第506話 海の近くの領地の作戦会議


はるねーちゃんにプレゼントを渡すと何度もキスされて恥ずかしかった


ここのところ、はるねーちゃんはスキンシップが過激になってきたように思う


昔はこんな気持になったことは一度だってなかった


お風呂も一緒だったし、着替えだって一緒にしてたこともあったのに・・・なんでこんなに恥ずかしいんだろう?


いけないことなのに、ドキドキしてしまう



「わたくしも~!わたくしにも~!!!」


「はいはい」



横で立っているはるねーちゃんの顔が見れない


ヨーコには宝石箱だ


宝石箱自体が宝石でキラキラしていてとても綺麗だ


あんてぃーくな形らしいがヨーコは装飾する魔道具をいっぱい持ってるしこういうもののほうが便利かなと思ったのだ



「嬉しいですわぁ!!」



高く持ち上げてくるくると回っているヨーコにホッとする


つ、次は



「あ、奈美なら休養させてるから多分寝てるわよ」


「そ、そう」


<じーっ>



見られるのが恥ずかしいからこういうときのレアナー様は厄介だ


城でも作ってもらっている食料を【収納】し、ミルミミスとルールにもついて来てもらって【転移】する


ミルミミスは落下し続ける謎の部屋か食堂、ルールは寝室か闘技場か外にいることが多い



ロム師匠は見つからなかったし仕方がない



新たに増やした部屋<いせかいにもっていくもの部屋>と<いせかいからもってかえってきたもの部屋>には向こうに持って行ったら便利そうなものを集めてもらっている


海の近くの領地で使えそうなものがあるはずだ



僕の収納は魔法というよりも加護に近く、いくらでも一瞬で入るし中に入れたものの時間は止まる


だけど出す時にコンテナのような巨大かつ重いものは僕が出したあとに支えるのがとても大変だ、中身が揺れるし割れたりする


領地では食料を降ろすのにはルールでは無理だったがミルミミスでも一緒に降ろせた


中身の詰まったコンテナは重いし、ほんの少しでも斜めにすると中身がガシャガシャと壊れたりしてしまうのが問題である


降ろすときには降ろしやすい地面を作ってもらっていて、慎重に降ろす


関羽のように横から作業員が横から押して降ろすのも当たり前だとアメリカで学んだ


踏み固めてもいない、何もない地面では降ろすのに地面が凹んでコンテナが傷んだりもしたが今では大分整備されている、人手があると言うのは流石に凄い


コンテナを降ろすと空から【清浄化】をぶっ放して領地とザウスキアを少し良くしておく


ゴーストのような普通の人には見えないアンデッドも遠目に見えたし領地に入り込んでいるかもしれないもんね


海の近くに行きたい子供たちも連れて【転移】で海の近くの領地に行こう


ミーキュと関羽も連れて行く、コンテナの積み降ろしが楽になるから



「こっちの防衛力は大丈夫かな?」


「連合軍が拠点としておりますしミードとアブサンもようやくこちらに着いたので大丈夫でしょう、緊急時に某も魔道具も持っているので・・・・・それよりもお顔が赤いようですが大丈夫でしょうか?」


「だ、大丈夫っ!?」



はるねーちゃんにも困ったものだ


居なくても僕の心をざわつかせてくれる



ミードとアブサンは頭おかしいけどとても頼りになる、頭おかしいけど



「二人が来てるってことは他のエルフも来てるの?」


「戦後のことも考え、セスキーバの森は引き払って全員こちらに来ております」


「いいね、怪我人や病人は?」


「おりません、今は畑と・・・醸造所を作ろうと躍起になっております」


「・・・・・まぁいっか」




何人か集めて海の近くにまで【転移】する


フィルがいると良かったけどザウスキアにいるはずだし仕方ない



皆でコンテナを降ろすのを手伝ってもらって・・・


あとは確認する



「ミルミミス、ほんとに海龍もクラーケンもゲーガもどうにか出来るの?」


「・・・余裕」


「前にも思っとったんじゃがほんとうにミルミミスなのかい?この子が?」


「・・・・・セーセルリー、老けたな」


「おやおやおや?ちんまくなりおってのぉ・・・」



前に来た時は一言も喋っていなかった二人だが面識があったのだろうか?


