第268話 安藤議員3つの爆弾
「行きましたか?」
「あぁ」
安藤議員を追跡した俺達だったがやらかしやがった
阿部のよくわからんCucumberを爆破させて発狂させたのも不味いが倉庫に火をつけやがった
火をつけたのが安藤なのか郵便物かはわからないが、信徒にはそう見えるだろう
レアナー教に届く郵便物には様々なものがある
心酔した信徒たちから近況の手紙や写真、金銭に手作りの品、レアナー様や黒葉様に着てほしい衣服など毎日のようにとんでもない量が送られてくる
信徒でなくても個人からの手紙やメールは多く来る
手紙の内容は多くの場合は何かしらの病気や怪我を治せるのか?と言った質問が多い
メールは毎日千通を超えるのですでに対応しきれない旨をホームページに記載しているのだが・・・
好意的なものだけではなく危険物が届くこともある
レアナー教をよく思っていない団体は多い
地元のマフィア、徳田のところのグループは何も言ってこないが外部から金を払えと言いに来るグループもあれば襲いかかってくるやつも居る
そういうグループはうちの届いた爆発物の1つでも「関係があるのかもしれない」って警察に届ければすぐに潰れる
だけどそんな単純な奴らだけではない
宗教と言うのには護るべきそれぞれの教義というものがある
結婚すればお互いを尊重して支え合うようになんてのはざらにある
子供を大切にしろとか経典を読め、儀式を大切にしろなど様々だ
そんな教義の中で、いや金儲けの宗教ではパターンが有る
「あなたの信心が足りなかったから病気が治らないんですよ」
という場合だ
信心さえあれば病気が治ると信じるという神頼み
それを本気で信じさせ、信心のためには高額な経典や壺、水などが必要と囁く
さもありがたい神秘性のあるもののように売りつける
治れば神のおかげだし、治らなければ信心が足りないなどと言って搾り取り続ける
そんな宗教にとってはレアナー教は邪魔者でしかない
直情的に文句を言いに来るもの、集団で武器を持ってくるものはまだいい
傘下に収めようと欲を剥き出しにするものもだ
直接来るのなら城の牢獄行きだ
だが厄介なのは差出人不明で爆弾や毒物を送ってくる奴らだ
特殊な機器で調べ、危険なものは魔法のバリアーで囲んだ上で城に持っていて処理する
もしくは送り主を徹底的に探し出して自宅に送り返したりもしている
ある日誰もいない時に謎の爆発させるなども俺達の仕事だ
いつもの仕事のはずだった
だけどいつもとは違う
まず洋介聖下がいない
これではこれまでにはない事案に対して活動の方針が決められない
次にレアナー様が神像の中に入ってうんともすんとも言わない
いつもなら信徒のお菓子を差し出せばでてくるのに・・・
城に運ばれたレアナー様像の周りでは指示を求めるべくパティシエやシェフが料理を作っている、が、でてくる様子はない
ビルにおいているGPS機能付きのダミー神像は数体持っていかれたようだ
俺も腕を上げたな
阿部の謎のキューカンバー・・・日本ではきゅうりだったか?あれって爆発するんだな
でもきゅうりの爆発よりも問題なのは倉庫の爆発だ
倉庫の爆発と炎上
倉庫の中に集められた郵便物はごうごうと燃えている
手紙や金銭、贈り物はある程度リスト化されている
流石に読みきれない手紙の内容までは把握していないが多額の金銭や宛先のリストぐらいはレアナー教信徒の中立派が仕事として管理している
手紙も贈り物も、もちろん金銭ももったいないが命のほうが大切だし仕方ない
きっと危険なコーナーを触ったんだろうな安藤は
広くて警備の簡単な倉庫だが周りは森しか無い
信徒たちも必死で周りに燃え移らないように消火活動しているがそれよりも燃えているのは別のものだ
俺達は安藤を追って城にまでたどり着いたが安藤が着火した爆弾は信徒の怒りそのものだ
日本を中心に活動しているレアナー教徒だが世界各国にレアナー教徒は存在する
倉庫の前で高々とレアナー教を悪と罵った安藤
安藤が出ていって燃えた倉庫
誰がどう見てもそれをやったのは安藤だ
城に集まった過激派と武闘派は既に血涙や鼻血を出してキレているものも居る
武器も銃刀法に引っかからないような金属製の棒や棍棒を持っていたのにいつの間にか武器を持ち出そうとしているものもいて城の中では流石にそれはまずいとそれを止める信徒も居る
現地の映像を見るに警察は城の前にまで来ているが完全に戦意喪失している
殺気で人が殺せるなら数回は死んでいるだろう
警察もしっかりした装備だが聖騎士部の精鋭は鎧兜に盾に棍棒を装備している
単純な身体能力であれば間違いなく警察の方が不利だ
魔力でブーストできるようになった聖騎士部の連中は魔力で強化されていなくとも単純に筋肉を鍛え上げられたもの数人と張り合える力をしている
技術では負けるかもしれないが怪我も恐れないし、催涙弾・放水・閃光弾と言った日本の警察のやり方も訓練で実体験させている
人数分には足りないがガスマスクも用意したものを準備しているだろう
城の正面以外では既に戦闘がはじまっている
新たに各地から集まろうとしている信徒は警察に捕まり、安藤が集めた外部勢力が森の中を移動しているがそちらはこちらの人間が抑えている
正面に集結している警察は安藤の伝手で集められた正規の警察らしいが戦意喪失している、可哀想に
だがそれをこちらに悟られれば不味いとわかっているのだろう
「大人しくしろ!」
「武器を捨てて腹ばいになれ!!」
「貴様ら何をやっているのかわかっているのかー!!!」
なんて震える声も混じって叫んで自らを奮い立たせている
その後ろに控える安藤の部下と安藤の呼んだ外部勢力、会話を盗聴するにおそらくは工作員だ
恐れを知らないのか何もわかっていない安藤は車で山の上の警察の後ろまで上がってきて、出てきた
「皆さん!!これが危険宗教レアナー教です!!!」
「見て下さい!彼らは武装し!警察の言うことなど聞いていません!!」
誰かやつを止めてくれ、そんなに死にたいのか?
大きく拳を振って正当性をアピールしている
「与党はこの集団を卑怯にも守っています!」
「倉庫の映像は見ましたか!?彼らの多額の金銭はおそらく与党への資金として流れていると見るのが妥当でしょう!!」
力の入ったスピーチだ、血管が浮かび上がって大声を上げている
振り上げた拳を振り下ろすようにして安藤は猛っている
「誰かが!誰かが日本を正さないといけません!!!」
「この私の行動は褒められるものではないかも知れません!!ですが!人々を騙す詐欺宗教から!役にも立たない政策を繰り出す与党から!!善良な日本国民を護るために!世界で騙されている被害者を減らすために!!この私!安藤義隆は立ち上がった次第です!!」
レアナー教徒が爆発したのは言うまでもない
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