第462話 首脳会談<セカンドステージ>
牡蠣づくしを食べて洋介くんが用を足しに言っている間にダート大統領と話す
「一体どういうつもりでここに来たのですか?わざわざ日本政府に提出された予定までキャンセルされて」
「すまないね、ボブの用もあってこちらに来たんだ、それに予定は予定だろ?」
この人、かなりの腹黒である
「どうせなので聞きたいのですがアメリカはレアナー教をどうしたいのですか?」
「ん?できれば丁寧に我が国にお出迎えしたいところだが、まぁ無理だろうけどね」
「なるほど」
「それと瘴気とか言う謎の脅威だ、あれのせいでまたレアナー教が怪しいという奴らが増えてね」
世紀末論、終末論、地球温暖化、地球寒冷化、ノストラダムスの大予言、黙示録のラッパ
物事には始まりがあれば終わりがある
世界はいつか、何かによって終わる
それが何なのか、それはまだ分からないがその脅威を声高に唱える人は結構いる
新興宗教のレアナー教
小さな団体が、言い始めた『瘴気・魔王による世界破滅』について
魔王というのは倒したそうだがまだ世界には脅威が残っていると洋介くん
宗教の金儲けシステムではよくある話なのだ
この日に世界は終わる、そう言っては信者を集め、金を集め、その日が来る
これまでその日に世界の終末が来たことはないがそれが間違っていれば「経典の解釈を間違っていた」「集まった敬虔な信者は真の信者であり喜ばしいことだ」などとして更に信者は増え、また何年も後に「終末」が来て繰り返し続ける
信者は信者でその日が来るとわかっているからと毎日を大切にして幸福を感じる
そしてその幸せを他の人にも感じてもらおうと信徒を増やしていく
それを繰り返し続けていく
・・・たしかに洋介くんの『瘴気・魔王による世界破滅』はそういう面があるかもしれない
日本ではそういうことを声高に叫ぶと白い目で見られるが海外ではそういう活動や集会は息が絶えることなく続いている
「今日はボブの友人としてきたし政治の話は私からはしないつもりだ」
「では何のつもりで?」
「魔法だよ、残念ながら魔法を使えるようにはならなかったが神秘的な力を感じたのは確かだ」
何をしてたんだ?この人は
この人はレアナー教が来るまでは魔法や超能力なんてものには興味がなさそうだったのに今ではレアナー教の魔法には首ったけだ
ここで買ったらしい謎の鎧甲冑を着てSNSに上げたときなんてちょっとしたニュースになったものだ
・・・・・・・もしも日本政府の職員が購入できていれば甲冑姿でSNSに写っていたのはは私だったのかもしれんな、支持率的に
だいたい日本政府の職員は「異世界の品である証拠を出せ」だの言っていたからオークションに参加できなかったのだ
それまでにも「研究してやるから無料でよこせ」などとのたまっていたバカどもの首を絞めてやりたい
日本の製薬会社や研究機関も声をかけていたという情報はあったし・・・これでアメリカ大統領であるダートに招かれて日本から居なくなったり・・・・・・しないよね?
「おまたせ、ダートおじさんってアメリカの偉い人だったんだね、廊下で色々言われたよ」
「ん?ちょっと偉いかもしれないね」
「ちょっと?」
「HAHAHA!」
笑って誤魔化すなおっさん
「ところで偉い人なら話があるんだけど良いかな?」
ピタリとかたまったダート、私もかたまってしまった
もしかすれば・・日本からレアナー教が居なくなってしまう?背筋が冷えてしまう
「今日はボブの友だちとしてきたんだが・・良いのかい?」
「うん」
「では改めて・・・アメリカ合衆国大統領ダート・ホープ・スタインバーグです、よろしくお願いします」
「レアナー教元杉洋介です、よろしくお願いします」
握手した二人
普通に考えれば友情や友好的というものは良いものだ
だが私にはこれがどれだけ恐ろしい繋がりなのかと思ってしまう
「まぁ挨拶も終わったし話そうか」
「そうだね、私のことはダートおじさんでいいからね、君のことは洋介司教でいいかな?」
「司教?・・・翻訳魔法の違いかな?うん、それでいいよ」
成り行きで始まった首脳会談の続き、しかもこれには事前の書類での通達もないものだ
瘴気についてや魔法について、なにより世界の脅威について話をした
これまで出ていた情報は同じ
瘴気は毒のようなもので人・物・水・空気などを汚染して朽ちさせるもので重力の作用があるのか地面に染み込むように落ちていく
清浄化と呼ばれる光のビーム魔法も星屑のように砕けて落ちていくことから同じような作用があるが瘴気とは逆で人・物・水・空気などを浄化する作用があるそうだ
魔王というのは吸血鬼の魔王で瘴気を噴出するように出し、洋介くんのいた世界の国の3分の2はそれで滅亡、地球と同じくその異世界と繋がっている魔王領に近い世界は瘴気に汚染されてまる一つだめになったという
これは洋介くんの話であって本当かわからない、何事も疑って考えなければならないが、洋介くんは嘘をついていないのはわかる
嘘をついていないにしても、異世界のレアナー教がそういう宗教スタイルをしているだけかもしれない・・・レアナー様すいません、政治家としてそういう考えをしなくてはいけないんです
<大丈夫ですぅ>
あれ?いまレアナー様脳裏に語りかけました?頭の中を覗くの止めてください
「んーと、それで国のトップの二人には手伝ってもらいたいことがあるんだけど出来るかな?」
おねだり・・か?
洋介くんにこういうことをいわれることはまず無いので珍しい
「出来るかはわからないけどまずは聞いてみないと」
「我々は君の言うように国のトップなんだ、代表である以上、ちゃんとした理由がないと国民は納得しないからね」
「それは・・・ かもしれないって理由なんだけど」
「「詳しく聞こう」」
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