのだと思う
・・・むしろ僕が攻め込んだ可能性だってあるのかな?
・・・・・それはそれとして武器もいっぱい作ってもらう
未来予知によるとアンデッドがでてくることもあるそうだ
地球でよく使われるアンデッド最終兵器『チェーンソー』を買わねばならない
こちらの世界で映画やゲームでゾンビを倒すというものがある
その中でも近接最強武器と言えば大体チェーンソーだ
斧やナタ、バールや金属バット、刀なんて武器も使われるそうだけど最強は何と言ってもチェーンソー
アメリカで丸太を最も速く切れるチェーンソーを幾つか注文した
刃の一枚一枚を祝福すれば魔族にだって多分対抗できる
銃もあんてまちりあるらいふる?とか言うのも強いらしいが火器は大きくなるほど使いにくい
戦車はコントローラーだと簡単だけど乗ってみると運転する人や弾を込める人に弾を打つ人など、人数が必要だった
榴弾砲という昔の大砲の近代バージョンだったらまだ1人で使えそうだったけど剣で戦う相手にはそもそも武器の選び方が間違っていると思う
収納の奥に入ってる神様製の武器も確認しておこう・・またどうせ変なもの入ってるし嫌だなぁ・・・
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