第200話 落ち目から幸せへ
人生良いときもあれば悪いときもある
あの日ファミレスで裕也にボコボコにされた後にバイトをしていた律子と出会った
彼女は天使のように優しく、僕を助けてくれた
「人として当然のことをしただけですから」
そう言って笑う彼女に惹かれた
手当してもらって、お礼をしようにも固辞する彼女だったがどうしてもと頭を下げてなんとか食事に誘うことが出来た
まだ未成年の彼女だったが自分のできうる限り礼をすることが出来た
あの日僕の血がついて駄目になったであろう服代に10万ほど渡し、5千円のコース料理を一緒に食べた
「えぇ!?」
「私は知ってましたけどね、学内で見かけた程度ですが」
彼女は一緒の大学の1年だった
同じ学校の後輩だけど薬学部の1年で別棟で講義を受けているそうで面識はなかった
講義をする棟自体が別だったのだが食事は同じ学食だ、それで遥と一緒にいるのも目立っていたらしい
何度か大学周りで遊べるスポットや買い物や食事に便利なお店を紹介していった
彼女は「申し訳ない」というが講義の空き時間に一緒に御飯に食べに行ったりして最後には「ありがとうございます」なんてはにかんで言うものだからこちらも痛む身体を無視してやる気になる
そのうちになんでファミレスであんなことになったのか話した
「そんな・・そんな酷いこと出来る人がいるんですね」
「だから僕は大学では嫌われてるんだ」
いつの間にか律子のことばかり考えている
大人しくて真面目で、控えめだけど頑張り屋の律子
出会ってまだ傷も治りきってないけど彼女に告白した
「好きです、付き合ってください」
「えぇっ!?いや、ちょっ!先輩止めてください!!」
3度は断られた
顔を真っ赤にする律子は初々しくて可愛い
「自分は地味でモテたことなんてない」とか「先輩の今の気持ちは吊り橋効果とかひよこの刷り込みみたいなもの」なんて言われたが「それでも良い!君のことしか考えられないんだ!!」
そう言ってアピールしていくとなんとかデートに行くことが出来た
これまでの「先輩としての助け」や「お礼を兼ねた友達付き合いにも近い買い物や食事」ではない
男女が意識して一緒に遠出するようなデートだ
それまでのお礼という名目も無くなり完璧にデートをリードできたと思う
真莉愛といったことのある映画館に行きで「男の人と2人で何処かに来たことがない」「でもずっと来てみたかったんです、夢見たい」なんて、最高に可愛いことを言う彼女はまさに天使だ
それまでずっと曇天だったような世界が光り輝いて見えた
就職活動も顔に出ていたのだろう
まだ身体も痛むし、頬の脱脂綿も全部は取れないが逆に就職で聞かれてそのまま答える
彼女に逃げられ、その間にできていた彼女の彼にボコボコにされた、と
また「問題を起こす奴」扱いされて不採用通知が来るのかと思いきや、なんと採用してもらえた
面接官でもある社長も似たような経験があったらしい
人生悪いことばかりではない
一緒に喜んでくれる律子がいて、仕事も決まって、新たな人生を歩める
少しずつだけど良い方向に進んでいっている
律子のためにも俺頑張ろう
まだ大学で奴らを見るのは辛い部分はある、だけど俺にはもう俺だけの律子がいる
就職先は大学からも近いし大学近くに戸建ての物件を借りよう
遠方から電車通いしている律子とも・・・うまく行けばいいな
まだ出会ってそんなに経っていない、だが愛に時間は関係ないはずだ
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