第507話 海の領地の害獣駆除
「この関羽に続けぇ!!」
「やっちまえ!」
「「「オォォッ!!!!」」」
ちょうど干潮で崖の下の砂浜は干上がっていた
雷を使える神器に魔力を込めて、上から電撃で野球ドームよりは大きそうなゲーガの住処を焼き尽くす
ゲーガは泳ぎも得意だし陸地だとそこそこ早く動く、だけど崖を登ってくることはない
やっぱり安全第一だよね
電撃では一瞬で倒し切れ無さそうだが僕の魔力なら海に逃げ切る前には倒せるだろう
このまま一方的に攻撃しようとしたけど待ったがかかった
「それでは訓練になりませぬ」
「クラーケン共が相手では新兵の訓練ができません」
上からかなり広い浜に雷を放ち続けたが、ゲーガは魔法に耐性があるからか殺すまでには至っていない
まずは戦闘要員を集めて全員に【体力上昇】などの支援魔法をかけていくと凹凸のある崖を次々に降りていった
ミルミミスに加護を授けている雷の神様にもらった神器だけど、素材はミルミミスの角である
以前にミルミミスに会いに行った時に僕が夢の中にいる間に戦闘があって切り飛ばされた角が使われている
大木ほどあったミルミミスの切り飛ばされた角をどこかの神様や神殿が作り直した神器だ
少し壊れるか心配だったんだけど神様たちによって改造されてるのかどれだけ魔力を込めても壊れない
旅で使ってる当時は神器としてではなく誰かの作品だと思っていたし魔力を込めると表面が少しずつ減っていったし使う魔力に対していまいち効果がなかった
そもそも味方が前にいると使えたものではない、駄目な道具だ
収納にいれてる間にいつの間にか同じ杖が幾つか増えていて・・少しずつ改造されていっている
使ってる僕の手がしびれなくなっただけマシになったが真新しいものはUSBポートがついてる・・やっぱり僕の収納、神様達がなにかしてるよね?食べ物も何も包まずにそのままいれてたら減って時もあるような気がする
関羽はうちの子供達を率いて、ガレティレは聖騎士候補達見習いを連れて崖を降りて戦闘が始まった
ゲーガは鰐に甲羅を背負わせて地球の大きな鰐の倍は大きくしたような見かけだ
普通の人であれば逃げ出さないと危険な魔物である
雷で動きの悪くなったそいつらを関羽たちは駆逐していった
ガレティレも【神の裁き】で全身身体強化して負けじと暴れている
レアナー教的には暴れる魔物は害悪だし、レアナー様からの魔力を使いやすくなるよね
全体的に大丈夫そうだし僕も降りて[カジンの捕縛布]に武器を持たせてゲーガを相手にする
ゲーガは数も多いし浜は広い
武器を試すのにちょうどいい
地球産の武器は魔力を込めることも出来ないし、剣や弓のように単純な作りではない
スタンガンを[カジンの捕縛布]に持たせてゲーガに当てて・・・スイッチ押しにくい、これは駄目だな
迫る大きな口を横に避けて、聖剣で首を落とす
しまった、癖で殺してしまった
流石に銃や手榴弾は味方もいるし使わないけど、魔力を込めない道具は他にもある
まずはクナイだ
忍者が使ってたらしい短剣に近い形の武器
[カジンの捕縛布]は魔力の通りもいいし織られた糸は金属だから相手に切られることがない
短剣を持たせても良いのだけど重さも足りないし鍔やハンドガードが邪魔だ
クナイの刃は鋭角な三角形で全部金属、重みもあって使いやすい
関羽お手製のクナイは取っ手の柄尻が輪っかになっているのも良い、そこに紐を通すことも出来るしね魔力を込めることも出来る
柄尻側も刃にしてもらったものやいくつかの種類も用意してどんどん前に出てゲーガを傷つけていく
[カジンの捕縛布]ねじって回転させて傷つけるのも使えるな
ゲーガの巨体の隙間を縫って走り、軽く切って回る
今の僕だったら敵を仕留めるほどには力があるが、支援役として治癒が基本で弓矢を放つぐらいの動きをしたほうがいいのだ
そもそも直接戦闘は僕の仕事じゃない
だけど
「ゲガガガガガガガガ!!!!!!????」
「ガガガガッゴガッッ??!!」
「ゲガァアアアアアアア!!!!」
クナイには様々な種類の毒やカプサイシンの粉末を塗っている
