第235話 女神レアナーの「味方」
<無事でしたか>
<おー、無事じゃったか!良かった良かった!>
<貢物はどうした!酒が良いぞ!!>
一瞬で地球の神殿から異世界の神殿に来れた
ただ地球の城とは違ってこちらの神殿内は目が眩みそうなぐらいいろんな神や精霊様がいる
それよりも私はヨーコの「レアナー様が敵」って言葉がどうしても信じられなかった
なんで?どうして?
私は洋介とレアナー様に命を救われた、信じているし頼りにしきっている
いつも一緒にお菓子を食べて、ラーメンをレンゲに小さく作ったり、洋介の話を一緒にしたりして・・・それなのに足元が崩れたような気すらする
加護は1つでも持っていればこちらでは偉人だ
私はレアナー様から加護をもらっていた
洋介を愛するのもレアナー様の役に立とうというのは本気だったからだ
なんでそんな、洋介を拐った?裏切った?私がなにかした?
<どうかしましたですぅ?>
<ぐぅ!?もうちょっと止めていられんのか!>
<ここはレアナーの地!無理ですよ!!>
<コルルルル>
<いえ、むしろ好都合よ>
「待って下さい!私は洋介が拐われたって聞きました、助けるのには加護が必要で、そしてレアナー様が敵だと!!」
<なるほどですぅ>
「嘘ですよね!?」
<んー・・・敵、敵ですぅ?>
いつものあどけないレアナー様
敵ではないってレアナー様の口から言ってもらいたい
<・・・・・敵では無いとも言い切れないのですぅ>
邪気の全くない、柔らかな笑みでそう言われた
いつものレアナー様だ、クッキーを食べていた時と同じ
だからわかる、嘘じゃないと
「なんっ・・で・・・・!?」
感情が吹き荒れて涙が出てきたのがわかる
悲しいわけでも怒っているわけでもない
自分でもわからない
裏切られた?そう裏切られた気もする
<むぅ・・私は愛の味方ですぅ>
<よし良いぞ!隅に連れていけ!>
神様たちに連れて行かれたレアナー様
愛の味方だから私の敵?意味がわからない
洋介との仲をあれだけ応援してくれていたのに
<これは・・レアナーに振り回された結果よね、ごめんなさいね>
「サシル様」
サシル様がでてきてくれた
レアナー様の姉妹の神様、言語や旅の女神様で奈美に加護をくれた・・・レアナー様そっくりの神様
<神は人に干渉する、その干渉方法や理由は様々です、これはわかりますね?>
「はい、でも、なんで」
<地球のレアナーはそこのレアナーからその身を分けて作られたものです>
「そう、なんですか?」
意味がわからない
そういえばそういう事を言っていた気もする
だけど、なにか関係あるの?
<わからないですよね、そう、例えば貴女が2人いるとします>
サシル様はわかるように話してくれる、はずだ
いや、サシル様はレアナー様の姉妹らしい、サシル様も敵じゃないのか?
<その2人は意識も共有します、同じ思考をしますが別の体験をします>
別の体験・・・?私だったら・・・そう、昔は野球もサッカーもバスケもしたかったことはある
サシル様は笑顔で説明してくれた
<結果、片方の貴女はチャーハンが至高とし片方がギョーザが至高と考えるかもしれません>
なんでそこはラーメン屋の発想なんだろうか?
<チャーハンを応援するものとギョーザを応援する貴女がそこにいることになります>
なんとなくわかる、両方好きだけど時によってはどちらかを応援したい、かもしれない
でもだから何?洋介とどう関係しているんだ?
<レアナーも同じです、こちらの世界に応援したい愛があり、そちらの世界でも応援したい愛があるということです>
「なるほど」
<そしてレアナーはこちらにいるのが本体です、地球のレアナーは応援したくてもできないのです>
つまり私の、私の信じているレアナー様は裏切っていなかった・・・!
<そのとおりです>
「じゃあ、あそこのレアナー様は!?」
他の神様たちに捕まって部屋の隅に縛り上げられているレアナー様
私達ではない誰かを応援しているレアナー様なんだろうか
<その通りです、レアナーが応援しているのは・・・いえ言い切れないほど多くいます、時間がありませんね>
難しそうな顔をしたサシル様
だけど洋介、言い切れないほど多くいるって・・・
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