第286話 安全なダンジョン・難解なギミック


なんだろう、このダンジョン



なんか快適



リラックスできるいい香りが漂うだけのトラップ

宝箱には治癒魔法のトラップ付きでポーションや財宝がでてくる

モンスターは最初の区間だけで基本安全


荷車を持ってきた理由がよくわかる


もう積み過ぎでギチギチになってるぐらいだ


奈美も座るところがなくて歩き始めた



カチャ・・カチャ・・・



廊下の先から音がする


柄をほんの少し握り直して廊下を凝視する



全身鎧の人達が出てきた


金属鎧のかすれる音がする


大きな剣や大金槌、弓矢やメイス、薬を持っている



「今日は出てくるのが遅かったですな」


「敵?」


「いえ、味方です」


「部隊の人?」


「あれらは本来魔物ですがダンジョンを出るまでの間、我々を守ってくれる存在です」


「へぇ~・・・」



味方ユニットかな?


護衛もついて、極稀に出てくる魔物すら彼らが倒していくようになった



ガシャガシャガシャガシャ!ジャッ!!


「ギギィッ!!」



鎖を奮ってゴブリンを倒し、私よりもモザイク多めにかけないといけないような殺し方をする大剣使い



進むに連れてモンスターよりも味方が増えた



ダンジョンの中でもこういう存在は稀らしいのだけど進むに連れて待ってましたと言わんばかりにどんどん増えていく


キラキラ光る鳥や精霊らしい小さな光、半透明の魔法使いなど、騎士らしき鎧の人たちなんてもう私達よりも多い



ゴブリンなんてもう敵ですら無い、と言うか騎士鎧の人たち多すぎて見えない



こっちこっち!ここトラップあるよ!財宝取ってきたよ!この武器いる?どう?魔物ぶっ殺してきたよ!褒めて褒めて!!と何もしゃべらないが鎧の集団がキビキビとアピールしてくる



なんだろう、いたれりつくせりだ



前を歩く騎士鎧たちの鎧のかすれる音や武器の音に混じってモンスターの叫びがうっすら聞こえる



いろいろと言いたいことはあるが収納袋に収まる分は回収して大きなものは荷車にぽいぽい積んでいく


後ろでは鎧騎士たちに背負わせるようにくくりつけたり持ってもらっている



奈美と目が合ったが苦笑していた



寝る前に2人で「何があっても動じないように頑張ろう」と「迷惑をかけないようにフォローし合おう」なんて話し合ってハンディライトをベルトにつけたり道具の準備してたのにね



進んでいくとまた扉があった


なにか書いてる?


金属製の扉に文字が刻んであるのだけどとても読みにくい


かろうじて文字だということはわかる



「なんて書いてるの?」


「こちらの言葉で囚われた魔王は誰か?と書かれておりまして」



元々魔王を捕まえる用の道具だもんね、この場合は洋介が解答でいいのかな?



「漢字で元杉洋介と書かなくてはいけないんですがそれが難しくて何度もここで引き返しました・・・何語で書くかの言語の指定はなかった故に・・・・・」



酷い問題だ


もう慣れているのか関羽さんが扉の前の台座に置かれた筆記具に書き込んで扉は開いた



また数時間歩いて同じような問題


扉には装飾が施されるようになっている


あ、これ、洋介の家だ


問題は・・なになに?



「僕の父さんと母さんの名前を答えよとの問い掛けですな・・・」


「理不尽過ぎない?」


「ある程度は調べればわかるのですがニホン語とやらは書き方に種類があって何度神殿に行ったことか・・・・進むに連れて問い掛け自体がニホン語で出てくることもあり、そもそもが難しく、何度も戻っては神々にお伺いを立てて時間をとられました」



こう、問題が酷い


これまで通り財宝は収集し、仲間はどんどん増え、酷い問題をクリアし


いくつめかの扉を開くと人がいた



「おー、まったよー!!」


「すまんすまん!」



進んでいくと人がいた


子供、8歳ぐらいだろうか?小さな女の子と鎧騎士達


女の子は身長は1メートルしないぐらいでこんなところにいても良いんだろうか?


でっかい騎士たちを見るに危険はないとは思うけど、うん



「この人は?」


「口を慎みなさい、父上の婚約者、つまり我々の母上だ」


「おばあちゃん!!?」


「おばあちゃん!!!??」



つい声に出してしまった


まさか大学生でおばあちゃん呼びされるなんて思わなかった


お母さん扱いだけでも充分にキツイのにおばあちゃんって


女の子は明るいグリーン色の髪をして見たこともない民族的な衣装を着ている


丸い片眼鏡をしているけどほっぺにくっついてるのかな?



線は細く小柄で、関羽さんといるとより小さく見えてしまう



「違う、母上である、挨拶しなさい」


「ミーキュ・ビエールです、関羽お義父さんの義理の娘で・・洋介おじいちゃん、いやお義父さん?の娘です、です?」


「ぬぅ、某にも良くはわからぬな、まぁ挨拶できたのはえらいぞ!」


「うん!ミーキュえらい!です!」



複雑な関係のようだ


関羽さんの義理の娘で更に洋介の娘、関羽さんのお母さんもいるとか言ってたから兄弟であり・・・あれ?わたしひいおばあさん?



「ここで一度休憩しましょう」



鎧騎士たちに混じって他にも数人いた


机やベッドが用意されていて壁や椅子もある、拠点なのかな?

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