こちらの世界の魔物や敵にも効果があるのかも知りたかったのだ
「ゲッ・・」
「グググ!!」
そこそこ近くにいた横のゲーガの一匹の首が落ちた
対処可能だったけど上から支援してくれたようだ
ゲーガは危険な敵ではあるが僕には崖の上のセーセルリーがついているし、手を振って大丈夫と合図を送る
「ルール!」
「ゴルルルルァ!!!」
セーセルリーは集中すれば一匹ずつ殺すことは出来るけど回収できないからしないと言っていた
ルールも一匹ずつ首を切り落としていたが呼んで崖の上に戻る
上から全体の様子を見るとどこも善戦している
関羽もガレティレもゲーガを投げたりしてて派手に戦っているが・・・人よりも大きなゲーガを玩具みたいに投げるのは流石である
弓矢で誰もいない場所のゲーガに向かって数発放つ
硬い甲殻に数本弾かれたがちゃんと数本刺さった
矢に色を付けていて色ごとに別の毒を塗っているがやはり効果には差が出るようだ
僕のいた辺りのゲーガも悶ている
ゲーガの鳴き声で崖の上に居ても耳が痛くなる
何人か倒れてる人がいたからセーセルリーとルールに回収してきてもらう
何をしたのか、砂浜で突き刺さっている人もいる?
せーセルリーは風を操って回収してくれてルールは空中を走って行ってくれた
意識のない子や地面に突き刺さっていた兵士を【治癒】し【覚醒】していく
「すいません、お父さん、鳴き声でいきなり意識が飛んでしまいました・・まだキンキンします」
上半身を砂に突っ込ませていたお姉さんは防具を外して砂を落とし始めた
「踏み込もうとして変な草で思い切り滑りまして・・・」
「あ、海藻か、滑るよね」
崖の上はセーセルリーが風の魔法を使ってくれているのか、かなり音は抑えられている
しかし崖の下では鼓膜が破れるほどの大音量で叫んでいるし、海を知らない新兵や子供たちは海藻で転けたらしい
意識を失ったのも犬の獣人で、初戦闘で集中してたみたいだ
治癒で癒やして準備を整えた彼らはすぐに戦線復帰した
「無理しないでね~」
「「「はいっ」」」
上から見てると何人か挙動不審な人がいた
獣人の子供達だ
あまりの大きな鳴き声で仲間の声が聞き取れずに前に出すぎて攻撃されていたものもいる
他にも攻撃を食らった様子はないけどまっすぐに立てていない
兜をしっかり付けるとこういう時困るんだよね
何人か回収して、治癒魔法をかける
机に耳栓をおいておくと持っていってまた崖の下に戻っていった
新兵も子供たちも砂浜の戦闘では鎧兜が邪魔だと外していっている
関羽は重いのによく砂浜で戦闘できてるよね
上から見ると桁違いに大きな群れのボスを関羽にガレティレは戦闘している、手伝うべきかな?
新兵たちは関羽とガレティレの不在に浮足立っている
「「父さん!わーも行ってくるね!!」」
「気をつけてねー」
「「はーい!」」
ベルスとオルジュが行った
二人は狐の獣人で僕と背格好の似た双子だ
何もない空間に幻を作り出したりすることが出来る
それと加護がとんでもない
二人は関羽に触れて、関羽になった
誰かに変身することが出来る加護だ
この加護で僕がダンジョンに攫われてる時に城の奥まで行ったけどせーちゃんに捕まったそうだ
収納袋から大きな斧を取り出して周りのゲーガを狩っていく二人
魔力量は本人のままだけど、変身した相手の筋力や加護の効果を一時的に使えるとんでもない能力を持っている
相手の加護が自分よりも強いと変身できないし、魔法や加護を使うには制限もある
色々と条件の厳しい加護だが味方だったら心強い
英雄の中でも物理攻撃力や耐久力に特化している関羽が三人、同じ土俵で戦うのであれば負けることは殆ど無いだろう・・関羽が三人いるのは見た目が大変に濃いが
嵐のように四人で大きなゲーガを含めて蹴散らしていった
新兵たちにも良い経験になっているだろう
1時間もせずに大きな怪我もなく第一目標、餌であるゲーガは確保できた
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