第522話 魔力覚醒(事後)
ボルボル聖人さんは意外とまともなのかもしれない
大分説教した後は皆ちゃんと考察をしてくれた
研究者でも一番頭角を現してるドイツ人の科学者のギュンターと話し合って、阿部やアブサン達ともあーでもないこーでもないと話していた
こちらの世界では魔法を感じることはまず無い
だから感じるために様々な方法で試すのは間違っていない
実際に聖騎士部の人や神官たちは僅かながら魔法を使えるようになってきているし、ボブも単純な身体強化なら使えるようになった
魔素を含んだ水を使った滝行や人を傷つけない聖なる炎で魔素を感じ取る
飲食物にも魔力を感じ取れるように入っていることで体内の魔素を増やす
魔法や魔導具が身近にあることで流れがつかめるのではないか
信仰心があればこそ魔法が使えるのではないか?
などなどホワイトボードに埋め尽くされるほど議論は白熱したようだ
「魔素の適性を調べたり、魔力の覚醒を促す魔法薬を使うのはいかがでしょうかぁ?」
「なにそれ」
アブサンが聞き捨てならない事を言った
そんな話は聞いたことがない
「バルバラの王族がやってるんですがぁ・・・」
バルバラという地方では魔法は魔力を神様に捧げる祈祷式、神式と言ったものよりも自身の魔力を炎や水、風や土といった属性に変換して操る術が主流である
それには子供の頃から幾つかの検査や試練を受ける必要があり、その検査の一つが魔力の覚醒を促す薬を飲むというもの
それらを作ったのがアブサンらしい
「必要なものは?」
「混じりけのない純粋な魔力の結晶体ですなぁ、魔物からとれるものではなくぅ、鉱山や聖域ぃ、精霊種やダンジョンでとれるものでぇ、とても希少ですなぁ」
「魔物のやつは駄目なの?」
「人にとって毒になりますからなぁ、スケ殿の居たダンジョンでは見つかったそうですがぁ、もうなくなったそうですなぁ」
もう一度ダンジョンに捕まってくれないかと言われたがそれはお断りである
それと僕は洋介なのだけど・・何をどう伝わったのか、YOU-SUKEでアブサンたちは僕の名前を覚えた
だからアブサンを含む一部地方のエルフ達はユーとかスケとか好きに呼ぶ
まぁ良いんだけどね
「それとぉ、強い魔力のものでないとぉ難しいのですなぁ」
「あれは?はるねーちゃんのチョコ」
というわけで連れてきた
「な、なによ?」
「魔法学校計画ではるねーちゃんのチョコが必要になった・・・かも?」
「え?今私厨房立入禁止なんだけど」
「持ってるチョコ出して、亮二お義父さん倒したやつ」
「言い方酷いわね、出すわよ、もう」
チョコに対して思い思いに調べる賢者たち、アブサンは魔法を使ってるし、ミードは耳を近づけている
顕微鏡を奪い合って見るものもいるけどそれでなにか見つけられるのかな?
他にも使えそうなものを聞いてみるとフェイスパックに使っている『賢者の石』も使えるんじゃないかとどこからか声が上がった
「何だこれは!!?こんな奇跡の物体が存在したなんて・・・!!!??いやこれは使えそうですなぁ!!どれさっそく」
ポリポリともいできたきゅうりをかじるアブサンとミード
目と口と鼻からぶしゃーと光が漏れた
「おぉ、これは、結構効きますな」
「だ、大丈夫なの?」
「ユごほっごほっエレレレレレ」
ミードは口を開くと同時に吐いた
酒臭いが、まぁ責めるまい、説教した後だし
お酒が残っていて吐いたのでは多分ないだろう、というよりも良くもそんなの食べたね
「ではこちらぼふぇあっ!!!?ごふっ!!?****?!」
追加でチョコを食べたアブサンも吐いた
しかし一応使えそうということがわかり、科学者は実験を開始した
気絶するほどの不味さはともかくとして薬としては使えそうだ
チョコも、賢者の石も、砕いて水に溶かしていく
「・・・・・えぇい、チョコの繊維なぞわからんぞ!?どれが未知の物質だ!!」
「舐めるな舐めるな、未知の化学反応で人体に有毒かもしれんぞ」
「ペーハー幾つだ?」
「吾輩、もう魔力は操れるし、魔法知りたいんじゃが?」
「「「「え?」」」」
しかし、ここで一人予想外の人間が居た
『私、銀河流星群世界の秘密発見ポルポル聖人系★新人Vです、コラボしてください!』と言ってきたおねぇさんはいつの間にかくすねていたチョコや賢者の石と滝に使ってる水をくすねて、身体を焼かない火の中で宴会後半日ほど寝て・・なぜか覚醒していた
「確保!!」
「え?あ、ちょ!!やめなんし!やめなんし!!!?」
「ひゃっほー!!元気な被検体だ!!」
「唾液でいい!唾液で!!」
「まてまて!まずは血液検査からだろう!!?」
「人類の進歩のため!人類の進歩のため!!」
馬鹿達に捕まって神輿のように連れ去られようとしているボルボルさん
阿部がロープで暴れるボルボルさんを捕縛した
流石に棍棒の出番であった
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