第324話 フランスの令嬢


フランスは思っていた芸術と愛の国ではなかった


学校はど田舎、思っていたような都会ではない


服やアクセサリーを売ってるキラキラしたイメージとは程遠い



初めはまだよかった


だって日本にいることに比べれば何だって良かったから



お屋敷には私のような外国人も多いし、日本に興味を持ってる人も多かった


ホストの家には空港から着く頃には時差でほぼ寝てしまったのだけど起きるとおとぎ話の魔法使いのような部屋で・・・・ちょっと埃っぽかった



「おはようマリア、大丈夫?」


「おはよう・・・だれ?」


「私は日系アメリカ人のケイシーよ、よろしくね」



ケイシーは窓を開けた、明るい空、眩しいまである


化粧もしていないのに輝く肌、光で燦めく濃い金髪に青い瞳


・・・・・それと出るところは出て引っ込むところは引っ込んでいる




ムカつく




なぜだろうか?誰かを思い出してしまう




改めてムカつく




「よろしく・・・・・」


「時差ボケね、今日は寝てていいらしいけど起きてないと明日から辛いよ?」



本当は時差ボケではないがそういうフリをしておく



「まだ時間あるしトイレとバスルームと朝ごはんの説明してあげるけどどうする?寝てる?」


「おきりゅ」


「わかった、ちょっと私も着替えてくる」


「待って」


「なに?」


「坂上真莉愛、よろしくね」


「よろしく」



近寄ってきたケイシー、頬にキスされて抱きつかれて固まってしまった


ニヤついて出ていくケイシー、なんかムカっときたけど今は眠気でくらくらする



もう少し横に・・・





「あー、寝ちゃってる!?」


「・・起きてる」


「寝てるじゃん?起きる?」


「・・起きるー」



何はともあれそうして私の生活は始まった



フランスでの生活は正直散々だ


シャワーは肌が荒れるし毎日入らない


強めの香水で誤魔化してるけど鼻の良い私には酷く鼻につく


フランス語を喋れない私を馬鹿にするフランス人


郵便物もまともに届かない



公衆トイレは有料で冷たい、スマホで情報をチェックしていると勝手に公園に面したドアが開いた



「何やってんのマリア!!?」


「うぇあっ?!だって勝手に!!!!」



ご飯も美食の街って割に口に合わない


極めつけがこいつだ



「?さっさと行きましょう」



この女、日系アメリカ人でアメリカで幼少期を過ごし、数年前まで日本で暮らしていて今はフランスにいる


何でも前向きで八方美人、面倒見も良く活動的


こいつと居ると私が引き立て役になってしまう


ますます誰かを思い出してムカつく


ムカつくが私のフランス語はまだ完璧ではない


完璧に話せる日本語を10とすれば英語は8、フランス語は4といったところか



もともと日本なんて小さい国よりもアメリカかフランスに来たかったし勉強はしてきた


だけどフランス語は発音が難しいし日本で習った言い回しも使えない場合もある



フランス人は英語で話せる相手ですら英語を話すと馬鹿にしてくる始末



他に日本語を話せる人も居ないしこいつは役に立つから大事にしないといけない


だけど私が引き立て役?ムカつくにもほどがある


だからこいつが気になってる男を先に寝取ってやった



「えー?2人ってそういう関係だったの?」


「う、ううん」


「じゃあ問題ないよね?私のこと祝ってくれると嬉しいな」


「そう、そうだね、おめでとうマリー」



日本から裕也がメッセをしてくるけどもう私と付き合う気ないっぽいしキープでいいよね?


どうせ向こうは向こうで好きにやるだろうし


こっちの男の質は良いね


言葉が完全に通じてないからこそわかりやすく愛を伝えてくる


ケイシー狙いの彼は初めは積極的ではなかったけどそれとなくボディタッチしただけでころっと落ちるんだから男って単純よね


学校でもそれなりに上手く行ってきた


まぁムカつくことも日本ではあったけどそれなりに良くなってきていると思う



「マリー!日本が大変なことになってるわよ!?」


「何よ?」


「早く来て!!」



また新しい化粧品ですごいものでも出たのだろうか?


テレビを見に行くと、レアナー教の関連施設が燃えたそうだ


しかも警察が城に集結し、関係者は逮捕されたものも居る



更に更に、洋介とかいうクソガキも遥も黒葉も生死不明の行方不明っ!!




「いぃぃ・・・ よ ぉ っ し っ !!!!」




ざまぁっ!!!!!!!


死んでいてくれ!!まじ最高!!!!!!


やっと私にも運が向いてきたみたい!!!!!!

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