第175話 旅行出発


黒葉の夏休みがあと数日あるので旅行することにした


レアナー神像には魔力もこめたが今回はホール大神官は呼べない


神像にためておけばレアナー様がそこから魔力を使って治癒したりビルの防御魔法が発動してくれる


レアナー教国にこっそり転移して何人か連れてきてビルを任せることにした


勿論アオキチキューが安全なことばかりではないので危険性も伝えてだ



「よろしくね」


「「「はい!任されました!!」」」



日本には銃刀法というのがあるらしいので銃刀法に引っかからない武装をした聖騎士も連れてきた


黒葉の目の前で僕が剣を振るって訓練してたら注意されたことがあったので調べたのだ


日本語を喋れないものもいるが連れてきた大神官クラス数名が話すことは出来るしなんとかなるだろう


一応徳田たちの人数と神官と聖騎士の人数を同じにしたので1人に付き1人面倒を見れるしこれで人手不足は解消されるしビルでの生活は大丈夫、なはず


銃刀法をどうにかするために金属の棒やメイス、棍棒に弓矢など、それと鎧兜に盾を装備させてきてもらったのだが金属の棒以外はアウトだった


金属の棒は神々の装飾があるものは宗教的道具としてギリギリらしく、できる限り素手でやれっていう



・・・相手が銃持ってる人も多いのになんでダメなんだろうか?



神官と聖騎士の報酬は酒とお菓子だ、自分で飲むものもいるだろうが神さまへの貢物でもあるのだろう


気合の入っている騎士たちには報酬の前払いで向こうで先にスーパーで売ってるお菓子と酒を並べて渡した


もう半分は成功報酬で後ほど渡すようにしたのでやる気がすごい


「飯だってそのへんで狩って食べるんで大丈夫です!」なんて言ってるのは心配だ、狩りも暴力も禁止って言うと驚いていた



「お気をつけていってらっしゃいませ!」


「そろそろ行き先いいなさいよ」


「内緒ー、メッセの友達のとこー」


「良いんですかね?」


「服の兼ね合いもあるのですが」



ヨーコはドレス、はるねーちゃんは長ズボンにカッターシャツ、黒葉は今日来た神官からもらった大神官服だ


黒葉には色々任せているし大神官の服だけど大丈夫だろう


肩からかけた一眼レフと巨大なバックパックがひどく似合わないけど



<服は何でも良いのですぅ、可愛い方が良いのですぅ>



なら良いのかな、防御力あるし


転移した先は一度来たことのある町だ



「ここは?」


「外国ってのは確かね」


「イタリア、ですね」


「それってどこの国ですの?」



見慣れたような石畳の道路だが車がある


向こうでは晩御飯の前だったんだけどこっちはまだ明るい


だけど人はまばらにしかいない



とりあえずこういうときは案内人や屋台に酒場、浮浪者に聞くのがはやい



「ちょっと聞いてくるね!」



屋台でアイス売ってる人がいたので聞きに行く


おばちゃんだ、もしかしたらおばあちゃんかもしれない


薄い水色の瞳や色素の薄い髪の色が日本人ではないことを示している


朗らかな笑顔を見るに人柄は良さそうだ


空気もそうだが他の国に来たんだと実感する



「***** ********? *** *****」



何を言ってるかわからないので杖を振って言語を合わせる、おばちゃんが日本語を喋れるようにした



「こんにちはー」


「はいこんにちはー、で?ジェラート買ってくかい?」


「これかこれかこれ使えます?」


「この金貨は・・見たこと無いし、これはエン?日本?後はカードかい、屋台だよ、ここは使えないねぇ、ユーロはないのかい?」



ユーロ、お金の単位のはず


おっきなカバンのどれかには入ってるかもしれないが一つずつ取り出して店の前で探すのは迷惑だろう



「ないです、日本から来ました」


「んー、仕方ないねぇ、お父さんとお母さんは?」


「とーさんとかーさんは日本にいます」



とーさんとかーさんも来たいみたいだったけどお城の遊園地化を楽しんでいたようだし地元の友達と会う予定があるようだ


レアナー城でのお金の管理なんかを任せている



「そうかい、何をしに世界の反対まできたんだい?」


「旅行、それと人に会いにー、神様にも会えたら良いなぁ」


「その格好は神父様の真似かい?敬虔なんだねぇ」



神父ってなんだろうか?頭に入ってくるイメージとしては神官や住職のようなもののようだ



「僕も神様に仕えてる身ですから!」


「なるほどねー、どれ、話を聞かせてもらった礼だ、一個あげるから味わって食べな」


「ありがとー!貴方に神の祝福がありますように!」


<ありがとーですぅ!>



軽く祝福をしておいたので今日一日は体調が良くなるだろう


はるねーちゃんのところに戻ると銀行がどうのこうの話していたのでアタッシュケースを一個ずつ出してユーロを探してもらう


アイスをレアナー様と食べていたのだけど美味しい


日本のバニラアイスよりもスッキリして口当たりが違う


一つと言いながらナッツ味もつけてくれていてすごくいいアクセントになっている


向こうでも氷の魔法はあったし謎の氷菓子はあった


思い出したくないものも多かったが僕が考案したバルデンジュースシロップのかき氷を食べたことはあったのだがそれが一番ましだったと思う


酒に近くなりすぎてたかき氷はとても食べれたものではなかったけど



でもこのアイスならいくらでも食べられそうだ



<これもおいしーですぅ、甘くて冷たくて、日本のとは違うのですぅ>



たしかにそう思う、アイスってお店によっても味が違うし素材が違うんだろうな


あ、聞き忘れてた



「それにしても私も日本語は勉強したんだがこんなに上手かったかねぇ」


「あ、聞きたいことがあったんだ!」


「なんだい?」


「ここってイタリアのどこなんですかね?」


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