第304話 ダンジョンの防衛管理精霊


元杉神官とヨーコに何があったのかものすごく気になる場面で景色が変わった


そうだよね、出会いについてだもんね


遥と目が合う



「しめよう」


「うん」



とりあえずヨーコを問い詰めることは確定した



「わたくしたちの仲?それはそれは美しき『らゔろまんす』がありまして!一言では語りきれませんわ!」



そんな事を言ってドヤ顔していたのに後ろから刃物ぶっ刺してたぞ





「あら?遅かったですね?」



色のついた霧のようなものが晴れると次の扉の前にお茶をしている・・・小さいのがいた



「何奴!?」


「戦う気はありません、勇者に連なるものよ」



小さな机に座ってこちらを見てきている


下手をしていたら踏み潰していたサイズだ


見た目は全体的に黄緑で、服は黒のスーツを着ていて、女性だと思う


企業の社長のような机、彼女の左右には場違いな観葉植物がある


大きさは小指ほどだろうか


あまりにも小さくてよく見えないが声はよく通って聞こえる



「まぁまぁ・・これを見てから話を聞いてくれたまえ」



椅子からおりて前に出てくる


いくら小さくても魔力を強く感じる


津波や地震のように強い力が目の前にあるような、危険な力の本流を感じる






「すみまっせんでしたぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」







小さくて、黄緑の光を放つ、その子はスーツ姿で土下座した



「「「「えぇ・・・」」」」



「この度は!この度は!我々魔王捕獲用無力化再利用試作神器89463号が申し訳ありません!!!殺さないでぇぇっっっ??!」


「殺さないから、ちょっと落ち着こう?」


「なんとお優しい!魔王捕獲用無力化再利用試作神器89463号の一部として感謝します!!」


「えっと、どういうことか教えてもらえる?」


「はい!」



どうやらみかんサイズの彼女は魔王捕獲用の神器にこめられた管理者の一部であるそうで、ここまで私達に何が起きたのかを把握していたそうだ



「本来は魔王を倒せない場合に無力化することが役割でして・・・」


「それでなんで元杉神官が捕まってるの?」


「えぇと・・・それは・・・・・ですね、そう!これは生きるために!やったことなのですよ!!ちくしょー!!!」



魔王は勇者が倒した


その結果、魔王の捕獲用神器は皆、要らなくなった


管理人格たちはいらなくなって廃棄されるか永久に日の目を見ない保存がされそうになって・・・宝物庫から逃げ出そうとした


聖王がそれを見つけて元杉神官に使用


現在に至る



「お前のせいか」


「すいませんすいませんすいません!!死にとうなかったんです!!!見逃してくだせぇ!見逃してくだせペケっ」


「ミーキュちゃん?」



ミーキュちゃんが叩き潰した


手で机の上にとまってる蚊を潰すように容赦なく潰した



「逃しちゃダメ!です!!」


「よくやった!」


「関羽さん!?」



関羽さんもこの精霊を叩き潰したミーキュちゃんを褒めている


よく見れば関羽さんはナイフを手に握っている


親指ほどしかないこの子を警戒しているのだ



「この神、いや精霊はとても危険です、今も母上方の記憶を見ていたようです」


「何なのこの子?」


「レーマ・ワリ、人の記憶を見て人を弄んだ元邪神であり精霊と伝えられております、決して油断はしてはいけません」


「見逃して欲しいでゲス、見逃して欲しいでゲス!!」



ミーキュちゃんの手の隙間から這い出して哀れみを誘う土下座をしている


ゲスってなんだ?・・・レアナービルの休憩所に置いてある漫画でそんなキャラいたなぁ



「えっと、私は貴女が過去に行ったことは知りません、元杉神官を返してくれればかえるだけです」


「手伝うぜ!」



ドヤ顔で手伝いを申し出てきたレーマさん



「「あやしい」」


「まってまってまって!レーマだってやりたくてやってるわけじゃないだよ!?昔の罪を償ってたけどさ!?だからって分割されて消耗品みたいにポイポイと・・生きたくて何が悪いんじゃい!?!?」



そう言われると可哀想な気もする


何をやったとか言われても私には関係ないしなぁ、異世界のことだし



「母上、同情は禁物です」


「です!」


「この者はいたずらが過ぎて人界を荒らし回った邪神です・・・いったいいくつの国がこの者によって滅んだのやら」



訂正、だめだこの子ヤベー奴なのかもしれない


いたずらで国がいくつも滅びるってだめなやつだ



「何処の国の言い伝えでも言う、です!悪いことをするとレーマになるって!です!!」


「仕方ねぇじゃねぇかぁ・・良かれと思って皆やったんだよぉ、悪気はなかったんだよぉ・・・」


「悪気がなければ何をやってもよいわけではない!」



今にも関羽さんが殺してしまいそうだ


ハルバードを振り上げて一瞬で潰してやるぞという気迫が見える



「<どう思います?サシル様?>」


<使っちゃいましょう、便利そうですし>


「げぇっ!?頭でっかち!!」


<ほほう、まだそこまで言えるとは・・よほど消滅したいみたいですね>


「うぐぐ」


<こんな時のための管理者でしょう、さっさとなさい>


「あの、サシル様もレーマさんも私の頭を経由して話すの止めてほしいんですけど」



ちょっと頭痛がする



<あら、すいません>


「だがよババア、レーマが手伝えるのはこの浅層から何処までかはわからんわからんのだけどいいのかーい?きゃぴっ♪」


<・・・奈美、ブローチでそのお馬鹿さんをひっぱたきなさい>


「へへ、人間の小娘なんぞ・・・げぇっ!?それも私をケピィっ」



ブローチでレーマを潰した


ブローチを外した後は私ではなくサシル様が私の身体を使った気がする


サシル様笑顔だけど怒ってたな



掃除機に吸い込まれていくようレーマがブローチに中に入った


・・・なんというか小物だな、この子


ブローチは元杉神官にもらったもので持っていると勇気が出る効果がある



<これでレーマはブローチに入りました、レーマの権限でもっと先に進めるでしょう・・すいません、少し休みなさい>



サシル様と話して魔力がごっそりなくなってすごく疲れた


このブローチ大切にしてたのにあれが入ったのか・・・なんか嫌だなぁ

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