第341話 式
私がクソマズ毒物を飲んで倒れてから遥は何故か敵であるはずの聖王と仲良くなったようだ
・・・・・うん、いや、なんでぇ?
元杉神官もやけにマッチョで、少し透けてる
薬による身体へのダメージはどうにかなったがフラフラとダンジョンから出るとそこは戦場だった
ミルミミスさんとダークエルフの人が大暴れして、見たことのないレアナー教の大神官服の太ったおっさんが個々の兵士相手に3人で無双していた
それとやけに豪華な服の人が倒れてる、どこかで見たことある人だ
「殴られたくなかったら下がれ!いや、私が殴りたいからそっち行くわ!おるぁっ!!!!!」
「ダリア?何やってるのぐふぇ?!」
「ヨウスケ!?何だこの女!!?」
すぐに戦いは終わったんだけど小麦色の肌で耳の長い元杉神官をぶん殴った人はシーダリアさん、元杉神官の旅の仲間だったそうだ
ミルミミスさんも助けに来たらしい
言葉が足りないが領地を守るはずだったのに「大丈夫」ってなんなんだろう?問い詰める元気はない
太ったおっさんはポポケウガウだかポポケウノレガヴさん、結界を作る魔法使いで聖王の部下だったんだけどシーダリアさんも同じ加護持ちでこちら側について戦っていたそうだ
「この人は?」
「エッサイ神官長です」
「なんで倒れてるの?」
「こちらの味方なのですがシーダリアさんが殴り倒してしまって・・・」
・・・・・
危ない人だな、出会って直ぐに遥と殴り合っていたし
薬のせいか頭が回らない
胃が痛む、揺らさないように運んでくれるルールに乗って進む
理由はわからないが元杉神官は180センチは超えているし黒い包帯の下は裸だったのでまずは服を貰い、いつもの杖を返してもらって領地に転移
そのまま全領民で宴となった
お題目は結婚式
いつの間にか作られていたドレスを着せられている・・・けど私の分の用意されていたのは服じゃない
布だ、踊り子の服みたいなのがいくつも用意されていたが流石に痴女すぎるので断った
まともなドレスを奪って着ることにした
「元杉神官、これからもよろしくお願いします」
「う、うん、本当に僕でいいの?」
見た目は歳上で、良い体つきで、女の子みたいだった元杉神官とは思えないけど、中身は変わってない、匂いもそのまま
「はい!」
「よろしくお願いします!!」
軽くだけど思いきってキスしてみた
遥は私の先に、ヨーコは私のあとにお披露目した
思っていた日本式結婚式とはまるで違う青空の下での結婚式、日本は日本でやれば良い
それよりも問題なのはこの後だ
結婚するのは私と遥と元杉神官だけではない
元杉神官がマッチョになったのはレアナー様によると神器に抵抗し続けて自分でそうなったのではないか?とのことらしい
170センチ以上ある私が少し見上げているのだからすごい成長だ
でもその成長は魔力で無理やりやってるらしく、このままでは物理的な肉体から神などの高位存在になってしまう
試しに持ち上げてみると全体重が500グラムもないかもしれない
透けてきているのは身体が魔力で構成されているからで、すぐにでも減らす必要があった
だから今の『婚約』よりも正式に『結婚』することでより関係を深める
周りの人達も着替えているのだけど嫌な予感は的中した
私達だけでは結婚相手が足りない
このままだと何もしないでも手の届かない存在になってしまってしまう元杉神官
だから養子から結婚相手を希望者を募った
勇者領地の人たちはもともと難民であって、しかも『救いの手のない難民』というよりも『モンスターもしくは害獣』として扱われて酷い扱いを受けてきた
それを救ったのが元杉神官であり忠誠心は無限大と言って良い
男も女も関係なく次々と結婚相手が増えた
レアナー教では同性婚や多重婚が認められているとはいえこれはひどい
関羽さんやビーツさんもだ
私の結婚相手はムッキムキの巨漢とも結婚する
これにはどうやって結婚相手を増やそうかと話し合っていた遥もげんなりしていた
柱に頭突きして正気を保とうとしていたが柱にヒビが入ったので止めた
ビーツさんとか言うヤクザ顔負けのクソ怖い人も結婚相手にいて文化や制度の違いを感じる
領地に居る人間の殆どと結婚し、それでも足りない
シーダリアさんも耳をピコピコさせて照れながら結婚し、興味の無さそうなミルミミスさんも結婚した
それでも足りない
「あの、ぼ、僕は、私たちはゆーしゃがすきです」
「そうなの・・?いや、でも、えー・・・」
「俺たちのことをす、好きになって欲しいし、一緒になって欲しい」
「それはちょっと、せーちゃん僕の事洗脳しようとしたでしょ?またするかもしれないのは怖いよ」
聖王が名乗り出たのだけど断られた
当たり前だよね?刑務所に連れて行ってよその人
国のトップなんだから無理か・・・
「し、しない!約束する!!」
「じゃあ迷惑かけた人たちにごめんなさいできる?」
「できる!」
「・・・・・やっぱり友達からじゃだめ?」
「洋介、ちょっと・・・」
渋っている元杉神官を説得することにした
彼女はかなりクレイジーだがレアナー様によると彼女の寿命は長いし彼女さえいれば間違いなく短命で元杉神官が死ぬことはないと猛烈に説得されていた
レアナー様がすごく怪しい
聞いても答えてくれないし結婚ということで呼び出したサシル様に聞いてもレアナー様に話を聞きに行ってレアナー様と同じくモゴモゴ言うようになってしまった
「どうしても無理なの?あんたのためにもなるんだけど」
「いや、めちゃくちゃ嫌いってわけでもないんだけど。こう、せーちゃんのためによくないかなって」
「・・・それはそうかもだけどさ、今だけってのは無理?それと友達から試していって見るとか」
「友達・・友達・・・うーん」
「僕たちは愛人からが良い!」
「「はぁっ!!!??」」
空気を読まずに話に入ってきた聖王が愛人といきなり言い始めた
レアナー教的には『愛人』はありなのか?そもそも『愛人』の概念が違うと思うんだけど
「<私が認めますぅ!これでよーすけが人でいられますぅ!!!>」
これまでの結婚相手と同じく2人が少し光った
ムチでレアナー様を捉えて引き寄せる
「 何 し て る ん で す か ? 」
「< ひ、ひ つ よ う な ん で す ぅ >」
「 い い 加 減 説 明 し て く だ さ い ! 」
さすがの私でも堪忍袋の緒が切れた
強引につかんで怒鳴りつけ、レアナー様は半泣きだ
「えへへ、認められちゃった・・よろしくね、ゆーしゃ」
「えぇ・・でも僕もこれでどうにかなりそうだしいいのかな?ゆっくり話し合おうか?」
「『話し合う』・・へへ、へへへへへへへへ」
「聖王陛下万歳!!」
「お父様万歳!!!」
「こっちみてぇ~!!きゃー!!!」
甘酸っぱい空気を出し始めた2人に子どもたちが騒ぎ始めた
こ、この異世界人共は・・・!?
「<も、もう話せるので離しくださいですぅ>」
「だめです」
握りつぶしてるサシル様とレアナー様だが、これは必要なのである
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