第372話 吾郷の背負い
「どうするんだこんな条件飲むのか!?」
「ふざけるな!!これでは日本政府が非を認める形になる、法治国家でこのような紛争解決が許されるわけがないだろう!!!」
「じゃあどうしろっていうんだよ 馬 鹿 ど も が !!!??」
「 喧 嘩 売 っ て ん の か ゴ ル ァ !!!」
コトッ
胃薬を飲んでから思案を巡らせる
すぐに私のスマホにメッセージが来た
和解、いや降伏条件の詳細の書かれたものだ
条件はどれも厳しいものだ
一つ、レアナー神、レアナー教を認め、レアナー様に心から謝罪すること
二つ、この一連の騒動に関して信徒全ての罪を今後一切罪に問わないこと
三つ、この一連の騒動に関して発生した損害を国が一括して負担すること
四つ、この一連の騒動で起きた一部大きな不祥事について公に発表すること
五つ、一部施設のレアナー教による自治及び武装を認めること
六つ、いかなる理由があっても国家または国を代表する機関もしくは国を代表する立場の者が公に神を害さないこと
七つ、神を敬うこと
八つ、神と神をかたどった像、写真や絵などを神そのものではないものも含めて害することを禁じること
九つ、今後、争いが発生する場合通達の上で行い、一般人に害が出ないようにすること
十、今後日本はレアナー教に関する法律を制定する場合、双方で合議した上で行うこと
十一、レアナー教に関する虚偽の放送を行うことを禁じること、またはレアナー教に関する放送を行わないこと
十二、国家の代表となるものは魔法による誓約を受け、レアナー教に敵対しないと誓うこと
・・・・さらにずらずらと並ぶ和解の条件
どこからどこまでなのかという範囲や制御できない部分があるためこのまま条件を飲むなど絶対に無理だ
政府から送り込んでいたレアナー教対策委員の人間はすっ飛んで和解条件の書かれた文章を持ってきた
それとヨーコちゃん、いやヨーコルノリア前女王陛下がここまで条件を持った書類を運ぼうとしている
内容は同じだが3つの方法で送るなど・・・戦争慣れしているんだろうなぁ・・・・・
しかもレアナー教を出発した団体は完全武装だ
それだけでも銃刀法違反を問えるのにあえて行うなどレアナー教の本気さが伺い知れる
先の騒動では明らかに刃物と言えるものを持った人間はいなかったし重傷者はレアナー教に連れ去られていたことから死傷者はいないと思われる
職員によるとアメリカ外務副大臣、トーマス・ホワイトの姿もあったそうなのでこれはアメリカの入れ知恵も入っているのかもしれない
そうだろうな
安藤のようなゴミがこんな騒ぎを起こさなければレアナー教は国家にとって国益となるだけの力を持っているし、日本に厳しい条件を突きつけてNOと言わせたいのだ
そして関係の破綻後には我が国へどうぞとでも勧誘するのだ
おそらく日本で最大の講和条件となるだろう、全部そのまま飲むなんて不可能だ
でもやらないと洋介くんと本気で戦うことになるだろう
「吾郷は友達だけど」
「日本の代表の人は、僕たちを攻撃した人を偉くした人は責任を取って賠償してもらいたいです、それとレアナー様への心からの謝罪を」
そんな言葉と一緒に、ご飯を食べに行ったことを思い出す
世代も全く違うが一緒にいるのも楽しい、今では親友と言える存在だ
怒鳴りあって狂乱している議員共を見る
いつも空席の目立つ国会議事堂だが今日はいつもと違う理由で空席が目立つ
私以外、もう誰も席についていないし、今は深夜なのに誰も帰ろうとはしない
衆議院議員だけではなく参議院議員も国外に逃げたものと捕まったもの以外全員集まっている
議員のみではなく後援会の人間や秘書も入って来て居て、まさに喧々囂々としていた
国家としてこんな条件を飲むなんてありえない
だけどのまなければ明日は我が身、レアナー城の牢獄行きだ
もしくは・・・三日後には全員の首が物理的にとられてしまうかもしれない
「やはり安藤の行動は正しかったのではないか?」
「そ、そうだ!あんなならずもの共が居ること自体間違っている!!!」
席を立って阿呆に近づく
「いくらなんでもあんな連中、自衛隊がいれば排除できる!剣だの槍だの!棒切れを振ったところで近代兵器にはなすすべがないだろうさ!!」
「そうだ!」
「奴らは皆、国外追放にしてしまえ!!」
勝手ばかりいうしこちらが何を言っても止まる気配はない、これまでずっと色々言ってきたが止まろうともしない
「・・・・」
「この国にあんな団体はいらない!そうだろう!!?何なら狙撃してしまえば良い!!な、あごふぁっ!!!!!???」
背負投げた
「好き勝手言ってんじゃねぇぞ若造が!!!!」
「「「「「・・・・・」」」」」
この議員はレアナー教を叩けるだけ叩いて怒らせた一人だ
騒ぎがあってからこの建物を一歩として出ていない
「明日の朝から私は洋介くんと条件の調整を行う!文句があるものはこの資料を見てから言えっ!!!!ボンクラ共がっ!!!!!」
これまで誰も直接的な暴力を振るわなかった
だけど話も聞かないものには必要だ
もろに背中から落ちたがギリギリ息は出来ているようだな、ふんっ
スクリーンに例の動画を映してもらう
マッハ2.7で飛行する個人、言わずもがな洋介くんだ
さらに以前話したことのあるイケさん神殿長によると洋介くんの魔王の倒し方は巨岩を空から落としたそうだ
彼の出した中で一番大きなものといえば城だ
もしもマッハ2.7で空を飛び、空の上からあの巨大質量を落とせば日本は終わる
普通に戦って、おそらく自衛隊を投入したとしても負ける
100万を超える軍隊は異世界では今か今かと戦いを待っているらしい
それにこのバカどもは忘れているのではないだろうか?
洋介君は一度でも訪れた場所に人を連れてワープができる
つまり今すぐここに軍隊が送られてくる可能性だってあるのだ
なのに自衛隊が役に立つか?NOだ、戦車がいても意味がない
それに神様も参戦したら国土ごとなくなるかもしれない
おかしなことをすれば軍事同盟のある国からだって攻撃される可能性だってある、それほどまでにレアナー教の治癒の価値は高い
もう状況的に詰んでいる
加害者なのに駄々をこね、自らは戦場に立たずに日本を死地に追いやろうとするなど以ての外だ
話をしてもわからない馬鹿だし、やったことに後悔はない
・・・・・あー、スッキリした!
いや、うそ、ごめん、もう一本胃薬を・・・・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます