第521話 準備には手間と暇をかける
平和と楽しみのために、やれるだけ準備をしていく
ガキのことを調べつくし・・・絶対に殺せるように
「ここまでやる意味があるのか?俺一人で充分だろうに」
「それが、そうともいえんかもしれんのじゃよ」
ガキの情報も調べ直しているがわけのわからん情報も多い
倒れた弱者を助けたり、英雄にかわって貴族の拷問を受ける、ミルミミスにぐちゃぐちゃにされてからミルミミスが仲間になる、魔族の師の元に学ぶなど・・・意味がわからん
英雄は勇者を助けるために存在するのだろうに、何故その英雄を勇者が助ける?
ミルミミスも何故自らの手で破壊したガキと共にあるのか?
魔族の師というのは半端者だということがわかっている
魔族は魔族の親から生まれるものもいるが魔族の血をひいて生まれるものや瘴気にさらされて産まれるものもいる
弱者を助けるのは最も意味がわからん
弱者など同族であっても、いや、同族であればこそ殺してしまったほうが救いであるはずだ
足手まといのゴミになど価値はないだろう
とにかく確実に殺すことにだけ集中するべきだ
情報も、僅かだが使えるかもしれない
魔族の師がいるのならそいつに毒を盛らせてもいいやも知れない
手はいくらでも考えられる
やつの領地を襲撃してあぶり出すもよしのはず・・だが考えられる最も最悪の場合が・・・・・ミルミミスが出てきた場合だ
ミルミミスは真なる竜である
かつて神話の時代に生まれたとされ、神も、竜も、魔王も、勇者も―――全てを打倒した災厄の竜
目標であるガキも中身は死んでいてその器をミルミミスが使っていることだって考えられる
普通の勇者のガキであれば殺せるだけの手段はあるが、もしもあのガキの中身がミルミミス・ラージャであれば、木偶の坊とは言え魔王様がやられたこともガキを乗せるミルミミスの姿にも説明がつく
そうであれば話が変わってくる、準備は進めておくべきだ
たとえミルミミスが相手でも殺せるだけの準備を
「なにかわかったのか?」
「10を超える加護をもらってるそーよ、化け物じゃないかしら?」
「なんだそれ?噂じゃなかったのか・・・・それは人間か?」
「さぁ?」
嘘かとも思っていた情報であっても一つずつ調べさせていく
段々と化け物具合が知れてきた
魔王を壊すのには大規模な投石を使ったような形跡があったとか・・ただ、あの範囲と濃度の瘴気をどうやって通り抜けたのか?
本当に無茶苦茶なガキだ
少し退屈ではあるが戦争だ、やれるだけの準備をしていく
奴を殺すには首都でやるのが一番良いだろうが俺らが居ないうちに先に国が滅ぼされる可能性だってあるが・・まぁ人間どもはこれ以上攻められない
幸いにして時間はある
こちらは好きに攻められるが、人間どもはうまく動けない
ただの軍程度、俺達の敵ではない
一つ潰すごとに怯えが見て取れて俺も楽しい
勇者を殺すためにも贄はいればいるだけ良い
――――勇者を殺し、レアナー教国を滅ぼせば、俺達の勝ちだ
もう二度と魔族が襲われることも無い
世界が平和になる
「やめて、やめてくれぇぇええええええ!!!」
「いやだ!いやだいやだ!!死にたくない!死にたくない!?」
「ぎゃあああああああ!!!!」
まぁ平和だというのもこういう悲鳴が聞こえなくなるのかも知れないのは少し残念に思う
どんどん神に捧げて準備する
血は俺が使い、じわりじわりと殺した死体はフレン老がアンデッドに活用する
集めたアンデッドはガルーシャが回収し、また一つの軍を潰した
一つ一つ潰していくのは愉快ではあるがなかなかに焦れてきた
星の巡りがなんだかわからんが準備に時間がかかりすぎる
さっさと皆殺しにしたいのに、こそこそする必要がある
軍にいるという名付きの自称強者を何人殺しても雑魚にしか感じない
貴族のゴミどもは自分を強く見せるが手応えがなさすぎて面白みがない
ガキもガキで魔法でせっかく地上までアンデッドが生まれやすい環境にしていっているのにあっさりチャラにしやがる
空を飛ぶガキと一緒にいるのはミルミミスらしい
昇華したのか、身体を分けたのかは分からないがなかなか手を出せない
敵がいる、それがわかっているのに手が出せないのは苛立って仕方ない
「―――・・・誰か来たわ」
「なに?」
わざわざ辺境まできて、準備してるカスどもを殺しているというのに、こんなところに?
「これは・・不味くない?」
結界に入ってきたのは、魔族軍とも戦ってきた・・ガキの仲間共だった
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