第358話 康介の病院生活
「準備急げ!!」
「取り囲まれてるだと!!?ふざけるな!!休暇だろうとなんだろうと手の空いてる者は全員呼び出せ!!!」
カンカン!カーン!カンカン!
カンカン!カーン!カンカン!
全力で鉄格子を蹴って音を立てる
レアナー教の聖騎士候補たちなら全員基礎のモールス信号、SOSを知っている
本体はトントンツートントンというものだけどちゃんと鳴らせるものではない
「止めさせろ!!!」
低血糖かフラつくが鉄格子にしがみついて全力でガツガツと鳴らす
数人がかりで無理やり引き剥がされたが薄れ行く意識の中で場違いな鎧をつけた人間がいた
気がついたら足が折れていて奥歯も抜けていて病院で寝ていた
「気が付きましたか!?」
「なひがあったんら?」
顎も痛くて上手く話せない
聖騎士候補達は警察を正面から突破したが出口は屋上からの脱出、あの汚職警察に後ろから撃たれ、着地に失敗、更にパトカーで轢かれたそうだ
よく生きていたな
聖騎士の人はしきりに謝ってきたがあのままだと証拠隠滅のために魚の餌になったかどこかに埋められていたかもしれない
命懸けで助けてくれて本当に嬉しい
疲れ切った精神状態の私の想定は警察署襲撃という悪い形で当たってしまったが本当に助かった
なんでもあの警察官たちはわざわざ私と似た背格好のものを何人も用意して別の場所に移送していて、レアナー教徒は一つずつ調べて時間がかかったらしい
しかし署内の警察にも隠れレアナー教徒はいて『本物の元杉康介』の署内での位置を知らせて準備をしていたそうだ
脱出ルートもかなり無理やりだったが正面から突入して正面から出るのと別のルートで出るのでは抵抗が違っていただろうし仕方ない
病院で処置を受け、栄養失調や骨折の治療となった
こんな酷いことがあるかと思ったが世間も酷いことになっている
流石に警察への襲撃と警察の発砲なんて大ニュースになっていると思っていたのだけどニュースには取り上げられていない
洋介の行方不明に洋介が暗殺されたと言った情報にレアナー教への襲撃、火事・・・・・私が捕まっている間に日本が世紀末になっている
この登仙病院は現在レアナー教徒の受け入れ先になっている
私への治療に栄介の魔道具を使うことも考えられたが抜けた歯を一度治して、更にそこから治るかが分からなかった
太腿と、脛の真ん中で折れた足も同じ理由で魔道具では治せない
ゾウのように腫れ上がった太腿もそうだけどコンパートメントがどうだとかで最悪片足を切り落とすことになる
私を助けに来た聖騎士はもう涙ながらに何度も謝罪してきた
自分も銃弾を受けたというのに・・・
洋介のなんでも治ってしまう魔法と違って魔道具は効果が薄いし医療との相乗効果を考えると使えない
2週間は酷い目にあった
私の重傷に猛り狂う信徒と神官たち、毎日入ってくるニュースがとんでもないが私はとにかく闘病生活をしないといけない
私がもしも死んだらマスコミ達の責任者や野党議員を襲撃して連れてこようとしている勢力はきっと殺しを遠慮しなくなる
ギリギリ足はなんとかなったが熱も出たし九死に一生を得た
両足のギプスに任せて、ほぼ寝ていた
トイレの介助が恥ずかしくて夜中に自分一人でトイレに行ったら無事な片足が捻挫・・・を超えて無理な体勢で転んで骨折してしまって両足の骨折となった・・・・・
もう24時間助けてくれる聖騎士にはすごく泣かれるし弱った
あまりにも酷いニュースを毎日見てストレスで眠れなかったので睡眠薬をお願いしてやっと寝れた
外の騒がしさとなにかの痛みで起きた
「伯父さん起きて」
「・・んっ?ようすけ・・・お前、洋介なのか!!?」
「うん、おはよう伯父さん」
若い頃の父さんや叔父さん達の写真にそっくりな・・・多分洋介が現れた
癌で治った日もこんな感じだったかな
・・・・・・・・ん?
「アダダダダダダダ!!!??」
「ど、どうしたの!!?」
「ギプス!ギプス外して!!?」
洋介が治してくれたんだ
痩せて細くなった足が戻ったのならギプスは当然締め付ける
しかも
「つったぁぁぁあああああああ!!!!!????」
なんとか洋介がでかい剣で切ってくれて助かった、レアナー教徒たち数人がかりでセメント?を取り外したが酷い目にあった
あまりの痛みでひどく悶えたがそれは仕方ないだろう
指で奥歯を確認するとちゃんとある
豪華な服を着ているがレアナー様も居るし杖も持っている
なによりも雰囲気が洋介だ
「はぁ・・はぁ・・・・おかえり・・・・」
「ただいま、ごめんね?」
「いや、いい、本当に、無事で良かったよ」
この甥っ子は相変わらず驚かせてくれる
何をどうやったらそんないきなり成長するんだ?まぁこれ以上驚くことはないだろう
・・・・・本当、栄介の悪戯よりもたちが悪いな
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