第305話 ショートカット
「洋介のところまで案内できる?」
「近くにまでなら・・・待って待って待って!役に立てるよ!!」
思わずこの手のひらサイズの精霊だか神だかを握ってしまった
奈美のブローチからはあまり離れることが出来ないようだがブローチの周りには出てくる
何かをサシル様と話していたような奈美だったが魔力が減ったからか急に寝てしまった
うるさそうな子だしブローチは私が借りておいた
「どうやって役に立つの?」
「勇者ちゃんのいる場所の近くまで道作れるよ!」
「近く?洋介のところまで直接連れていきなさいよ」
「待ってそれ無理無理だからイタタタ」
握りしめ、文字通り締め上げて吐かせる
チーテックの魔力を少し込めると結構効くようだ
話を聞くとどうやらこのダンジョンには管理者が何人か居るらしい
そうだよね、魔王の仲間に操られてこうやって奥まで連れて行けってやられたら危ないしね
威圧的なゴーレムが並んでいた壁の後ろ
隠し扉のように開いて奥に続く道が出てきた
「まだ出来てそんなに経ってないからレーマの管理より奥はあんまり出来てないはずだよ」
「レーマもあま~いものくれれば頑張るかも?ニャー」
「ふんふんふん♪ふんふんふん♪ふんふんふんふんふんふんふん♪」
この元邪神うるさい
だけどルールにくくりつけられて眠っている奈美に渡すのもなぁ・・
たまに握るのだけど1分と持たずにまた騒ぎ出す
すごく落ち着きがないな
「それにしてもあの問題何よ」
「問題・・?んん?あれは勇者ちゃんの記憶を部下に丸投げして作らせたのよー!面白い記憶も多かったけどねー!ふんふん♪」
「面白い?」
「うん、特に旅の仲間ちゃん達の女のドロドロがーねっ♪イタダダダダ」
からかわれたのかな?チーテックの魔力を引き出すように握りしめる
「私の記憶読むな、からかわないで」
「いたいいたいいたい!?暴力チーテック!やめろよ!」
<もう無視してしまえ、相手にすると面倒だぞ>
脳裏のチーテックからも呆れた雰囲気が伝わってくる
「・・・わかった」
「るーるるー♪てってー♪ねぇねぇ!この迷宮の目的知ってる?知ってる?」
「・・・・・」
「あれあれ?い・と・し・の!洋介ちゃんに関係あるこグフェ」
何度握っても懲りないな
人形にお仕置きしている気分だ
こっちは喋るし騒ぐけどね
「ここはね!魔王捕まえてても魔王の仲間が来ちゃったら危ないじゃな~い?」
「まぁそうね」
「だ・か・ら!そいつらも捕まえるためにメンドクサ~~い問題が多いの!よぉっぽんっ!!イチチチチチ」
なにかのテレビの芸人のようなオーバーアクションをいちいち挟んでくる
この元邪神の精霊は、私の記憶を読み取っているのだ
「でもめんどくさかったら魔王の元には誰も助けに来ないんじゃない?」
「ん~?んん~?しりたぁい?しりた・・・・わかりました!!わかりましたからっ!!!??」
物理攻撃はあまり効いていないのか、かなりの力で握りしめてもすぐに同じように騒ぐ
反省とかしないのか?
「コホン!魔王にね!身体が魔力の結晶体になったり核があるのよ!」
「それで?」
「魔王幹部は魔王から魔力の支援を受けているものも多いからそれを砕かれると死ぬのもいてね、そ・れ・に!それらを使ったら自分も魔王になれるかもしれない!!脱!種族王!祝魔王!ワ~パチパチパチ!!!」
つまり、私達と洋介みたいに魔法的なつながりがあって助けに行かないといけない場合やあのオークみたいに強くなるためには魔王のいる場所までいかないといけないってことかな?
「そう!あんたチーテックなんて脳筋の加護授かった割にあったまいいわねぇグブガッ?!」
「心読むな」
数時間歩いたが目的地にはつかないようだ
「へっへっへっへっへ♪ちぇいちぇいちぇいちぇい♪」
ほっとくとこの元邪神すごく煩い、落ち着きのない子供のようだ
すぐになんか踊って変な歌を口ずさむ
進んでいるとたまにダンジョンや日本についての話をする
「じゃあ魔王の部下で強い人が来ても魔王のもとにはいけないようになってるの?」
「人じゃないけどね♪プギシッ?!ま、まあそうよぉ頭良い!はるかちゃんよしよしぃぃぃいいいいいてぇぇぇよぉぉおおおお!」
更に数時間歩いたけどなかなか目的地にはたどり着けない
「後どれぐらい?」
「フンフン♪そうね、私が短くしていってるけど79228ステップ分ぐらいかな♪」
「ステップ?」
「こうよっ!!」
手から勢いよく飛び出したレーマ
この前テレビで見たような足を革靴を履いてちゃかちゃか鳴らすダンスを踊り始めた・・・
8万ステップぐらいってことはよくわからないけど1日歩けばつくかな?
意味がわからん、それとも時間か??
扉や問題はなくなったがこれはこれできつい、ブローチを自分に引き寄せて釣りのように飛んできた元邪神を手でまた掴む
「よっし休憩!」
「そうしましょう!」
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