第325話 ヨーコのすまーとな潜入


レアナー教国の奥に潜入することにしましたた


狂犬と子どもたちから聞いた状況や作戦によると



1.関羽と春日井たちが迷宮を攻略する


2.元杉発見もしくは全滅の可能性の兆しがあれば連絡用の魔晶石を割って狂犬に連絡


3.狂犬がレアナー教国を覆う結界を破壊、結界は聖王が張っているため消耗と陽動を狙う


4.元杉救出



これが計画ですわ



上手くいけば結界の破壊によって破壊された結界の位置、狂犬の位置にまで聖王が行くかもしれない


そうなれば奴のいない間にゆっくり元杉を探すことが出来る



これまでにもレアナー教国には勇者領地の人間が何人も捕まっている


潜入できてそれらを解放できればこちらにとって大きな力になるでしょう



レアナー教国の結界は勇者領地が含まれていませんが教国と領地の関係は良好


為政者としての視点で考えるともともとが結界の外の領地であり、魔道具や技量の関係もありますし結界の範囲外であることは仕方ありません



それに元杉はレアナー様に最大の加護を授かっています


その元杉は信仰の深すぎるレアナー神聖教国内での人気は凄まじいですわ


内部にこちらの味方になってくれる人はいるでしょう


国と領地の関係の悪化は可能な限り避けるべきです


故にできる限り暗殺も人死にも避ける計画です


こちらの陣営からすでにに捕まった人質も・・・・・きっと死んでは居ないでしょう



わたくしはレアナー教国の最奥に潜入し、騒ぎのタイミングを見て行動します


元杉の救出、聖王の制圧、人質の解放、どれも元杉のためになるものでしょう


狂犬による結界の破壊はきっと騒動になりますから・・・



しかし問題もあります



大国で知られるレアナー教国への潜入など命がいくらあっても足りない


更に迷宮は神器によって生まれたものであり、春日井たちが進む時間がわかりません


そもそもうまくいく保証すらありません


潜入は時間が経過するほど危険を孕みます


国の中枢に忍び込むなど拷問の末に処刑されて当然の所業だ



いえ、待たずともわたくしが1人で元杉を奪還すればいいだけです



命の保証もなく、我が神ヴェーヴァの加護を持ってしても危険とわかっている



だけどやる、やると決めました!!



命懸けの潜入任務、求めるのは我が愛しの元杉!



・・・・・・こういうのって映画だと元杉死んじゃうのではありません?







そうして覚悟した潜入だったのだが






「お茶のおかわりいりますか?」

「あそこの警備はもう少ししたら交代ですね」

「俺と結婚しない?」

「そこに秘密の裏道があるんで使ってください、掃除しときました」



思ってた潜入と違いますわ


わたくしは闇に溶けて走り回っていたのですがあっさりエッサイ神官長に見つかりましたわ



「ヨーコルノリア様ですね?こちらへどうぞ」


「・・・・・」


「こちらへ、見回りが来ますよ?大丈夫、あなた方の味方です」



信じることは出来なかったがエッサイ神官長といえばこの国のトップの1人、上手くいけばこのまま元杉の奪還が可能かもしれない


切れ者な見た目通りにとても頭の切れる男と有名です


あまり信用はできないかも知れません



「聖下の誘拐、さぞ心を痛めておられますでしょう?私はレアナー様に・・いえ、<闇の神ヴェーヴァに誓ってあなた方の味方です>・・・これで信じてもらえますかね?」


「レアナー様が聖王についている以上、まだ信用はできません」


「当然でしょう、私達のことは信用せず、聖下救出を行ってください私たちは助力します」



全く信用できなかったがレアナー教徒の半数は味方についてくれた



「私共があそこの騎士の気を引きますのでそのすきにお進みください」

「ここの隠し通路から客間までいけます、出る際はお気をつけください」

「今日はマラミラス地方の最高級デラディグが入っております、熱いうちにどうぞ」

「御髪の艶がくすんでおります、こちらの香油などいかがでしょうか」



とても潜入とは思えない、使っていない客間でかなり好き放題にもてなされています


宗教国家だけありレアナー様以外にも多くの神々を敬虔に信仰している


今回の魔王討伐用の神具をあろうことか勇者に使ったことを神々は危惧している



だからこそ、それら神の信徒は本当に手助けしてくれている



元杉の最大の加護はレアナー様が授けたとは言え他にも何重もの加護を授けた神霊がいる



すまーとに、そして華麗かついーじーな仕事になりそうでしたがそうもいかなかったです



元杉の居場所はおそらく聖王しか行くことの出来ないレアナー教国の中でも最奥の間


元杉の誘拐後にここに来た勇者領地の加護持ちの子どもたちはあっけなく捕まってその奥の間に連れて行かれたそうだ


場所はわかっても絶対に侵入できない結界が張られている


勇者領地の子どもたちの中でも侵入に成功したものと城下で情報を集めているもの達と連絡を取り合って隙きを伺う



1対1の直接戦闘では聖王に勝てる可能性はあります



しかし、聖騎士や勇者の子孫、英雄、英雄の子孫が多数存在する


彼らに気づかれることなく聖王を打破し、神具の解除をさせることなど不可能だ


だから無理に動いて何もできなくなる可能性を考えると機会を伺いつつ待つことが最良でしょう


きっと春日井たちが上手くやってくれると信じて・・・あ、お紅茶もう一杯いただけます?


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