中型犬サイズの竜の状態だったが今は人型、少しだけ話せる



大体、ミルミミスは人に無頓着であるし人を覚えていること自体珍しい・・きっと、過去になにか食べ荒らしたのだろう



「まぁまぁ、作戦を考えよう」



こういう時、ミルミミスをどうにかするのは僕の役目だった


旅の仲間の言うことは無視することもあるしミルミミスの圧力は普通の人には恐ろしく感じるのだろう


今もルールも関羽も、他の子供達も小さくなってしまっている




「・・・・・うん、丸焼きで食べる」




ゲーガをだよね?セーセルリーじゃないよね?




「頭の悪さは変わっとらんのぉ」


「・・・・・食うぞ?」


「この骨と皮の婆をかい?食えるものなら食ってみるといいさね?」



前はアイス食べるときに一緒にいたのに、人みたいに変身してるからそれだけ能力のある竜だとは思わなかったのかな?


竜の状態でもスマートフォーンを壊さないように力を抑えてもらってるし以前の巨大な竜とはかけ離れてるよね


至近距離で見下ろすミルミミス、見上げて杖に魔力を込めて構えるセーセルリー



「・・・・・ごはん抜きにするよ?」


「「さぁ作戦をねろう!」」



こいつら・・・せーセルリーもミルミミスも食べるのと呑むのが大好きだ


仕方ないので大きな缶詰のフルーツポンチを開けて皆に配って食べてもらう


缶詰は美味しいしなかなか腐らないからすごく便利


やっぱりコンテナを降ろすのに歪んだり凹む缶もあるしそういうのは売りものにしにくいからそういうのを食べよう



「「<甘い!!>」」


「色とりどりで美しいですなぁ」

「お父様!おかわり!!おかわり!!」

「この黄色いやつ美味しい!」

「赤い果実も美味しい」

「いやいやこの汁がうまいのぉ!!」



ミルミミスたちが同時に甘いと言って空気が変わった


皆お腹が空いていたのかもしれない



ゲーガと海龍、クラーケンはお互いに食料として戦っている


ここに集まる理由は村の下の浜にゲーガが巣を作っているからで成体の海龍もクラーケンも浜には入れない


浜に入るには崖の隙間しか無いからだ


ゲーガも多くいるからたまには浜を出て外に食料を求めに行くし、成体の海竜とクラーケンにとってはゲーガは食料にすぎない


ゲーガはゲーガで群れを成しているため海竜もクラーケンも退けることがあるし、人では群れているゲーガはなかなか倒せない



「・・・・・あの亀はおやつ、たまに食べてた、ちょっと癖がある、コリコリしてる」


「なるほどね」



ミルミミスは雷を使う竜だ


水辺の敵にはとても強い



「クラーケンは?」


「・・・・・おいしい、食べごたえがある、でもヌルヌルが残るしあんまり居ない、探すのがめんどくさい」


「海龍は?」


「・・・・・同じ、おいしい、でも鱗と毛が臭い」



話し合った結果、まずは浜のゲーガを倒し、使える部分は解体し、余った部分は海龍とクラーケンをおびき寄せる餌にする


何もしないでも戦えばクラーケン達は寄ってくるかもしれない


クラーケンと海龍はミルミミスが雷で倒す



このやり方でクラーケンも海龍も数を減らす、そういう作戦だ



「クラーケンをわざわざ引き寄せるなんて・・・・・」


「腕がなりますわい!」


「・・・・・美味しくして」



下の浜のゲーガを駆逐できればきっと食料も手に入るだろう


ゲーガは周りの島を占領してしまうほどに多すぎるしこれでこの辺りが少しはましになってくれるといいな


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る